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Twitter ツイ廃には「とくに対応していません」

2019年11月26日 13時00分更新

文● 上代瑠偉 編集● ASCII

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「クソリプ」を表示しない機能を追加

 最後は、Twitterの健全性に向けた取り組みを紹介しよう。

 Twitter Japanの公共政策本部長である服部聡氏は、Twitterの共同創設者で、CEOも務めるジャック・ドーシー氏による「Twitterは公共の場所での会話の健全性、公開性、マナーの向上に取り組んでいき、その進歩の過程における説明責任を果たす」といった2018年3月のツイートを紹介。服部氏は「私たちは皆さまがTwitterを『安全な場所である』と感じていただけるような場所にしたいと考えております」と語った。

 具体的には、1月〜3月までの間に、凍結後に新たにアカウント作成しようとしたユーザーを10万件凍結。アプリ内からの異議申し立て機能を追加し、対応時間を60%以上削減したという。また、簡素化した新しい報告プロセスを採用することで、プライバシー情報を2.5倍以上削除したとアピールする。

 2019年からは、ユーザーが問題のあると報告したツイートはもちろん、テクノロジーを用いて積極的に問題のあるツイートに対応。攻撃的な行為によりTwitterが削除したツイートの50%以上は、テクノロジーを使って検出したと訴えた。

 2019年には、ツイートへの不愉快な返信、いわゆる「クソリプ」を一時的に表示しないようにできる新機能を追加。12月には、興味のあるトピックをフォローできる機能も追加予定。関心のあるトピックをフォローすると、そのトピックに関する情報をキュレーションして表示してくれるという。

 現在のTwitterは開かれた空間で、「日本は〇〇」や「女性は〇〇」といった主語が大きな主語が飛び交っているように見える。もしかしたら、「クソリプ」を非表示にする機能や、トピックをフォローできる機能など、今後のTwitterは少し閉じていくのかもしれない。

ツイ廃には「とくに対応していません」

 説明会の終了後には、服部氏に少し質問する機会を得た。

 「SNSを1日3時間以上使用していると精神的健康上の問題を発症する可能性が高いという研究がありますが、いわゆる『ツイ廃』にどのような対策を取っているのでしょうか?」と聞くと、服部氏は「今のところ、とくに対応はしていません」と回答。「もしかすると、リテラシーという広い括りの一環として、取り組んでいく必要はあるかもしれないですね。スマホ中毒といった話もありますが、個々のユーザーごとに事情や状況も違うと思いますので、それを決めるのが弊社なのか、誰なのかという問題があります。今後状況に応じてということだと思います」と補足した。

 「いわゆる『炎上』によってフォロワー数稼ぐ戦略のインフルエンサーや企業も見当たりますが、このようなケースには対策を取られる予定はありますか?」と質問すると、「違法であれば、弊社としても何らかなの対策を取れるのかと思います」と返答。一方で、「どこまでが炎上商法で、どこまでが自然なものなのか、区別がつかないですし、なかなかそこは難しいのかなと思います」と説明してくれた。

 「本当のことよりも、フェイクニュースの方が拡散されやすいという話もありますが、フェイクニュースや陰謀論への対策はどうでしょうか?」と尋ねると、「他社さんも同じようなことをおっしゃってると思うんですけど、『特定の一機関や一個人が物事の真偽を決めるべきではない』というのが我々が基本的なスタンスですので、ユーザーの方が個々で真偽の判断をしていただくべきだと思っています。我々としては、業界として、あるいは政府やNPO、教育機関と連携して、リテラシー教育に力を入れていく必要はあるのかなと思っています」と回答。

 「たとえば、私が『これ怪しいな』と思ってTwitterに報告した場合はどうなりますか? 一旦、放置されるんですか?」と確認すると、「(Twitterポリシーに照らして、対応の必要がなければ)どうにもならないです。放置です」と返答した。

 やはり現状のタイムラインどおり、Twitterは「安全な場所」にはまだまだほど遠いかもしれない。服部氏は、説明会のなかで、アプリ内の異議申し立て機能や、テクノロジーの活用による該当ツイートの削除など、現状を改善する取り組みを紹介。「まだまだやるべきことはたくさんありますが、我々はこういう取り組みをしていくことで、少しでも健全なプラットフォームにしていきたいと考えております」と展望を語っていた。Twitterが「安全な場所」になる日が待ち望まれる。引き続き、今後の取り組みに期待したい。

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