外部サービス連携やコンサルティング、インテグレーションを推進
名刺交換もオンラインで実現!Sansanが新事業戦略「Sansan Plus」を発表
2020年03月12日 10時30分更新
2020年3月11日、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」は新たな事業戦略である「Sansan Plus」を発表した。コロナウィルス対策として、記者会見はYouTube Liveの配信にて行われた。
他サービス連携とコンサルティング、データマネジメントが3本柱の「Sansan Plus」
Sansan PlusはSansanにさまざまなオプションを用意し、従来は法務や経理といった専門部門が持っていたデータを名刺から検索することで、顧客が業務効率化やデータ価値の向上を実現できるようにするもの。
「これまで必要な情報を得るために名刺を検索していました。しかし、これからはもう一歩先へ進化したい。名刺を検索するのではなく、名刺で検索する世界。つまり、名刺をスキャンすることで、ビジネスに必要な情報が集まってくるようになるのです」とSansanの代表取締役社長CEOの寺田親弘氏は説明する。
たとえば、名刺を基点に、どんな商談をしたのか、どんな契約を交わしたのかがすぐにわかる。時には、その企業が取引をしてはいけない反社会的勢力ではないか、ということもチェックできるようになる。
Sansan Plusは「Sansan Plus App」と「Sansan Plus Consulting」「Sansan Plus Integration」の3つから構成されている。
Sansan Plus Appは外部のサービスと連携し、これまでになかった価値を提供する。すでに、「アンケートオプション powered by CREATIVE SURVEY」と「リファラル採用オプション for Eight」は提供済み。2019年10月に発表した「反社チェックオプション powered by Refinitiv」は3月中旬に提供予定、2020年1月に発表した「契約管理オプション for クラウドサイン」は5月に提供予定となっている。
なおSansan Plusをより強く推進するために、3月からSansan事業部Sansan Plus推進部を新設し、部長として尾中倫宗氏が就任した。
今回はさらに2つの機能を発表した。「商談管理オプション for Salesforce」ではSansanの画面上で、名刺を交換した相手企業に関連するSalesforceのデータを表示できるようになる。名刺データから直接商談の検索が可能になり、サービスを切り替えたり、検索し直したりする手間が省けるのがメリットだ。
セールスフォース・ドットコム 執行役員 アライアンス事業 AppExchangeアライアンス部 部長 御代茂樹氏は「これまではSansanの名刺データをSalesforceに取り込むという一方通行の連携でしたが、商談管理オプション for Salesforceでは名刺の情報からSalesforceに格納されている商談の情報まで一気に繋がるようになります。今まで取引先のキーマンの情報と、商談の情報を一元的に把握することは困難でした。商談管理オプション for Salesforceにより、さまざまな部署で走っている営業の情報を1画面で俯瞰的に把握できるようになります」と語る。
もう一つが、「企業情報オプション powered by 帝国データバンク」で、帝国データバンクの「DataDrive BasicCloud」と相互連携し、ユーザが保有するTDB情報をSansanの画面上で名刺と紐付けて閲覧できるようになる。こちらも、サービスを切り替えずに利用できるのがメリット。さらに、帝国データバンク側で、Sansanの名刺情報を閲覧することもできる。本機能は6月に提供予定となっている。
帝国データバンク 企総部企画課副課長 矢内紘之氏は「当社は日本国内最大級の信用調査データベースを核とした企業情報サービスを展開しています。Sansanとは2016年から様々な連携をしています。企業概要情報をSansanの画面で見られる機能を実現しました。今回の連携では、人と企業の結びつきをさらに強化したいと考え、帝国データのクラウド型顧客情報管理サービスであるDataDriveとSansanが相互にAPI連携することを検討しています。今後もデータの力で顧客への提供価値を最大化する取り組みができれば幸いです」と語る。
