写真編集など、マルチスレッドの活きる作業では抜群の性能!
次に「PCMark10」の“Standrd”テストを用いて総合性能を比較してみよう。総合スコアーだけでは差がどこから来ているか分かりづらいので、テストグループ別に詳細なスコアーも比較してみた。
まずは総合スコアー。トップに立ったのはRyzen 9 3900X、僅差でCore i9-9900KS。Ryzen 9 3950Xは3番手だが、トップとのスコアー差はわずか9ポイント。トップ3のスコアー差は誤差といってもよいレベルだ。Ecoモードにすると100ポイント程度下がるが、それでもRyzen 7 3800X以上のスコアーは稼げている。
アプリの起動、ビデオチャット(OpenCLあり)、ChromeやFirefoxを使ったウェブブラウジングの性能を見るEssentialsテストグループ。ここではCore i9-9900KSがトップを獲得。Core i9-9900KSの主な得点源はアプリの起動とウェブブラウジングで、全コア5GHzクロック動作の威力が発揮されたといえるだろう。第3世代RyzenはPCI-Express Gen4のSSDを使えばアプリの起動に関するスコアーはもう少し増える可能性もあるが、今回はCPUの力の差を見たいので、どの環境でもPCI-Express Gen3の一般的なNVMe M.2 SSDを使用している。ゆえにこのベンチではストレージ性能でのスコアー差は考慮されていない。
ただ、ビデオチャットに関していえばRyzen勢はCore i9-9900KSを大きく上回っている。このあたりはクロックが効くか、キャッシュの多さが効くか、の違いといったところか。
続いてはLibreOfficeを使って実際に処理をするProductivityテストグループ。このテストはクロックが非常に効きやすいため、Core i9-9900KSが首位を獲得。Ryzen勢のトップは最大クロックが4.7GHzと高いRyzen 9 3950Xではなく、4.6HGzの3900Xとなった。ただEcoモードでのRyzen 9 3950Xがデフォルト時のスコアーを上回っていることから考えると、ブレの範囲ともいえる。
最後に写真や動画編集、CG制作といった処理を試すDigital Contents Creation(DCC)テストグループのスコアー。ここで気を吐いているのはコア数の多いRyzen 9 3950X。特に写真編集ではインテル勢を差し置いて抜群のスコアーを稼いでいる。Core i9-9980XEはここまで精彩を欠いたスコアーしか出せていなかったが、唯一レンダリングやワイヤーフレームの描画処理ではRyzen 9 3950Xを大きく上回っている。同じレンダリングを扱かうCINEBENCH R20とはまた違った傾向を見せている点に注目したい。
総じてみると、Core i9-9900KSが全コア5GHzの高さを武器にスコアーを稼いではいるものの、マルチスレッドが効くテストでRyzen 9 3950Xに大敗し、結果的に逆転される、という傾向が見えた。CINEBENCH R20では最速CPUの誕生という印象だったが、やはり処理により得手不得手があるようだ。
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