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NTT東日本×クラスメソッドのシナジーがモード1組織を次のステップへ

昭和の働き方をクラウドで変えていく 新会社ネクストモード始動

2020年06月08日 16時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2020年6月8日、NTT東日本とクラスメソッドは両社が共同設立した新会社ネクストモードに関する記者発表会を開催した。発表会では新会社の社長である里見 宗律氏が登壇し、会社設立の経緯やクラウドを基盤とした新しい働き方を目指す事業方針について説明した。

NTT東日本 代表取締役副社長 澁谷直樹氏(左)、ネクストモード 代表取締役社長 里見 宗律氏(中央)、クラスメソッド 代表取締役社長 横田聡氏(右)

クラウドの実演販売で新しい働き方を提案

 5月18日に設立が発表されたネクストモードは、NTT東日本とクラスメソッドの共同出資によって設立された新会社で、パブリッククラウドの導入支援や保守・運用を手がける。設立は2020年7月1日を予定しており、代表取締役社長にはNTT東日本の里見 宗律氏が就任し、NTT東日本とクラスメソッドのメンバーが2名ずつが取締役となる。

 ネクストモードの社名はIT調査会社であるガートナーが提唱する「バイモーダルIT」のコンセプトにのっとり、効率性や安定性を重視する「モード1」の組織から、柔軟性と俊敏性を重んじる「モード2」に向け、ユーザー企業と歩んでいくという意味が込められているという。「ネクストモードのNはNTT東日本、モードのMはクラスメソッドのM」(里見氏)とのことだ。

ネクストモード 代表取締役社長 里見 宗律氏

 新会社では「クラウドであたらしい働き方を」をメッセージに掲げる。新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入する企業が増加したが、オンライン化されていないためストレスは増えたという実態がある。また、緊急事態宣言の解除によって「印刷や押印、郵送による出社」「勤怠や旅費チェックを人手で行なう」「社内会議できれいな資料が必要」など昭和の働き方に逆戻りする企業も増えてくる。

 ネクストモードはこうした昭和の働き方をクラウドで変えていくという。「これからクラウドは働き方を変えるツールになっていく。お客さまごとに最適なクラウド技術を組み合わせていくことで、会社の働き方の当たり前を変えていく。これをネクストモードで実現していきたい」(里見氏)。

 新しい働き方を実践すべく、ネクストモードでは全メンバーがテレワークで勤務し、基本オフィスを持たない。また、ドキュメント作成、会議、プロジェクト管理、契約・労務・会計、セキュリティ対策などはすべてSaaSを用いる。「自社でクラウドをフル活用しながら新しい働き方を模索し、いわばクラウドの実演販売をしていきたいと考えている」(里見氏)。また、スピードや柔軟性を重視し、完全性や自社内製、案件あたりの規模にはこだわらないという姿勢を鮮明にしている。

クラウドの実演販売を実践していく

4年間のプロジェクトでお互いのカルチャーが寄せられる確信へ

 ネクストモードの事業は、NTT東日本のネットワーク構築力、クラスメソッドのクラウド活用力を合わせ持ったクラウドインテグレーションになる。

クラウドからネットワークまでを包含する

 短時間でのクラウドSI、設定変更等に柔軟に対応する保守・運用、クラウドに最適なゼロトラストネットワーク構築なども含む。特にクラウドへのマイグレーションに関しては、AWSやNTTグループのみならず、AzureやGCPなどの利用も視野に入れており、顧客がビジネスに集中できる環境を提供する。今回の新会社設立を機に、無料のクラウドコンサルティングやAWSのセキュリティ診断、テレワーク相談など各種キャンペーンも提供される。

マルチクラウドを視野に入れる

 発表会において、冒頭登壇したNTT東日本 代表取締役副社長 澁谷直樹氏は、東日本大震災に通信網の復旧活動を振り返り、「当時、ネットワークの設計ポリシーはオンプレミスだった。住民データがクラウドに格納されていれば、住民サービスをすぐに復旧できた。クラウドを選択しなかったことを後悔した」と振り返る。そして、当時からクラウドの可能性に気づいて、社内での普及啓発に努めてきたのが新会社の社長である里見氏。クラウドビジネス伸張のためにクラスメソッドの横田氏とNTT東日本の経営陣を引き合わせたことで、サービス開発やクラウドSIでの協業、そして今回の新会社設立の話につながったという。

 今年16年目のクラスメソッドは、モバイル開発やAWSのインテグレーションで数多くの実績を誇るテック企業。Developers.IOというブログで技術ノウハウを積極的に公開することで、感度の高いクラウドユーザーから絶大な支持を得てきた。今回のNTT東日本との新会社設立については、4年間で両社が手がけてきたプロジェクトや交流を通じて、お互いでカルチャーを寄せられるのではないかと確信できたという。

 クラスメソッド 代表取締役社長の横田聡氏は、「技術好きで、内製化したいお客さまには弊社はぴったりだが、コスト削減やセキュリティリスクを減らしたい、新しいことをやりたいなど事業課題を解決したいというお客さまとはギャップがあった。新会社ではこのギャップを埋められるのではないのかと期待している」と語る。

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