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アプリ開発パートナー支援も、新型コロナウイルス感染拡大を「守りから攻めへのきっかけに」

ServiceNow、3つの「危機管理支援アプリ」9月末まで無償提供

2020年04月17日 07時00分更新

文● 五味明子 編集● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ServiceNow Japanは2020年4月15日、新型コロナウイルス「COVID-19」の感染拡大に伴う緊急事態下での社会貢献施策として、4月16日から9月30日までの期間中、同社が開発した「危機管理支援アプリ日本語版」を無償提供することを発表した。

 すでに英語版で提供されている4つの危機管理支援アプリケーションのうち3つを日本語化して提供するもので、ServiceNowの既存顧客だけではなく、新規顧客(ServiceNowのインスタンス未所持ユーザ)も支援の対象となっている。

ServiceNowがグローバルで9月30日まで無償提供する4つの危機管理支援アプリケーション。このうちEmergency Response Applicationを除く3つが今回、日本語版として提供開始された

緊急事態下の安否確認、就業状況管理、感染リスク者特定の3アプリを無償提供

 今回、同社から9月末までの無償提供が発表された危機管理支援アプリ日本語版の概要は以下のとおり。

・Emergecy Outreach(緊急アウトリーチ) … 緊急時における従業員の所在と安否確認を自動化し、従業員の安否状況を一元的にダッシュボード化することで組織の危機状況をリアルタイムに把握するアプリケーション。メールによる従業員との最新情報/安全対策の共有のほか、モバイルアプリ「Now Mobile App」を利用して従業員にプッシュ通知を送信し、健康状態や現在地などを確認する連絡路として利用可能

・Emergecy Self Report(緊急セルフレポート) … 緊急状況下の各従業員の就業状況を一元的に管理/可視化するアプリケーション。従業員は、自身が感染した場合、職場に対して病状の度合いや復職の予定時期(要隔離期間)を通知できる。また企業は、本アプリを活用することで従業員の健康状態の経過観察をタスクとして管理できるほか、ワークフロー活用により上司や人事などを含めた対応チームが適切なアクションを取りやすくなる

・Emergency Exposure Management(緊急エクスポージャ管理) … 組織内の感染拡大リスクを可視化するアプリケーション。組織内で感染者が発生した場合、感染従業員の勤務先と会議履歴をもとに潜在的感染リスクのある従業員を特定し、そのリスト(Excel形式)をダウンロードすることで対応策を検討しやすくする

 なお、英語版ではこれら3つのアプリに加えて、米ワシントン州保健省がNow Platform上でServiceNowと共同開発した公的機関向けの緊急対応を支援する「Emergency Response Operations(緊急対応オペレーション)」も無償提供されているが、日本では現状でのニーズが小さいとして今回の日本語版には含まれておらず、リリースも未定となっている。

「Emergecy Outreach(緊急アウトリーチ)」の機能。従業員向けの一斉通知を簡単に作成/送付できる。従業員はモバイルアプリから健康状態などを報告可能

 これらの危機管理支援アプリの入手方法は以下のとおり。なお9月30日以降の無償提供に関しては、現時点では未定としている。

・新規顧客(ServiceNowのインスタンスを未所持)ServiceNowのCOVID-19支援専用サイトにアクセスし、必要事項を入力後に申請/登録。約3営業日ほど待機したのち、無償インスタンス内の設定で当該アプリをアクティベート
・既存顧客(ServiceNowのインスタンスをすでに所持) … Service Now Storeにアクセスし、既存のインスタンスに当該アプリをインストール

 またServiceNow Japanでは、同アプリの提供と同時に、ISVパートナー企業向けに「COVID-19対応アプリ開発支援プログラム」を発表した。同プログラムは、開発環境の無償提供やパートナープログラム年会費免除によるコスト負担軽減、契約プロセス/認定プロセスの簡略化、ServiceNowからの技術支援による迅速な製品提供などが含まれており、すでに既存パートナー2社、新規パートナー2社から参加意思表明がなされているという。

 「緊急事態ということもあり、既存パートナーだけでなく新規パートナーにも支援プログラムを拡大した。ServiceNowだけでなく、パートナーのアイデアを活かした危機管理アプリの開発を迅速に支援したい」(ServiceNow Japan 執行役員社長 村瀬将思氏)

