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ASCII STARTUP イベントピックアップ 第74回

「第2回 メドテックグランプリ神戸」レポート

「涙で乳がん検知」が受賞 医療改革を目指す企業を育成するコンテスト

2020年04月28日 09時00分更新

文● 野々下裕子 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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 創業期の健康・医療スタートアップ支援に取り組む神戸市および神戸医療産業都市推進機構は、リアルテック領域事業の種を発掘し、ビジネスとして芽吹かせるプランターの役割を担うプログラム「テックプランター」を運営するリバネスと連携し、次世代技術と情熱をもって健康医療関連の健康・医療の世界を変えようとするチームを発掘・育成することを目的とするビジネスプランコンテスト「メドテックグランプリ KOBE」を実施している。

 第2回目は全国から61チームの応募があり、書類審査で選ばれたファイナリスト12チームが2019年12月15日開催のデモデイで発表を行なった。パートナー企業による13名の審査員が質疑応答をして、企業賞10社、最優秀賞1社が選出された。ここでは受賞者を中心に紹介する。

デモデイは当初10月12日の開催を予定していたが台風の影響で延期となり12月15日の開催となった

 開催にあたり神戸市の岡口憲義副市長は挨拶のなかで、21年目を迎える神戸医療産業都市は、神戸の産業活性化する大きな起爆剤として2020年秋にはライフサイエンス分野のベンチャーのを支援する活動拠点も設立されることを紹介。「イノベーティブなヘルステックベンチャーの育成に力を入れ、国内最大の医療クラスターが形成されている神戸でぜひ活躍してほしい」と述べた。

神戸市の岡口憲義副市長

 運営を担当するリバネスの福田裕士氏は、2019年2月の初開催では24チームが参加していたが、今回は61チームにに増えたこと、また、テックプランターで扱う他ジャンルのなかでもメドテック分野の参加は圧倒的に多く、2年間で36名の研究者と49社が発掘できたと説明。現在、第1回目の勝者と一緒にビジネスプランの実現に向けても動いており、「新しい医療や健康サービスを作るためにワンチームで取り組む本プログラムをビジネス実現のきっかけにしてほしい」とコメントした。

リバネスの福田裕士氏

「メドテックグランプリ KOBE」は2019年2月に初開催され「超聴診器」を開発するAIMが最優秀賞を受賞した

自分専用の「バイオチューブ人工血管」
バイオチューブ株式会社 三井化学賞

 生体内組織形成術を活用して、鋳型を皮下に埋込むだけでコラーゲンからなる自分専用の「バイオチューブ人工血管」を作る技術を開発している。自分の体の中で作るので、手術で埋め込んでも一生使える。すでに臨床でも使用が始められており、厚生労働省の先駆け審査指定も受けており、下肢用を最優先に透析用としても実用化を目指している。今後は子供用や動物の体内で作るなど技術の応用も進め、より多くの治療に対応できるようにする。

尿検査によるストレスチェックサービス
株式会社RESVO 損保ジャパン日本興亜賞

 精神疾患発症危険状態(ARMS)において発見された尿中の複数マーカーの測定・分析により、メンタルストレスを数値化した可視化を実現。コア技術は特許出願中で、精神疾患の発症リスクを事前に検知し、予防する、世界初の尿検査によるストレスチェックサービスの実用化を目指す。同様の技術は海外でも他社も開発しているが、予防にフォーカスしているのは同社だけだという。血液より簡便に検査ができ、測定に必要な時間は約2週間で病院以外でも可能なことから、ケアする方法の開発も検討している。実用化には大量のエビデンス必要なので、その協力者を求めている。

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