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最新パーツ性能チェック 第283回

物理64コアCPU「Threadripper 3990X」は自作PC市場に降臨した“巨人”だった

2020年02月07日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラ ハッチ/ASCII

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コア数倍でもTDPが据え置き

 Threadripper 3990Xのスペックは、すでに報じられた通り。cIOD(Client I/O Die)に接続される(動作する)CCDの数が4基から8基に増えたただけで、設計的な変更点もない。cIODから8基のCCDはsすべてが独立したInfinity Fabricで連結され、各CCDからメモリーを読み書きするには、等しくcIODを経由してアクセスすることになる。

 第2世代Threadripperの2990WX/2970WXのようにNUMA(Non Unified Memory Access)ではなく、UMA(Unified Memory Access)であることがThreadripper 3990Xの大きな強みとなっている。ライバルであるXeonでThreadripper 3990Xと同規模のコア数を得ようとすれば、CPUは2ソケット。必然的にNUMAとなってしまう。ここがThreadripper 3990Xの強みといえるだろう。

Threadripper 3990Xのスペック

 すでに発売済みのThreadripper 3970Xとスペックを比較すると、コア数は単純に倍となっているものの、TDPは280Wで据え置かれているため、既存のTRX40チップセット搭載マザーボードでもBIOSさえ更新していれば問題なく使用できる。ただベースクロックは2.9GHzとかなり控えめになっているため、コア数よりもクロックが効くような処理では格下のThreadripper 3970Xや3960Xの方が速くなることは容易に想像がつく。

「CPU-Z」でThreadripper 3990Xの情報を拾ってみた。右下のCoresとThreadsの数に注目

タスクマネージャーの表示はThreadripper 3970X以上の迫力。あまりにコア数が多すぎて、ウインドウをある程度大きくしないと、コアのヒートマップが一望できない

 だが動作クロックの差異以上に気をつけねばならないのは、「プロセッサーグループ」と呼ばれるWindows(7より盛り込まれた)の仕様だ。Windowsでは論理64コアを1つのプロセッサーグループとみなす。つまりThreadripper 3970Xは論理64コアだから1プロセッサーグループに収まるが、3990Xは論理128コアだから2プロセッサーグループとOSから扱われる。そして困ったことに、基本的に1つのプロセスが使えるのは1プロセッサーグループのみだ。つまりアプリによっては、3990Xのコアの半分しか使えないこともあり得る。

 もちろんこれはアプリ側で対処することによりプロセッサーグループの壁を越え、論理128コアすべてを使用することが可能だ。ただ論理65コア以上の展開を見据えた設計になっているアプリはそう多くない。今回試した限りでは、CG系アプリでのみ確認できた。

タスクマネージャーで「詳細」を開き、あるプロセスに対し「関係の設定」を選択すると、どのコアで実行させるか決められることができるが、Threadripper 3990Xの場合は「プロセッサグループ」も追加される。グループ0ないし1のどちらかが選択され、同グループ内の論理64コア中から処理を受け持つコアが選択される

選ばれてない方のプロセッサーグループを選択すると、すべてのコアがノーチェックになっている。手動で「すべてのプロセッサ」にチェックを入れると、今までオンになっていた方が自動的にノーチェックになる

 そのため、AMDもThreadripper 3990Xを“史上最強のCPU”というストレートな押し出し方ではなく「猛烈な処理性能を求めるクリエイター向けCPU」とアピールしている。価格が高いので買う層もプロクリエイターに絞られるが、特にクロックよりもコア数が生み出す膨大な計算量がモノを言う作業のためのCPUといってよい。

AMDの資料より抜粋。Threadripper 3990Xのターゲットはコア数が生み出す圧倒的馬力が効く分野。有り体にいえばCGレンダリングやソフトのコンパイルといった作業だ

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