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SAP SuccessFactorsとクアルトリクスで「従業員の感情をくみとる」、連携パートナー9社も発表

SAPが“働く人を中心に考える”新人事ソリューション「HXM」発表

2020年05月27日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 SAPジャパンは2020年5月26日、最新の人事ソリューション「HXM(Human eXperience Management)」の提供開始を発表した。SAPの人事クラウド「SAP SuccessFactors」とクアルトリクス(Qualtrics)が持つ“従業員体験管理”ソリューションを組み合わせ、「働く人を中心に考える」という新しい人事コンセプトで市場の新領域を開拓すると意気込む。

 また、HXMソリューションにおいて人事関連業務を電子化するパートナー9社との提携も発表し、HXMと各社ソリューションの連携による人事ソリューションエコシステムを展開していく方針も示した。

オンライン説明会にはSAP、クアルトリクスのほか、パートナー9社の幹部も参加した

多様化する従業員の気持ちを理解することで、全員が最高の成果を生む環境に

 今回発表されたHXMソリューションは、SAP SuccessFactorsと、2019年に買収でSAP傘下入りしたクアルトリクスの従業員体験管理ソリューション「Qualtrics EmployeeXM」を中核として構築、提供されるもの。

 これまでの人事ソリューションは、1990年代後半の労働力管理電算化を図った「HRM(Human Resource Management)」、2000年代の優秀人材選抜や計画的育成を目指した「HCM(Human Capital Management)」と発展してきた。SAP自身も「SAP ERP HCM」や、2012年に買収したSuccessFactorsを展開しており、この分野では約20年の経験を持つ。

 これまでのHRMやHCMと今回新たに打ち出されたHXMが異なる点は、「従業員を起点としていること」だという。SAPジャパン VPで人事・人財ソリューション事業本部 本部長を務める稲垣利明氏は、HXMによって「多様化している従業員の『気持ち』を理解し、全員が最高の成果を生み出す環境を提供する」ことができると説明する。

これまでの人事ソリューション(HRM、HCM)とHXMの位置づけの違い。HXMでは、多様化する従業員がそれぞれに最高の成果を生み出せる環境を提供することを目指す

 日本では、今後15年間で生産年齢人口が1000万人も減少すると予想されており、人手不足は深刻だ。その一方で、労働者の属性は女性、シニア層、外国人などと多様化し、フリーランスの増加に見られるように個人の働き方やモチベーションもまた多様化している。こうした「多様化する従業員」をよりよく理解することが、これからの企業にとって重要になるというのがSAPの見立てだ。

 まず、HXMの土台となるSuccessFactorsは、勤怠管理や各種労働規制遵守といった“守りの人事”から、先進的なAI分析による人材活用といった“攻めの人事”まで、人事に必要なすべの機能を網羅するクラウドソリューションだ。国内でもすでに350社以上が導入しており、そのユーザー数は130万人に上る。グローバルでは6700社以上、1億ユーザーの実績を持つ。

SAP SuccessFactorsの全体像

 ここに組み合わせるのが、クアルトリクスの従業員体験(EX:エンプロイーエクスペリエンス)管理ソリューションであるEmployeeXMだ

 EmployeeXMでは、適切なタイミングで従業員にアンケートをプッシュ配信し、自社に対するエンゲージメントや職場に対する評価など、個々の従業員の心情や感情を収集/分析し、さらには人事担当者が実行すべき改善アクションも提案する。これにより、「今何が起こっているのかを把握できるだけでなく、なぜそれが起こっているのかを捉えることができる」(稲垣氏)という。

 クアルトリクスのカントリーマネージャーを務める熊代悟氏は、EmployeeXMについて「感情データの収集と分析だけでなく、具体的な改善アクションを提案する部分が差別化要素」であり、「1つのプラットフォームで(従業員体験管理の)PDCAを回すことができる」と説明する。近年では従業員アンケートを導入している日本企業も増えたが、年に1~2回の実施がほとんどであり、従業員に対する深い理解にはつながっていないと指摘する。「応募、面接、採用、研修、リーダーシップ、退職と、入社から離職までの従業員ライフサイクルを通じて、体験を理解する必要がある」(熊代氏)。

クアルトリクスのEmployeeXMが捉える“従業員体験”と、それを管理職が理解するためのダッシュボード

 なお、SAPは2019年に開催した年次イベント「SAPPHIRE NOW 2019」において、体験(Experience)の“Xデータ”と運用/業務(Operation)の“Oデータ”を収集/活用して、新たなビジネス価値創出につなげるというビジョンを提唱した。今回のHXMは、この戦略に沿ったものとなる。

パートナー9社を発表、人事ソリューションエコシステムを構築

 今回のHXMソリューション提供開始にあたり、SAPジャパンではパートナーとの提携も発表している。電子署名のドキュサイン・ジャパン、文書管理のオープンテキスト、就業管理/勤怠管理のKronos、社内業務プロセス一元管理のServiceNow Japan、デジタルツール社内定着化支援のWalkMe、人材スキル管理のイノービア、Web面接プラットフォームのZENKIGEN、メッセージプラットフォームのSlack Japan、「駅すぱあと」のヴァル研究所の計9社で、HXMに各パートナーソリューションを組み合わせて提供する。HXMと各システム/サービス間はシングルサインオンで利用できる。

パートナー9社と提携し人事ソリューションのエコシステムを構築。SAPジャパンでは今後もさらにエコシステムの拡充を図っていく方針

 パートナーソリューションとの連携で実現する従業員体験のデモも披露された。企業がSuccessFactorsで作成/運用する採用情報サイトを見た転職希望者は、ZENKIGEN「HARUTAKA」でエントリー動画の提出やライブ面接を行う。採用決定後は、OpenTextを使って内定通知書などの書類を作成し、ドキュサインの署名/捺印機能で合意の電子証跡を残す。

 入社手続きの一部である通勤手当の申請では、ヴァル研究所の駅すぱあとによって住所から自動的に最適ルートが割り出される。さまざまな部門が関与する入社後のオンボーディング業務(受け入れ準備)はServiceNowによって一元管理される。入社前後の他の従業員とのコミュニケーションはSlackを通じて行い、しばらくして落ち着いたころに、クアルトリクスのシステムで、内定から入社までの体験がどうだったかの評価を求めるアンケートが届く。

従業員(求職者/新入社員)視点のデモ。SucessFactorsで企業がセルフサービス管理する求人ページから応募。契約書類へ署名や捺印はドキュサインで電子的に実行できる

 もうひとつ、工場マネージャーを想定したデモでは、Kronosが備えるAI作業量予測と最適なシフトの自動生成などの機能が紹介された。また、クアルトリクスによる従業員アンケートから、チームのエンゲージメントにおける課題が自動抽出され、その改善アクションが提示されるようすも披露された。

管理職(工場マネージャー)視点のデモ。クアルトリクスがチームメンバーのエンゲージメントにおける課題を自動抽出、改善アクションを提示

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