Folding@HomeだとRyzen Threadripper 3990Xは余裕すぎる
Folding@Homeはタンパク質の折りたたみ問題を扱うための分散コンピューティングプロジェクトだ。タンパク質を構成するアミノ酸の種類と数が分かっていても、これがどういう立体構造になっているのかまでは完全に解明されていない。
100個ほどのアミノ酸で構成されていた場合、考えられるタンパク質の構造は10の60乗ほどあるが、正解の構造はたった1つだ。この立体構造が分かれば、どこにどういった分子が作用してどういった結果を生む、というメカニズムを知る手がかりとなる。
Folding@Homeの導入についてはジサトライッペイ氏が解説しているので改めて解説はしない。Folding@Home上で「Any disease」を選択することにより、SARS-CoV-2に関連するタスクが割り振られる可能性がある。「可能性がある」というのは、現在Folding@Homeには世界中からユーザーが殺到しており、仕事(ワークユニット)の割り振りがやや滞り気味になっているからだ。
Folding@Homeの処理は「Light」「Medium」「Full」の3段階があって、Fullの方が重くなる。今回GPUはRTX 2080 Tiを搭載しているが、CPUの働きに注目したいのでGPUは処理から外れるよう「Configure」で設定した。
Folding@Homeはマルチスレッド化されており、ユーザーが利用するスレッド数を決めることができる。だが現時点でのFolding@Homeクライアントは32スレッドまでしか使わないため、Ryzen Threadripper 3990Xには余裕もいいところだ。だがこれは裏を返せば、普段使いの裏側でFolding@Homeを使い続けることができることを示している。
Folding@Homeでユーザー名を登録すれば、自分の成果をポイントという形で確認できるので励みにはなるが、別に競技でもないし何かに交換できる訳でもない。ワークユニットの内容も常に変化するので「この程度のポイントになった」という指標は比較しない。だが、消費電力については知っておくべきだろう。
今回はラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を利用し、Folding@Homeの3モードにおける消費電力の違いをざっと比較してみた。ただし処理中に消費電力は刻々と変動するため、目測で“だいたいの安定値”を見ているだけだ。
前述の通り今回はGPUを計算デバイスから外しているため、ほぼCPUの消費電力と考えてよいだろう。32コアあればワークユニットの処理も結構サクサク進むが、これを24時間/30日続けると電気代はざっと6600円〜7600円(1kWh27円で計算)となる。Ryzen Threadripper 3990Xは計算力の貢献はしやすいものの、パワーのあるCPUだけに電気代には十分注意したい。
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