これまでのさまざまな常識が覆る“After COVID-19”の世界に向けて備えを

 ServiceNowは3月16日(米国時間)から英語版の危機管理支援アプリを提供してきたが、すでにワールドワイドで1000以上の組織がこれらのアプリをダウンロードしており、中にはロサンゼルス市やサンフランシスコ市などの公的機関も含まれている。またAccentureなど5社のグローバルパートナーが導入支援を表明しており、パートナーによる危機管理支援アプリのエコシステムも拡大中だ。

危機管理支援アプリのグローバルでの導入状況。北米が中心だが業種業界は多岐に渡っており、地方自治体など公共機関からの引き合いも多いという

 COVID-19の急速な感染拡大、さらに日本政府による4月7日の緊急事態宣言にともない、これまで先進諸国に比較してリモートワーク/テレワークの普及が遅れがちだった日本でも多くの企業/組織が新しいワークスタイルに取り組まざるを得ない状況となっているのは周知のとおりだ。

 しかし、未知の感染症という特異な状況は全体像の把握を難しくさせており、企業だけでなく自治体を含む社会全体の対策が後手後手に回ってしまっている。また、情報の鮮度にばらつきがあったり、情報を受け取る媒体が個人/組織間で異なったりするために、リモートワーク状況下の連絡手段が確立されていないケースも多い。こうした課題を踏まえ、ServiceNowが今回提供する支援策は「迅速で容易なアプリ開発」「モバイルを含めた使いやすさ」にフォーカスしたソリューションといえる。

 「プロセスをワークフローで回し、それを可視化する。欲しい情報をプロアクティブに、自動プッシュで受け取る。こうしたことを実現するために、いまはゆっくり何かを開発している場合ではない。ServiceNowはもともとクラウド型プラットフォームでデジタルワークフローを提供し、デジタル変革や働き方改革を支援してきた企業。従業員と企業の双方が使いやすいと感じるITプラットフォームであることにこだわってきた。今回の危機管理支援アプリ日本語版の提供を通じて、日本企業の円滑な事業継続に少しでも貢献したい」(村瀬氏)

ServiceNow Japan 執行役員社長 村瀬将思氏(2019年5月、ServiceNowの年次カンファレンス「Knowledge 19」にて筆者撮影)

 ここで村瀬氏がいう“円滑な事業継続”とは、単に“Before COVID-19”と同じ世界に戻ることを意味していない点に留意したい。オンライン記者会見において村瀬氏は「守りから攻めへ」というフレーズを引用している。

 リモートワークが普及し始めたばかりの段階、それも終息の目処が立たない未知の感染症拡大のフェーズにおいては、どうしても多くの企業が「守り」の姿勢だけになりやすい。しかし、その一方で「こんな状況下にあってもデジタル改革を前に進めようと攻めに行っている企業もある」と村瀬氏は指摘する。つまり現在は「守りだけに徹するか、それとも攻めに転じる機会もうかがうか、ユーザ企業の態度が二極分化しはじめている」(村瀬氏)傾向にあるという。

 そうした状況にあってServiceNowが提唱するのは先にも挙げた「守りから攻めへ」の姿勢だ。村瀬氏は「まずは感染症という状況下にある以上、企業と従業員をしっかり守り、それから攻めに転じる体制を取る。とくに距離と時間の制約を弱めるデジタルワークフローの構築が重要」と強調する。

村瀬氏は会見で「守りから攻めへ」を強調。新型コロナ後の世界を見据えた企業戦略として、デジタルへの親和性をいまから高めることを提唱した

 “After COVID-19”の世界は、おそらくこれまでの常識がいくつも覆ることになるだろう。日本でも始まったワークスタイルの変化もそのひとつであることは疑いない。COVID-19の終息までに、ワークスタイルとデジタルの親和性を高めてきた企業と、過去の社会通念にとらわれた働き方――同じ場所、同じ時間、閉じられた空間に縛られたままの働き方――を続ける企業とでは、「3年後、5年後、10年後に生み出すギャップがはかりしれないのでは、と思っている」と村瀬氏はいう。

 いま目の前にある危機に向き合うことはもちろん、そのあとにやってくる未知の事態に迅速かつ柔軟に対応するためにも、ワークスタイル/ワークフローのデジタル化は、これからすべての企業/組織にとって必然になるといえるだろう。

“After COVID-19”の世界ではこれまでとは異なるワークスタイルが求められる可能性が高くなる。それまでにデジタルワークフローを実現するプラットフォームを構築し、時間と場所に成約されないコミュニケーションを加速しておくことをServiceNowは提唱している。今回の危機管理支援アプリの無償提供はその一環だ

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