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「キンボウズ」オーナーによるリアルなkintone導入・活用の実体験

アナログ大好きな医療・介護業界でkintone情報を発信し続ける

2019年11月25日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●大谷イビサ

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 9月4日に名古屋で開催されたサイボウズの総合イベント「Cybozu Days 2019」では多数のセッションが行なわれた。今回は、その中から「どうしよ武器 kintone を取れ! 医療・介護業界のモンスターにいかに立ち向かうか」と題するセッションの様子を紹介する。

情報の少ない医療・介護業界でkintoneを活用してきたナレッジを紹介してくれた

少子高齢化が大きな課題となる医療・介護業界

 今年のサイボウズデイズのテーマは「モンスターへの挑戦状」となっている。そこで「私たちが楽しく働けないのは、会社の仕組みのせいなのではないか。会社がモンスターのように私たちを支配してしまっているからではないか」というテーマで、本セッションでは医療介護業界に注目した。進行役はサイボウズ カスタマー本部 ダイレクトマーケティング部 星華織氏だ。

進行役のサイボウズ カスタマー本部 ダイレクトマーケティング部 星華織氏

 医療・介護業界には人や社会の役に立ちたいという想いを持っている人ややりがいを感じている人がたくさんいる。その一方、医師の長時間労働が問題になっていたり、介護ではきつい・汚い・危険・給料が低いという4Kというイメージも持たれている。

 医療・福祉業界は、卸売業・小売業や製造業に次いで、労働人口が多い業界だ。言ってしまえば、日本社会を支えてくれている業界の一つだが、医療・福祉業界では運営が厳しいというのが課題になっている。日本全体の問題でもある少子高齢化が、医療業界にも大きく影響を与えているからだ。

 働き手・支え手となる現役世代の15~64歳の割合が減少しており、高齢者が増えることによって社会保障費は増大する。当然、政府も課題意識を持っていて、この年金・医療・福祉の費用を抑制しようと考えている。そのため、医療保険や介護保険の報酬が見直されて厳しくなっていくことが予想されているという。

医療・福祉業界に就業している人は831万人で全体の12.5%を締めている

 報酬額は医療機関や介護事業者の売り上げに直結するもので、さらに運営が厳しくなることが予想されているそう。患者数や介護サービスの利用者数が増えていく一方で、医療従事者や介護従事者の人が不足している。今後は、これまで以上にマンパワーと財源が限られるという状況にあるのだ。

「その中で、質を落とさずに、必要なサービスを提供していかなければならないものの、現場は忙しく、日々の対応で精一杯。個人のマンパワーやがんばりに頼って乗り切っているところが多いのではないでしょうか。こういったことに対して、われわれサイボウズでも何かできることはないか、と考えていました」(星氏)

医療費を抑えるために報酬が厳しくなる中、対応が急務となっている

 そんな時に星氏が出会ったのが、京都リハビリテーション病院 地域医療連携室 室長補佐 瀧村孝一氏。システム担当ではなく、現場で働いていたのに、kintoneを使って病院の業務改善に取り組んでいた。

 瀧村氏はその様子を「キンボウズ」というブログに書いている。もともと介護職でシステム開発の経験がないのに、試行錯誤を重ねている。最初はメモのつもりで書いていたが、2019年8月21日の時点ですでに111記事になっており、文字数は31万文字を超えた。

「まさか趣味で書いているブログが、みなさんの前でお話しできるとは思っていませんでした。『kintone 医療』『kintone 介護』のようなキーワードで調べて来られる方がいて、PVも1万~1万5000くらいあります。システムのことはさっぱりわからない中で、どうKintoneを使っていくかということを書かせてもらっています」(瀧村氏)

kintoneでつながり始めた医療・介護業界

 医療・介護業界は書類がとても多いという。瀧村氏は3年前に入社したが、当時は入院の申し込みをもらったらノートに書いていたが、問い合わせが来た場合、他の人だとノートを見ても答えられなかった。

 さらに、2016年4月には急性期から回復期に病床機能を変えた。救急車が来る病院からリハビリしかしない病院に変わったのだが、その途端、申し込みが来なくなったそう。そこで、瀧村氏が営業活動を行ない、申し込みを増やすことに成功。しかし、申し込みを受けてから、入院できる日数も伸びてしまった。全国平均は約11日なのだが、15日近くになってしまったのだ。

瀧村氏が営業したところ申し込みは増えたが、入所までの日数も延びてしまった

 情報を見やすくして職員に共有したり、印刷のためにExcelに打ち直す手間を省き、作業効率を向上させたいという課題があったので、kintoneに目を付けた。実は、瀧村氏はすでにkintoneを知っていたのだ。

 「Cybozu Days 2018 大阪」で宇治徳洲会 地域医療連携室の峠健太郎氏がkintone hiveに登壇したが、その時の内容がkintoneを活用して他社と連携し、企業の壁を越えたチームワークの実現というものだった。この中で、宇治徳洲会と京都リハビリテーション病院の連携事例が紹介されている。京都リハビリテーション病院と宇治徳洲会はゲストスペースでつながっており、FAXでやりとりすることはない。ゲストスペースに患者の紹介が書き込まれると、最短5時間23分で受け入れが決定するというスピードを実現したそう。もちろん、その間電話は一切なし。

以前は15日かかっていた患者の受け入れが、最短半日で行えるようになった

「kintoneが使いやすいかと言われると、正直使いにくいです。アプリ作成画面が真っ白な状態で、さあスタートしろと言われるわけです。『ドラッグ&ドロップします』と書いてますけど、どういう機能があるのかもわからなかったですし、入れたらいけないツールを入れてしまったな、と思いました」(瀧村氏)

 瀧村氏はGoogleで調べまくったのだが、なかなか医療介護に関するネタは見つからない。たとえば、文字列1行フィールドでできることは見つかるが、医療・介護業界でどう使えばいいのか、というのかが書いていない。それでも、なんとか調べて使い始めると、今度は業界モンスターに出会ったという。

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