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最新パーツ性能チェック 第295回

Ryzen Threadripper 3990Xで新型コロナウィルス解析の分散コンピューティングに参加するとどうなる?

2020年04月27日 00時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ASCII

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Folding@HomeだとRyzen Threadripper 3990Xは余裕すぎる

 Folding@Homeはタンパク質の折りたたみ問題を扱うための分散コンピューティングプロジェクトだ。タンパク質を構成するアミノ酸の種類と数が分かっていても、これがどういう立体構造になっているのかまでは完全に解明されていない。

 100個ほどのアミノ酸で構成されていた場合、考えられるタンパク質の構造は10の60乗ほどあるが、正解の構造はたった1つだ。この立体構造が分かれば、どこにどういった分子が作用してどういった結果を生む、というメカニズムを知る手がかりとなる。

 Folding@Homeの導入についてはジサトライッペイ氏が解説しているので改めて解説はしない。Folding@Home上で「Any disease」を選択することにより、SARS-CoV-2に関連するタスクが割り振られる可能性がある。「可能性がある」というのは、現在Folding@Homeには世界中からユーザーが殺到しており、仕事(ワークユニット)の割り振りがやや滞り気味になっているからだ。

 Folding@Homeの処理は「Light」「Medium」「Full」の3段階があって、Fullの方が重くなる。今回GPUはRTX 2080 Tiを搭載しているが、CPUの働きに注目したいのでGPUは処理から外れるよう「Configure」で設定した。

Folding@HomeのWebインターフェース。ここで計算力をどの程度使うことを許可するか設定できる。非力なPCなら「Light」かつ「Only when idle」の組み合わせが良いが、Ryzen Threadripper 3990Xなら「Full」「While I'm working」でも余裕だろう

Folding@HomeのAdvanced Controlから「Control」→「Slots」と進むと、どのデバイスを利用するかの指定ができる。「1-gpu」というエントリーがあるが、これをRemoveして図のような状態にすれば、GPUは使われなくなる

 Folding@Homeはマルチスレッド化されており、ユーザーが利用するスレッド数を決めることができる。だが現時点でのFolding@Homeクライアントは32スレッドまでしか使わないため、Ryzen Threadripper 3990Xには余裕もいいところだ。だがこれは裏を返せば、普段使いの裏側でFolding@Homeを使い続けることができることを示している。

Folding@HomeのCPU占有率。Full設定でもRyzen Threadripper 3990Xの3割程度しか使っていない。占有率の偏りを見た感じ、プロセッサーグループの壁は越えられないようだ

Folding@Homeの使うスレッド数は前掲の「Configure」ウィンドウの「Slot」タブからCPUを選択し「Edit」を押すと編集できる。「-1」は自動設定だが、これを128にセットしても32スレッドまでしか使われない

「Light」設定だとCPU占有率はぐっと下がる。濃い部分が15コア、薄い分を集めると1スレッドで合計16コア分といったところか

「Medium」設定だと30コアくらいに負荷が高まる

前掲の「Full」とは別のシーン。ここでは32コア分のコアが濃くなっている

 Folding@Homeでユーザー名を登録すれば、自分の成果をポイントという形で確認できるので励みにはなるが、別に競技でもないし何かに交換できる訳でもない。ワークユニットの内容も常に変化するので「この程度のポイントになった」という指標は比較しない。だが、消費電力については知っておくべきだろう。

 今回はラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を利用し、Folding@Homeの3モードにおける消費電力の違いをざっと比較してみた。ただし処理中に消費電力は刻々と変動するため、目測で“だいたいの安定値”を見ているだけだ。

Folding@Home実行中のシステム全体の消費電力

 前述の通り今回はGPUを計算デバイスから外しているため、ほぼCPUの消費電力と考えてよいだろう。32コアあればワークユニットの処理も結構サクサク進むが、これを24時間/30日続けると電気代はざっと6600円〜7600円(1kWh27円で計算)となる。Ryzen Threadripper 3990Xは計算力の貢献はしやすいものの、パワーのあるCPUだけに電気代には十分注意したい。

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