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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第253回

ドイツで普及が進む「新型コロナ接触確認アプリ」、すでに4人に1人がダウンロード済み

2020年07月17日 09時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 現状でハッキリと効果が示された治療薬もワクチンもない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いで、有効な対策の1つとして期待されるのが、接触確認アプリだ。過去2週間以内に一定時間近距離にいた人がその後に陽性だとわかるとそれを通知してくれるもので、日本でも6月中旬にプレビュー版が公開された。今回は同時期に公開され、スマホユーザーの25%がすでにダウンロードしているというドイツの話を中心にまとめたい。

ドイツでも日本と同じ、アップル/グーグルの協業によるAPIを用いた匿名性を重視したシステムを採用している

すでにスマホユーザーの4人に1人がダウンロードしている
ドイツでの普及は正直意外だった

 日本の「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application」は6月19日に公開された。最初の1ヵ月はプレビュー運用で、現時点での最新版は7月13日公開(Android版は14日)のバージョン1.1.2だ。厚生労働省によると、ダウンロード数は7月16日現在で約726万件とのこと。

 ほぼ同じタイミングでドイツでも「Corona-Warn-App」が公開された。公開日は6月15日。その2日後の17日、このアプリの開発に携わったドイツのソフトウェアベンダーであるSAPのCEO、Christian Klein氏が記者向けのラウンドテーブルで(テーマはCOVIDではなく、SAPの戦略と新サービスの発表)、「一晩で200万ユーザーになった。現時点でダウンロード数は650万件に達している。大きな成功だ」と語ったのを聞いて、びっくりした。

 びっくりしたというよりも、意外だったと言った方が良いだろう。それはこのアプリの性質が関係している。”追跡(tracking)”アプリと総称されることもあるように、誰といたかが追跡できるという性質の存在なので(それがたとえデータが匿名化されているのだとしても)、歴史的経緯もあってプライバシーに敏感なドイツ人がすんなり受け入れたのが意外に思えたのだ(ドイツとプライバシーといえば、2010年ごろ「Googleストリートビュー」では大規模な反対があった)。

 なお、最新の数字は1520万ダウンロード(7月8日)。ドイツの人口は8300万人程度で、スマートフォン所有者は5800万人と言われているので、ダウンロードした人の比率は26%となる。実に、4人に1人だ。

日本と同じくアップル/グーグルの仕様を使い、6週間で開発

 ドイツのCorona-Warn-Appの開発を進めたのはロベルト・コッホ研究所。結核菌の発見で知られるコッホ氏の名に因んだ研究機関だ。ここに、SAPにドイツテレコムと、ドイツを代表する企業も参加した。

 感染追跡アプリは冒頭に書いたように、アプリを使っている人が陽性とわかった場合にその旨を入力することで、過去2週間その人と一定時間(15分以上)、近距離(1~2メートル)にいた人に通知が行くというものだ。アップルとグーグルが提携して公開しているAPIを利用する分散型と、中央のサーバーに情報を収集する中央集権型とがある。

 ドイツは当初、中央集権型だったが、アップルとグーグルの提携の成果を受けて、方針を変更したという経緯を持つ(実際は両社の発表前から、プライバシーの観点から分散型が良いとして話が進んでいたようだが)。SAPによると、開発に要した期間は6週間とのこと(もちろんSAPの開発技術を使っている)。なお、フランスは中央集権型であるなど、欧州では国ごとに異なるアプローチをとっている。

 さて、なぜドイツのアプリは成功したのか。まずは、名称がいい。「Corona-Warn-App」として、「追跡(tracing)」ではなく「警告(warn)」という言葉を使っている。SAPはアプリの使いやすさをアピールしているが、まずはダウンロードしてもらわなければ始まらない。そのバリアを克服するために用意していた、仕組みの説明、FAQの充実、オンラインサポートなどの努力が功を奏したのかもしれない。

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