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「緊急対応」から「沈静化」フェーズに移行した今こそ取り組むべき課題解決と支援策を提示

日本MS、コロナ後の中堅中小企業“ニューノーマル”に向け支援拡充

2020年05月28日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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TeamsやWindows Virtual Desktopで迅速なテレワーク移行を実現した顧客事例

 同説明会では、国内の中堅中小企業顧客における事例が紹介され、顧客企業やスタートアップパートナーのゲスト出席もあった。

ゲスト出席した山口フィナンシャルグループ IT統括部の來島友治氏、Telexistence 代表取締役 兼 CEOの富岡 仁氏

 まずフェーズ1では、緊急事態宣言発令に伴って急遽リモートワークに取り組むことになったものの、ごく短期間で対応できた複数の企業事例が紹介された。その中でも福井銀行は、国内の新型コロナ感染拡大が始まってからテレワーク環境の構築に乗り出し、WVDと従業員の私物(BYOD)デバイス、さらにMSPパートナーであるFIXERのAzureフルマネージドサービス「cloud.config」を活用することで、わずか3週間でセキュアなテレワーク環境を実現したという。

WVD+BYOD端末を利用して3週間でリモートワーク環境を整えた福井銀行、これまでも佐賀県から全国の人材を“リモート採用”していたためスムーズに在宅勤務移行できたとっぺんの事例

 またフェーズ1からフェーズ2に向かう顧客企業として、中国地方の地銀グループである山口フィナンシャルグループ(YMFG)IT統括部の來島友治氏がゲスト出席し、Office 365/TeamsとSurfaceを活用した緊急のテレワーク環境構築と今後の課題を説明した。

 同行では昨年から、グループ全社でのコミュニケーション基盤統一やペーパーレス化を推進をしてきており、テレワークも「働き方改革」の一環ととらえて準備していた。ただし、今回は本部社員などテレワーク実施が可能な全員が対象となったため、テレワーク用のPC台数が不足する事態となった。そこで、各店舗の営業担当者用に配布を予定していたSurface(約600台)を代替機に充て、またTeamsによるWeb会議のユーザートレーニングなどを行って、3月初旬よりテレワークを開始したという。

 なお、大規模なテレワークを実践した結果見つかった課題として、來島氏は「テレワーク用回線(VPN)の逼迫」を挙げた。これについてはオフピーク利用を社内に呼びかけたほか、営業系アプリケーションとOffice 365/Teamsの通信を別経路に分ける対応を行ったという。さらに今後は、WVD活用によるBYOD化の検討/検証や、ビジネスの根幹に関わる部分である「非対面での接客/営業業務」の仕組みも検討していきたいとした。

山口フィナンシャルグループにおけるテレワークの取り組み概要、および今後の課題

浮き彫りとなった社会課題の解決目指すスタートアップとの協業も

 また、ニューノーマルに適合するフェーズ3への変革を目指す顧客企業への支援策として、日本マイクロソフトが昨年から展開する社会課題解決スタートアップの支援プログラム「THE CONNECT」を紹介した。同プログラムでは2020年内に100社のスタートアップと連携/協業し、大手企業とのマッチングを進めることを目指している。

 同プログラムの参加企業から、今回の説明会では労働力不足の解消につながる遠隔操作ロボットを開発するTelexistence(テレイグジスタンス)が紹介された。Telexistenceと日本マイクロソフトでは現在、「小売業界向けクラウドロボティクスサービス」の提供に向け協業を行っている。

 Telexistence 代表取締役 兼 CEOの富岡 仁氏によると、たとえばコンビニエンスストアの店員業務のうち、作業時間の30~40%を占める品出しや商品陳列、厨房調理などを、ロボットを使って遠隔化できる見込みだという。このロボットは人間が遠隔操作するものであり、「極端に言えば、インターネットがつながった地域であればどこからでも人材採用できる」(富岡氏)ため、労働力不足や賃金の高騰といった課題の解消が図れると説明した。なお7月以降、Telexistenceの商品陳列ロボットが大手小売店舗の店舗に設置される計画だと明かした。

 「オンラインでできる仕事はTeamsなどを使って遠隔でできるようになったが、小売店舗など“オフライン”の仕事を遠隔からできるようなソリューションはない。世の中が変わっていく中で、オフラインの仕事をする人が取り残されるというのはあり得ない話なので、われわれは技術を使ってこのソリューションを提供していく」

Telexistenceの開発するロボットソリューションは“遠隔労働力”を提供する

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