なぜレモン汁をかけると色が変わるの?
ブルーベリージャムを使ったホットケーキや、紫キャベツを使った焼きそばにレモン汁をかけると赤っぽい色に変化しました。なぜなのでしょうか?
ブルーベリーや紫キャベツには「アントシアニン」という紫色の色素が含まれています。アントシアニンは、酸性のものと反応すると赤色、アルカリ性のものと反応すると青色に変化する性質があります。
実際に、紫キャベツ溶液に酸性のものを加えたときの反応を見てみましょう。紫キャベツを煮た溶液はアントシアニンの紫色ですが、酸性のお酢やレモン汁を入れると、写真のように赤色になります。
一方、紫キャベツ溶液にアルカリ性の重曹を入れると、紫色から青色に変化します。
酸性やアルカリ性は、水溶液にどれだけ水素イオンや水酸化物イオンが含まれているかによって決まります。水素イオンが多い酸性の状態では、アントシアニンが青い光を吸収し、赤い光を反射するため赤く見えます。一方、水酸化物イオンが多いアルカリ性の状態では、アントシアニンが赤い光を吸収し、青い光を反射するため青く見えます。
この水素イオンの濃度を表す指標を「pH(ピーエッチ、ペーハー)」と言い、水素イオン濃度が高いほどpHは小さくなります。具体的には、水素イオン濃度が10倍になるとpHは1減少し、逆に水素イオン濃度が10ぶんの1になるとpHは1増加します。強い酸性のものほどpHは小さく、強いアルカリ性のものほどpHは大きくなります。このようにして水溶液を酸性かアルカリ性か調べられるのです。
紫キャベツ溶液実験の色の変化の様子は、動画でもお楽しみいただけます。
『【10の手順で自由研究】紫キャベツで実験しよう!【科学実験】』
外出自粛中にも科学の一端に触れられる!
今回は、お家で子どもと楽しめる、色が変わるホットケーキと焼きそばの作り方と、その原理をご紹介しました。ブルーベリーや紫キャベツのような食べ物の色素を使った実験は、特別な実験キットがなくても手軽に試せるので、とてもおすすめです。
学校で習う酸性・アルカリ性の内容に触れられるのも、この実験の魅力の1つ。お家で過ごす時間が増えたであろうこの時期、科学の一端に触れる機会になれば大変うれしいです。ぜひ、子どもと一緒に試してみてください!
■注意事項
・小学生など低年齢の子どもが実験をするときは、必ず保護者の指導のもとで実施してください。
・ホットプレートやフライパンを使うときは、とても熱くなるので火傷をしないように気をつけてください。
■参考文献
・尾嶋好美著『「食べられる」科学実験セレクション 身近な料理の色が変わる? たった1分でアイスができる?』(SBクリエイティブ)
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