コレクターは元シャープOBの荒川氏(JA3AER)
これらの蓄音機は、実は個人所有。このコレクションは、元シャープ社員の荒川氏のものだ。元々ラジオや無線が大好きだった荒川少年。しかし部品を買うにはお金がかかるので、シャープに入社してから、本格的に無線や収集をやり始めたという。
当初テレビの修理担当として配属されたものの、客先で修理中になじられ、ののしられした悔しさで、社に戻り部品を見せエンジニアに詰め寄ったという。
エンジニアには、そこまで言うなら自分で設計してみろと言われ、開発に転身。そこで頭角を現し、さまざまなシャープ製品の設計を担当することとなる。特にカシオ対シャープの電卓戦争の際に、海外から取り寄せていたLSIに不具合が多く、供給元に改善要求を出すも暖簾(のれん)に腕押し。そこでLSIのセカンドソースを取得し、LSIをシャープ独自で改良し、性能が向上・安定したという。
以降は、世界各国でシャープの駐在員として活躍してい荒川氏。たまたまアメリカ駐在の際に、事務所の裏手で開催されていたビンテージの青空市場。ここで見つけたのが、エジソン式の蓄音機だという。以降、蓄音機をはじめラジオや切手など、あらゆるものを収集するようになったという。
さらに驚きは、今でもアマチュア無線活動を積極的に行なっていること。主に3エリア(関西)の週末で、各種バンドで声を出しているようなので、JA3EARのコールサインを聞いたらCQにこたえてみてはいかがだろう。
シャープペンの原点も見られる!
アテンダントの話を聞けばもっと楽しく!
貴重な蓄音機やラジオを見たり聞いたら、今度はシャープミュージアムをぐるりをと歩き回ってみよう。通常はアテンダントさんがついて、展示物ひとつひとつの歴史や技術を説明してくれる。展示は、シャープ創業当時からの歴史を順に追って見学できる。
創業当時のバックルやシャープペンを、実際に見たことがある人はほとんどいないはず。これらはショーケースに入っているものの、間近で見られるのでとても貴重だ。とくにシャープペンのバリエーションが楽しめるだろう。
ご婦人向けということで、とても細く短い製品だったが、次第に長くなっていったり、ペンに方位磁石や体温計、ハサミなどを合体させるあたり、合体好きなシャープのDNAを感じることができるだろう。
また最初に作ったラジオに始まる電子機器の歴史については、最初は「自分たちの生まれていない時代に、こんなものがあったのか!」という驚きを感じながらも、木でできた本体のどこかレトロな感覚が妙にカッコよかったりと、知らないながらもノスタルジックを感じることができる。
さらに時代を進めると、今度は自分が子供のときに見たことがある製品や、実際に使っていたことがある製品などが展示される。
一人で見ていても楽しいが、友達数人で来ると昔の製品から昔の記憶がよみがえり話に花が咲くこと間違いなし。特にファミリーや夫婦で来ると、ちょっと年代に差があると、なおさら楽しいはず。これは俺が中学のときに使っていたけど、奥さんは小学生の時だったなど会話が弾むだろう。
また昭和の哀愁漂うラジカセやポータブルテレビ、ビデオカメラにパソコン、電卓や電子レンジ、ワープロや携帯電話などさまざまな家電が展示されているコーナーでは、その1台1台を見るたびに、「あった!あった!」と声が出るはずだ。
最後は、シャープの技術解説や新しい技術の解説コーナー。テレビの仕組みや新しい透過型液晶、太陽電池パネルなどについて、アテンダントさんが技術を優しく解説してくれる。