一方でフランス、イギリスは中央型を採用する
欧州の中でも、イギリスとフランスは中央型を選んだ。
フランスは3月から開発に着手していた。アップルとグーグルの提携が公開される前であり、発表後もそのままプロジェクトを進め「Stop Covid」として準備した。外出禁止が段階的に緩和される中で、同アプリも議会の承認を得た。合わせて、アプリのバグ発見に報酬を支払うプログラムも用意する。
イギリスも中央型を採用した独自のシステムを開発中で、ワイト島で実験中。当初、リリースは5月中旬を予定していたが遅れている。
日本はアップル/グーグル型を採用するべく、以前からCode for Japanで取り組みが進んでいたものを厚生労働省が運用するという形式に切り替えた。大阪府は「大阪コロナ追跡システム」を独自にスタートしているが、こちらはイベント会場などがQRコードを用意して参加者に読み取ってもらい、その場にいた人の中から感染者が発生したらその参加者にアラートが入るというアプローチだ。
世界各国で新型コロナに対する厳戒態勢が少しずつ緩和されつつあるが、ウイルスがなくなったわけではない。ワクチンも治療薬もない間は新型コロナと共存する”ウィズ・コロナ”が続くと予想され、その期間はどのぐらいなのか予想は難しい。接触追跡アプリはウィズ・コロナに重要な役割を果たすと期待できるが、市民にどのように説明し、ダウンロードを促すのか。技術の問題もさることながら、政治や当局の進め方により違いが出てくるかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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