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グローバル化を目指す日本農業が優勝 ボクシング形式のピッチ大会

2020年2月開催の「GET IN THE RING OSAKA 2020」レポート

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ミドル級ピッチバトル準決勝第一試合

 ミドル級準決勝の第一試合に登壇したのはタイから来たQue Q Thailandと、株式会社日本農業の2社だ。

 Que Q Thailandは、デジタル支払いが可能なモバイル向けの仮想チケットプラットフォームを提供している。ユーザーはチケットに指定された時間に店舗に行くことにより、行列に並ぶ必要なく入店、サービスを受けられる。アプリ上で決済も可能だ。

 日本農業は日本の高品質な農産物の輸出を支援し、そのブランド化や知財の保護・輸出をしている。ドメスティック市場だけでは拡大の見込めない日本の農業をグローバル化し、儲かる産業へと転換することが目標である。

 Que Q Thailandはアプリの開発に100名体制で取り組んでいる。ここ3年で知名度が上がってきており、200万人のユーザーがいる。神戸市も参画している起業家育成プログラム「500 Kobe Accelerator 2019」やシリコンバレーで開催されたグーグルのプロジェクトにも参加した。昨年数百万ドルの収入があり、ユーザーベースも毎月20%伸びている。

 収益源は毎月のサブスクリプションフィー、決済手数料、広告だ。主な顧客は大戸屋やペッパーランチなど。今は東南アジアでの展開が中心だが、2020オリンピックや2025大阪万博をきっかけに日本にも展開したいと考えている。

 Que Q Thailandはおよそ12ヵ月前に300万ドルを調達した。いまは10億円のシリーズBを計画している。今後アジアで展開していく予定だが、LINEや楽天など他社と接続するための技術も開発する。

Que Q Thailand

 日本農業は、中国人やタイ人を含む35名のメンバーを抱えており、現地のスーパーマーケットと日本の農家をつないでいる。創業から4年ですでに東南アジア向けの日本最大の果物輸出業者になっていて、東南アジアで競争力のある特許を8個取得している。

 この3年間は東南アジアが主戦場だったが、今年からは中国およびインドでも展開を開始した。5年後をめどにアフリカや南米でも事業を始める計画があり、競合他社に比べてブランド、知財、オペレーションにおいて強みがある。

 2019年5月にシリーズAとして8億円を調達した。今年5月は2億円の調達を目指している。これは、既存マーケットだけでなく中国などの新しいマーケットの開拓への使用が狙いだ。また、世界で戦うためのパートナーも募集している。

 日本農業に対しては、不振にあえぐ日本の農業に投資をするのはいかがなものかとの質問があった。それに対して「海外市場を見据えて生産性を上げれば価格においても米国やニュージーランドなどの農業大国とも競争できる」との回答があった。

株式会社日本農業

 ミドル級準決勝第一試合の勝者は日本農業となった。その理由として、スケーラビリティ、ユニークネス、日本の農家もインドなどの農家も助けるポテンシャルが挙げられていた。

ミドル級ピッチバトル準決勝第二試合

 ミドル級準決勝の第二試合は株式会社HACARUSとEAGLYS株式会社とに決まった。登壇者は英語ネイティブだが、いずれの会社も本社は日本。HACARUSは京都、EAGLYSは東京の東西対決となった。

 HACARUSはディープラーニングより効率的なスパースモデリングを用いた医師支援システムを開発している。例えば日本で1分に2名がなくなっていると言われる脳梗塞には、年間1.7兆円の医療費が費やされる一方で、その診断や画像解析には非常に高いスキルが必要とされる。AIを用いてより速く、信頼できる意思を決定できるように支援する。

 すでに大阪ガス、三菱電機、バイエルなどでの採用実績がある。システムの提供だけでなく、データサイエンスコンサルティングなどのサービスや、知識データベースの販売なども予定している。

 同社はシリーズAでの資金調達3.7億円は完了した。スケールアップのためにシリーズBを募集している。日本だけでなく欧州や米国にも展開したいとのことである。

株式会社HACARUS

 EAGLYSは量子コンピューティング耐性の高い暗号化技術を用いて、安全にデータ集積からデータ解析、AI構築・運用、データ管理までを一括で進める秘密計算プラットフォームを開発している。データの交換時、復号せずに検索や分析などを処理できるところが特徴だ。

 EAGLYSが担うのはAI市場だが、企業によるデータの暗号化に対応するため、ビッグデータ市場も見ている。ビッグデータ市場は2024年までに1000億ドルに達すると言われている。AI企業と連携し、ターンキープロダクトを提供していく。

 昨年2.2億円を調達している。これもあって、今年の経常収益は1.5億円から2億円程度に伸びていく予定だ。

EAGLYS株式会社

 ミドル級準決勝第二試合の勝者はEAGLYSとなった。その理由は、AIテクノロジー企業ならすべてEAGLYSの顧客となりうる、そういうスケーラビリティが注目されていたからだ。

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