5月22日よりグーグルは、Googleマップに「車椅子での利用」を促進する機能を搭載した。日本、アメリカ、オーストラリア、イギリスなど複数の国で同日より、順次利用可能になる。対応OSは、AndroidとiOS。
グーグルがこの件について開催した記者説明会での内容をベースに、グーグルの考える「地図でのアクセシビリティ対策」について考えてみよう。
経路だけでなく「目的地」での車椅子対応もわかる
Googleマップのプロダクトマネージャーであるラズロ・ブリサック氏は、「全世界には車椅子の利用者が1億3000万人いて、日本だけでも400万人に上ります。一方、移動はとても複雑です。家族とレストランに行っても、入り口が車椅子対応でなくては入れなかったり、かろうじては入れても、トイレが車椅子に対応していなかったりします」と現状を語る。
そうした状況を解決するために用意されたのが、今回の改善である。
実は以前より、経路検索機能においては、駅の通路案内などのために「車椅子対応」が行われていた。経路検索後に「オプション」をタップし、そのあと「車椅子対応」を選べばいい。
だが、これはあくまで経路検索であり、「目的地がどうなっているか」を調べることはできなかった。今回の改善は、レストランや各種施設など、目的地の対応状況がどうなっているかを表示するためのものだ。
使い方・考え方としては経路検索での対応に近い。検索のオプションに「車椅子対応」があり、それを選んでおくと、関連するものだけがピックアップされる。
それだけでなく、各施設の情報には「車椅子対応」を示すアイコンが表示されるようになったし、入り口・席・トイレ・駐車場のそれぞれが対応しているかどうかも表示されるようになっている。
これで、「移動中」から「移動後」まで、全方位で車椅子対応の情報を確認することができるようになった。
今回、各施設での車椅子対応状況を表示するために主に使われているのは、レストラインや施設の情報などを口コミで投稿する「ローカルガイド」機能である。今も、レストランの評判やメニューの写真、開店時間や込み合う時間などを確認するために使っている、という人も多いのではないか、と思う。そこに車椅子対応の情報を追加していくことで、「Googleマップとして検索可能な情報」を増やしていった……ということになる。
ただし、「使われているのはローカルガイドの投稿だけでなく、複数の情報源を組み合わせています」とブリサック氏は説明する。
グーグルには、店のオーナーなどがGoogle検索やGoogleマップに掲載するためのデータをGoogleに掲載し、正しい情報が検索で出てくるように管理するための「Google マイビジネス」というツールがある。Googleマップの施設情報は、ローカルガイドの投稿とGoogleマイビジネスにオーナーが投稿された情報が組み合わせて表示されていることが多い。今回の車椅子情報も、基本的には同じことと考えていい。