フルスタックの製品/サービスが対応する「Dell Technologies On Demand」
Dell Technologiesが考える“従量課金型インフラ”のメリット
2019年11月19日 07時00分更新
米Dell Technologiesは、2019年11月12日と13日に米テキサス州オースティンで開催した「Dell Technologies Summit」において、オンプレミスのITインフラを“as-a-service化”する従量課金型調達モデル「Dell Technologies On Demand」を発表した(日本での導入時期は未定)。
データセンターからエッジ、PC、サポートまでフルスタックで対応
Dell Technologies On Demandは、コンピュート(サーバーやPC)からストレージ、ネットワーキング、仮想化基盤までITインフラのフルスタックを網羅している。今回のイベントで発表した自律型コンバージドインフラ製品「Dell EMC PowerOne」もその対象だ。
Dell Technologies 副会長のジェフ・クラーク氏は、従来型のITインフラだけでなく、AIなど新領域のテクノロジーも新たな課金モデルのもとで活用できるようになり、「顧客に幅広い選択肢と柔軟性、予測可能な成果を提供する」サービスだと位置づける。特に、PowerOneに従量課金もデルを組み合わせることで、パブリッククラウド環境と同様の、拡張性に優れたフルスタックインフラが実現できると説明した。
「Dell Technologies On Demandと、新しい自律型インフラストラクチャーであるPowerOneを組み合わせることで、PowerOneを(オンプレミス設置の)IaaSとして利用でき、利用した分だけを支払えばいい環境が構築できる」(クラーク氏)
また、法人向けPCで従来から提供してきた“PC as a Service”も拡張し、大企業から小規模企業まで、シートごとの均一月額料金で、PC本体、ソフトウェア、サービスを提供する。PCのライフサイクル全体をカバーするソリューションとして打ち出していく。
「好きな料理を、好きな組み合わせで、好きなだけ。そして食べた分だけ支払えばよい」
Dell Technologies On Demandには「Flexible Consumption(柔軟な消費モデル)」「Best-in-class Services(業界最高クラスのサービス)」「Best-in-class Infrastructure(業界最高クラスのインフラ製品)」という3つの特徴があると、クラーク氏は説明する。
たとえば、リソース消費量に応じて料金が決まるFlex On Demand、AI/機械学習ベースの予測型サポートサービスであるPro Support、IT部門での煩雑な作業をDell TechnologiesにアウトソースするClient & Infrastructure Managed Serviceなどがラインアップされており、データセンターやサーバー、ストレージ、HCI、エッジ、PC、ユニファイドワークプレイス、データプロテクション、そして「Dell Technologies Cloud」と、同社が提供するあらゆる製品とサービスが対象となる。
「エッジからコア、クラウドまでを網羅した、業界で最も幅広いDell Technologiesのインフラポートフォリオに対して、柔軟な消費モデルを提供することができる。さらにグローバルサポート、デプロイメント、マネージドサービスを含めて、柔軟な複数の消費モデルから最適なオプションを選ぶことができるため、ユーザー企業はパブリッククラウドを利用するのと同等の手軽さで、オンプレミスのIT管理に伴う手間を軽減することが可能になる。企業のIT部門に提供する新たな“as-a-serviceモデル”になる」(クラーク氏)
また、Dell Financial Services(DFS)プレジデントのビル・ウェブロ氏は、Dell Technologies On Demandを“料理”にたとえて表現した。
「あらゆるおいしい料理がテーブルに用意されており、それぞれのカロリーや料理の価格も表示されている。前菜からメイン、デザートがあり、誰もが自由に組み合わせて料理を選べる。そして、最後に食べた分だけを支払えばよい。Dell Technologies On Demandもこれと同じだ」(ウェブロ氏)
またウェブロ氏は、Dell Technologiesではチャネルパートナーとの連携も、従来と変わらず重視していくことを強調した。Dell Technologies On Demandでもパートナーとの関係は変わらず、「パートナーが提供する付加価値サービスを組み合わせて提供することができる」と説明する。この点もDell Technologies On Demandの特徴だという。
DFSの支払いソリューションを利用しているチャネルパートナーはすでに全世界で2000社を超えており、これと同様に、チャネルパートナーの顧客に対してもDell Technologies On Demandを再販できるという。
ITインフラの拡張計画、投資計画にまつわるCIOの悩みを解消する
ガートナーの予測によると、オンプレミスコンピューティングの新規導入プロジェクトにおいて従量課金制が占める割合は、2019年の1%未満から2022年までには15%に増加するという。ウェブロ氏は特に、今後のAI/機械学習活用やデータ活用に向けた動きの中で、企業のCIOはインフラの拡張計画や投資計画に課題を抱えるようになり、その解決手段としてDell Technologies On Demandが選ばれるという見方を示した。
「現在のCIOにとっては“データセンターのモダン化”が重要な仕事になっているが、その一方で、増え続けるデータや拡大するワークロードに対応するための拡張計画や投資計画を見通せず、苦慮している状況にある。予算をどう確保するか、運用コストをいかに抑えるのかが常に悩みの種だ。Dell Technologies On Demandは、その悩みを解決できる手段のひとつである」(ウェブロ氏)
さらにウェブロ氏は、ある顧客CIOの話を紹介した。そのCIOは、新規ビジネス立ち上げのために、今後3年間に必要となるITキャパシティを見通したいと考えたものの、そのフォーキャストに自信が持てない。大きく見積もりすぎて(オーバープロビジョニングで)過剰な投資になってしまうのではないか、反対に見積もりが低すぎてリソースが不足し、追加投資の稟議が通るまで90日間も待たなくてはいけないのではないか。そうした不安を常に抱えてきたという。
「Dell Technologies On Demandであれば、こうしたCIOの不安も解消できる。消費した分だけを支払えばいいからだ。さらに、もしもキャパシティを増やしたいのであれば、30分以内に増やすことができる」(ウェブロ氏)
Dell Technologies 会長兼CEOのマイケル・デル氏は、新しいインフラ調達モデルであるこのサービスの利用が「どれだけ広がるのかは、まだわかならい」と語った。「それは顧客が決めることだ。ただし、そのメリットは必ず感じてもらえるはずだ」(デル氏)。