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ServiceNowが従業員の職場復帰を支援するアプリ群「ServiceNow Safe Workplace」を発表

コロナ禍で露呈した日本の「デジタル成熟度」の低さ、ServiceNow 村瀬氏が指摘

2020年06月11日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 ServiceNow Japanは2020年6月9日、従業員の職場復帰を管理/支援する企業向けの新サービス「ServiceNow Safe Workplace」を発表した。コロナ禍で在宅勤務に切り替えていた従業員がオフィスに戻りたいかどうかという感情面を含めた状況を把握できるものなど、4種類のアプリで構成され、ダッシュボードを使って全体を可視化できる。

ダッシュボード「Safe Workplace Dashboard」を使って、4つのアプリからの重要な指標を把握できる

 同日の発表会では、同サービスの説明にあわせてServiceNow Japan 執行役員社長の村瀬将思氏が、これからの“ニューノーマル”社会を前提に考えると、日本の多くの企業におけるデジタル化の遅れ、さらに“誤ったデジタル化”を見直す必要があることを指摘した。

記者発表会に出席した、ServiceNow Japan 執行役員社長の村瀬将思氏

従業員の職場復帰を進める企業を支援する「ServiceNow Safe Workplace」

 「ServiceNow Safe Workplace」は、ServiceNowの「Employee Workflows」ポートフォリオの一部。同社の「Now Platform」を土台とし、従業員の職場復帰を進めるあたって企業幹部が着目すべき4つのポイントに沿った、4つのアプリで構成される。

 4つのアプリとは(1)従業員に職場復帰の準備ができているかを尋ねる「Employee Readiness Surveys」、(2)安全なオフィスへの入室を管理する「Employee Health Screening」、(3)オフィスの清掃や安全状況を一元管理したり、従業員のソーシャルディスタンスを確保したシフト体制とスペースを管理できる「Workplace Safety Management」、(4)マスクや消毒液などの衛生・防護用品(PPE)の需要/在庫管理ができる「Workplace PPE Inventory Management」だ。

 4つのアプリに加えて、これらの情報を可視化して一元的に把握できるダッシュボード「Safe Workplace Dashboard」も用意する。ダッシュボードには各アプリから主要な指標が表示され、深掘りしてさらに詳細なデータを見ることができる。アプリは有償でダッシュボードは無料。これらは「ServiceNow Store」から入手できる。

 ServiceNowでは今年3月、新型コロナ感染拡大を受けて危機管理支援アプリ「Emergency Response Management」を無償公開した。従業員の安全状況を確認する「Emergency Outreach」、就業状況を管理する「Emergency Self Report」など4種類のアプリケーションで構成されるもので、世界で6000以上のインストールがあったという。今回の発表は、その後に続く復旧フェーズの企業を支援するものになる。

経産省が指摘する“DXの崖”が2025年を待たずして現実に、この状況をどう改善するか

 職場復帰のアプリを発表する一方で、村瀬氏は「緊急事態宣言が解除されたが、以前のようにオフィスに戻るのではなく“ニューノーマル”に向かう」と述べる。そして、そこで日本の企業や社会には課題があると指摘する。課題とは「デジタル化の遅れ」だ。

ServiceNowでは、速度(Velocity)、AIや機械学習の活用(Intelligence)、体験(Experience)の3軸/4段階に分けて「デジタル成熟度」を定義している

 村瀬氏は、今回のコロナ禍で「日本はデジタル後進国であることが露呈した」と語る。たとえば企業では、テレワーク/在宅勤務を実施しようとしても押印が必要な承認プロセスが残っているなど「デジタル成熟度が低いためにテレワークが回っていない例がある」。ほかにも、行政ではウイルス感染者の集計作業、各種給付金申請の手続きなどが十分にデジタル化されておらず、急を要する事態にもかかわらず処理に時間がかかる問題が指摘されている。また教育では、デバイスやネットワーク環境が用意できる/用意できない家庭や学校の間での「格差」が生じている。

 経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」では、デジタル変革が進まなければ2025年には12兆円規模の経済損失が生じる可能性があると警告されていたが、「経産省が指摘していた懸念事項が、2025年を待たずに現実になった」というのが村瀬氏の見解だ。

 問題は、日本の企業や行政組織がこれまでの業務を「そのまま」電子化、デジタル化しただけという点にある。たとえば、旧来の申請用紙(紙書類)をExcelやPDFのファイルに置き換え、そこに入力された項目を1つずつ手作業でコピー&ペーストしてまとめる、といった非効率かつ不合理な慣習が多く残る。

 「最低でも、1つのデータベースにWebからデータ入力し、ワークフローで業務を回して他システムと自動で連携するような世界を作らなければ、いずれまた今回と同じ問題に直面することになる」(村瀬氏)

日本の組織のICT活用は、従来のプロセスそのままで書類をデジタルフォーマットに置き換えただけの“デジタイゼーション”にすぎない。まずはプロセスの整流化を図り“デジタライゼーション”に変える必要がある

AI/機械学習も活用し、データから洞察を得て活用するシステムを構築することではじめて、デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼べるレベルに到達できる

 そして村瀬氏は、今回の感染拡大によって事業継続が危ぶまれ、どこにいても業務プロセスがスムーズに回せることの重要性が理解されている今こそ、必要なプロセスをクラウドのワークフローに乗せ、他システムとの連携を進めるなどのデジタル改革を進めるべきだと助言した。

ServiceNowが描く“ニューノーマル”の世界。旧来の労働集約型社会から「知識集約型」社会への転換を訴える

 村瀬氏はコロナ禍におけるServiceNowの活用事例として、各オフィス別の出社率を管理できるダッシュボードを1週間で構築したアフラック生命保険、職員の体調管理や行動記録などを行うアプリを2週間で導入した広島県などを紹介した。

 ServiceNow自身も、グローバル1万1000人の社員が一斉にテレワーク体制となっているという。同社は今年、従業員からのIT関連の問い合わせを自己解決する率を60%に引き上げる目標を掲げていたが、テレワークにあわせて自社技術の活用が進み、年始には40%だった自己解決率はすでに61%となり、目標をクリアしたとのこと。テレワーク中の成果の一部として、音声チャット「IT Virtual Agent」を使うことで52%の問い合わせをセルフサービスで完結したり、ナレッジベースの利用が前年比で78%増加したことなどをあげた。

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