普段使いのメモ帳としてはもちろんアイディアノートやスケジュール帳にもなる!
あえてデジタルノートっぽさではなく紙のノートのように自由に書けることにこだわりを感じる電子ペーパー「QUADERNO」
2020年05月14日 09時00分更新
専用ペンでメモが書けるだけでなく、タッチ操作にも対応している「QUADERNO」。紙に近い電子ペーパーによる表示で視野角を気にする必要がなく、さらに日中の日差しの中でも読み書きできるとあって、使う場所に縛られない自由なデバイスとして魅力的な製品だ。
前回は、紙で行なっていた原稿チェックという作業をQUADERNOで肩代わりできるか試してみたが、これは主にリーダーとしての機能を重視したものだ。今回は、手書きメモとしての使い勝手がどうなのかをチェックしていこう。
豊富なテンプレートから選べる手書きノート
ノートの作成方法は、本体上部中央にあるホームボタンの押下で表示されるホームメニューから。ドキュメントを開くのと手順は同じで、基本的に、QUADERNOを使う時はこのメニューから操作する。
このメニューから「ノートの作成」をタップすると、新規で作成できる。もしすでに作成済みのノートを編集したいというのであれば「ノート一覧」を開き、その中からファイルを選択する。
新規作成時にはテンプレートを選択できるが、実はこのテンプレートは公式サイトで「リフィル」として配布されている。デフォルトのテンプレートを間違えて削除してしまった場合でも再度登録できるほか、追加で用意されているリフィルを登録すれば、新たなテンプレートにできるというのが面白い。
五線譜、原稿用紙、記録ノート、分析などが公開されているので、こちらを活用するのもいいだろう。
テンプレートを選ぶと背景のあるノートが表示され、書き込み可能になる。なお、テンプレートといっても入力欄がしっかりと作られているわけでも、書き込める場所が限られているわけでもなく、何だったら完全に無視して自由に書くことも可能だ。
デジタルノートとなればデータ利用のしやすさなどを考慮し、見出しやメモの一部を管理するため、定型入力欄を作りたくなってしまう。しかし、こういった無理なデジタル化が使いにくさの原因になりがちだ。このあたりを割り切り、あえてデジタルノートっぽい機能は捨て、紙のノートと同じように自由に書けるままにしたというあたりに、こだわりが感じられた。
メモの感触は紙のノートと同等
マーク検索が意外に便利!
ノートの書き込みに使える機能は前回の原稿チェックと同じで、ペンの色、太さ、消しゴムの大きさが変えられる程度で、多機能ではない。
書き味やペン先の追従性についてはまったく問題なし。書いてから表示されるまで少しラグがあるが、これは表示だけ。試しに適当に文字を走り書きしてみたが、ペン先の位置は常時しっかりと認識されているため、筆跡のズレや取りこぼしはなかった。ちゃんとした絵や図を描く用途には向いていないが、ざっくりとしたラフや図、指示などを書くには十分だ。
手書き文字は認識されないため、本文検索機能は使えなかったのだが、その代わりマーク検索機能が活躍してくれる。これは「☆」や「*」といった手書きの記号を認識し、検索できるというもの。後でノートを見返した際、該当部分を素早く見つけられるというのがメリットだ。
マークが2種類しか使えないのため細かな分類はできないが、重要な部分、あとで見返したいポイント、同じことに言及した部分などに付けておくと、意外と重宝する。5つくらいに増えてくれればかなり使い勝手が向上しそうなだけに、将来の対応に期待したい。
ノートとは一味違ったスケジュール機能
テンプレートによって背景が違うとはいえ、ノートはすべて自由に手書きできるという点で同じだ。これに対し、独立した機能としてあるのがスケジュール。カレンダーが表示され、マンスリー、ウィークリー、デイリーの3つの画面で切り替え記入できる。
デジタルデバイスでスケジュール管理というと、スマホと連携して通知が……といったように考えがちだが、QUADERNOはあくまで紙のノート、手帳と同じ。つまり細かく書けるだけで、予定を知らせる機能は搭載していない。
分刻み、時間刻みの予定を管理するには不向きだが、その日のミーティング内容やまとめ、アイディアメモなどもまとめて書き込めるため、後から通して見返すと、いつ、どこで、何をしたのかがわかるのが面白い。日記帳のように使うというのもありだ。
これ以外に、ドキュメントスキャナーの「ScanSnap」との連携機能も装備。パソコンを使わず紙の資料をデジタル化してQUADERNOに取り込み、すぐにペンで書き込むことも可能だ。もちろん対応するスキャナーが必要となるため誰もが利用できる機能ではないが、もし家や会社にあれば、使わない手はないだろう。
紙のノートを置き換えるユニークな電子ペーパーデバイスがQUADERNO
QUADERNOは、「この機能でこの使い方を実現」といったように使い方が想定されたものではなく、「こんな風にも使えそう、あんな風にも使えそう」といったように、使い方次第でどんな用途でも活用できそうなのが最大の特徴だ。
パソコンやスマホとの高度な連携やスケジュールの共有など、いわゆるデジタルノートらしい使い方はできないものの、こういったガジェットが捨ててしまった紙のノートのよさ、手書きの柔軟さを追求したデバイスがQUADERNO。シンプルに紙のノートの置き換えとなり、手書きメモができる電子ペーパーデバイスと考え、型にとらわれない使い方がハマれば、手放せないものとなりそうだ。それだけの可能性を秘めている。