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Power PlatformやDynamics 365、Teamsを活用する山本忠信商店(山忠HD)、ルリアンが登壇

中堅中小企業のDX、日本MSセミナーで農業商社と士業サービスの事例紹介

2020年11月25日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフト(日本MS)は2020年11月10日~13日の4日間、法人向けオンラインセミナー「お客様の取り組みに学ぶ、ニューノーマル時代リモートワーク最前線」を開催した。

 “中堅中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)”をテーマとした最終日には、「データをパワーに! Microsoft Teams、Power Platformで農業商社、士業業務のデジタル変革」と題した講演が行われ、農業商社である山本忠信商店(山忠HD)と、士業サービスのルリアンにおけるDXの取り組みが発表された。

山忠HD:PowerAppsでオンプレミスの基幹システム業務をクラウド化

山忠HD グループHR部 課長の荻原弘之氏、同 ICT戦略部 課長の金子敏章氏

 山忠HDグループは、北海道に本拠を置きグループ全体で約140名の従業員を抱える、北海道産食材を中心とした食品商社だ。1960年設立の山本忠信商店などのグループ企業では、大豆や小豆の卸販売、小麦粉やプレミックス粉の販売などを行う。「契約生産者から直接原料を仕入れ、自社で直接食品加工した商品を販売しているのが特徴」(山忠HD グループHR部 課長の荻原弘之氏)だという。

山忠HDグループは北海道産食材を中心とした食品商社

 同社では近年「Microsoft 365」や「会計freee」を導入し、リモートワーク/情報共有環境や会計システムの基盤刷新を進めてきた。しかし、およそ10年間利用してきたオンプレミスの基幹システムは刷新できておらず、同社のビジネス成長や環境変化に対応できない問題を生んでいた。山忠HD ICT戦略部 課長の金子敏章氏は、その課題を次のように説明する。

 「2018年9月の北海道胆振東部地震の経験から、本社が被災するとオンプレミスでは業務継続が困難であるという危機感が生まれていた。また、顧客関係情報の一元管理ができず、担当者の引き継ぎが困難であるという課題もあった」(金子氏)

 そのほかにも、拠点から本社へはVPN接続のためシステム操作が遅い、営業からの電話を受けて営業事務が伝票入力を行うため言い間違い/聞き間違いが発生する、パッケージシステムのためカスタマイズに限界がある、システムからいったんCSVを出力してAccessやExcelでデータ加工しなければならないなど、基幹システム周りの課題は山積していた。

情報共有環境や会計システムは刷新した一方で、オンプレミスの基幹システムが変革の足を引っ張るかたちになっていた

 こうした数々の課題を解消すべく、同社ではクラウドインテグレータのROITの協力を受けて、Power Platform/PowerApps活用の取り組みを開始した。ROITが用意しているCRMやSFAのテンプレートを利用して販売管理業務を実装し、さらにPower BIのダッシュボードなどを利用して営業案件の状況を可視化できるようにしたという。ROIT 社長の柿崎直紀氏は、そのポイントと将来像を次のように説明する。

 「これまでの実績をもとに、SFAでは表示項目を必要最低限に絞った。またOutlookとの連携により、コンタクト履歴などの蓄積された情報をタイムライン表示したり、Teamsとの連携による情報共有、Wordテンプレートを活用した見積書の作成なども行える。加えて、会計freeeとの連携や電子稟議システムの導入も予定している。将来的には在庫管理とも連携し、山忠HDの基幹業務をすべてクラウド化していく」(ROIT 社長の柿崎直紀氏)

PowerBIによる案件管理ダッシュボード

 今後はさらに顧客とのコミュニケーション内容の共有/可視化、営業担当者のモバイルデバイスからの伝票入力、PowerAppsやPowerBIへのデータ取り込みによる業務の可視化を推進する。こうした取り組みを通じて、早期に“業務PDCA”への対応を図るとともに、ビジネス環境の変化にも追随できるようにする考えだ。

 DXの「ステップ1」として、2020年10月からPowerAppsによる販売業務・在庫管理の実装を進めており、3カ月間で開発した後に3カ月間でテスト、並行運用、移行を行う。これと同様に、2021年4月からの「ステップ2」では発注・仕入業務の実装に取り組む計画だ。

PowerAppsを使った基幹業務の実装を推進中。SNS連携やクラウド連携といった目標も掲げる

 日本マイクロソフト パートナー事業本部パートナー営業統括本部SMC/SMBパートナー営業本部 シニアクラウドセールスマネージャーの中嶋信行氏は、「Dynamicsを利用しなくても、PowerAppsを使ってオンプレミスの基幹業務をクラウド活用できるようにしてしまい、また会計FreeeともPower Platform経由で連携させてしまった事例。“Power PlatformとTeamsがあればすべてが可能になってしまう”という刺激的な取り組みだ」と評した。

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