3つ目の柱であるSansan Plus Consultingでは、コンサルティング会社と連携し、Sansanを活用した企業のデジタル化を支援する。従来も、Sansanの導入に当たっては、同社のスタッフがコンサルティングを行っていたが、こちらは続行。さらなるデジタル活用のためのサービスを行うためという位置づけだ。第1弾の連携企業としては、アクセンチュアが参加する。
アクセンチュア インタラクティブ本部マネジング・ディレクター 槇隆広氏は「アクセンチュアは世界最大級のコンサルティング企業です。120カ国で40以上の業界のお客さまに対して、戦略の立案から業務のコンサルティング、または先端技術を使ったシステムの構築を行っています。「Sansan Plus Consulting」でやろうとしているのは、活用の方法のデザインです。サービスやデータがあっても業務に適用して、実際に成果を出すにはコンサルティングが欠かせないピースです。長年の業務コンサルの経験を活かしながら、データ分析の結果で得られた示唆を課題解決のアクションにつなげていくことを支援していく役割でパートナーシップに参画したいと思っています」と語った。
「Sansan Plus Integration」はデータ活用に特化したパートナーと連携し、デジタルトランスフォーメーションを後押しするもの。第1弾では、toBeマーケティングおよびリアライズと提携する。
toBeマーケティング 代表取締役CEO 小池智和氏は「当社は企業のマーケティングの目指す姿へ、というビジョンの元、Salesforce専業のインテグレーションパートナーとして、Salesforce各種製品を組み合わせたコンサルティングと導入支援のサービスを行っています。今回、「Sansan Plus Integration」パートナーとして参画しまして、その中で多くの企業の本来あるべき姿のデータにすべくインテグレーションサービスを提供していきたいと思います」と語る。
また、リアライズ代表取締役社長 大西浩史氏は、「当社は20年間、お客さまの情報活用を実現するプロフェッショナル集団です。我々は、Sansanの正確な名刺データ化技術とあらゆるデータベースに存在する顧客データを正確に名寄せすることが可能な、Sansanデータハブを誰よりも効果的に提案可能なプロフェッショナルです。今後も、Sansanとの連携を強化し、ツールの提供にとどまらず、ほとんど活用されていない企業に眠るデータの民主化を実現したいと考えています」と語る。
名刺交換もオンライン交換へ
また、Sansanそのものに追加される新機能「オンライン名刺/オンライン名刺交換」も発表された。
Sansanの寺田氏は、「今、世の中の働き方は大きな変化に直面しています。本日の記者会見もそうですが、新型コロナウィルスの影響で、政府からも時差出勤やリモートワークが推奨されています。オンラインでの出会いも、オフライト同じように人と人との出会いです。名刺交換は連絡先を交換するだけでなく、無意識にいろんな情報をやりとりしています。たとえば、『この部署どんなことやっているんですか?』『役職変わったんですね』『変わったお名前ですね』などと会話を始めた経験があると思います。そこにはひとつの体験が存在しています。こういった体験をオンラインでも実現できないかと考えてきました」と語る。
Sansanでは年内中に「オンライン名刺/オンライン名刺交換」を開発する予定だったが、昨今の流れを受けて、予定を大幅に前倒しして6月に提供を開始することになった。
「オンライン名刺/オンライン名刺交換」は、会社が社員に紙の名刺を持たせるように、社員にオンラインの名刺を持たせ、そのオンライン名刺をビジネスの出会いのシーンで交換するというもの。ユーザー自身の名刺情報が格納されているURLを送信するので、複数人に同時に送ることもできる。受信したユーザーがSansanを使っている場合は、名刺情報を開けるほか、顔写真も確認できる。
相手がSansanユーザーでない場合も、vCard形式でダウンロードし、PCやスマホに登録することが可能。さらに、表示されるQRコードを読み込み、手元にある自分の名刺を撮影することで、Sansanユーザーに名刺情報を渡し、登録してもらうことができる。なお「オンライン名刺/オンライン名刺交換」はSansanユーザーの基本機能として提供される予定だ。
「対面での交流を制限されてもビジネスを停滞させることのないよう、人と人との出会い、そこからはじまる物語を価値あるものに変えていきます」と寺田氏は締めた。