マイクの性能も大事な要素
音質はマイクの性能によっても大きく左右される。今使っているマイクは音質が良いのか悪いのか、実に把握しにくい。音楽制作でもしない限り、マイクの音質にこだわって購入することはあまりないだろう。
イヤホンやヘッドホンだと家電量販店で試聴ができるが、マイクはそれができない。だからマイク選びは難しいのだ。
経験上、劣悪な音質になりがちなのは、安価なマイク付きイヤホンだ。マイク付きイヤホンのマイクは口に近い位置にマイクがあるので残響音はあまり拾わないが、そもそもマイクの性能がチープすぎて昔の携帯電話のような音質になるものが多い。ウェブカメラやノートPC、スマホも機種によっては同様の傾向になるものがある。
また、Bluetooth接続のマイクも音質が悪いものが多い。これはマイクの性能というより、リアルタイム性を重視するためにビットレートを低くしたHFP(Hands-Free Profile)というプロトコルに起因している。BluetoothイヤホンでZoomに参加している人の声がガビガビだったらこのせいだ。
マイク選びですべてを解決させよう
以上のことから、「性能の良いマイクを、口の前に持ってきて使う」というのが音質を向上させる単純で最短の方法になる。普通に会話をするだけでは飽き足らず、より良い音質を追求したい人のために、マイク選びを考えてみたい。
まず、マイクは音楽用途にも対応するものを選びたい。1万円前後のベーシックな機種で十分だ。
そして、マイクをPCにどうやって繋ぐかを考える必要がある。音楽用途のマイクの場合は、オーディオインターフェースが必要だ。マイクを接続するためのXLR端子のあるオーディオインターフェースを用意しよう。もしくは、USBマイクというのもある。これはマイクの中にA/Dコンバーターが内蔵されているので、オーディオインターフェースを別途購入する必要はない。ただし音楽用途の機種は多くない。
参考までに、筆者自宅の環境を紹介する。
マイクの手前にポップガードを配置している。これは「パ」「バ」などの破裂音による空気で一瞬の音割れを防ぐためのもの。ネットラジオ収録のために装備しているが、通常のオンライン会議用途であればそこまで気にする必要はない。
筆者が使用しているマイクはSeide(ザイド)の「PC-Me」というモデルだ。価格は1万円前後のベーシックモデルだが、音楽用途ということもありボーカルを収録しても十分な音質が得られる。
オーディオインターフェースとしてZOOMの「H4n」というハンディレコーダーを使用している。XLR端子を2系統装備した本機は、USBにてPCと接続することでUSBバスパワー駆動のオーディオインターフェースとなる優れものだ。もちろん本体上部のマイクを利用することもできる。
以上のことから、性能の良いマイクを口の前に持ってきて使うという単純な対策で、メリハリのある音質かつ残響音も少なく収録することが可能となる。
オンライン会議に音質で差を付けることはもちろん、ポッドキャストやYouTubeの番組配信、さらには歌ってみた、弾いてみたといった音楽用にも転用できるマイク環境。
マイク選びの難しさはあるが、是非思い切って1万円クラスのコンデンサーマイクの世界に飛び込んでみてほしい。
筆者紹介───BUBBLE-B
ミュージシャン・ライター・飲食チェーン店トラベラー。
90年代前半の高校時代にテクノの洗礼を受けてから、作曲活動を開始。90年代末期、サンプリングを多用したトラックはナードコアテクノと呼ばれる流れを作り出した。現在もダンスミュージックを軸に、テクノやハウス、ドラムンベースのフレーバーを持つ楽曲とMVを多く制作。
DJとしてはJ-POPを選曲し、少し懐かしの曲からネクストヒットを感じさせる最新の曲まで幅広いゾーンの中から、その場のお酒を美味しくするための選曲を心がけている。
また、外食チェーン店の1号店を巡ることをライフワークとし、日本唯一の1号店専門ブログ「本店の旅」を更新中。