医学的見地でゲーム障害や依存症などの課題を解決
「医学的見地からのeスポーツ発展支援」をテーマに、JHSEFの理事である朝本 俊司氏のプレゼンが開始。朝元氏は牧田総合病院 脳神経外科 脊椎脊髄センターの部長を務める医師で、日本スポーツ協会の公認スポーツドクターの資格を所持している。
本連盟に参加した朝本氏は、eスポーツに関心を持つ医師たちと協力し、医学的見地で活動をサポートしていきたいと語った。教育医学部門の中に「医科学管理グループ」を設立し、専門性の高い医師とともにデータを蓄積・考察することで、ゲーム障害や依存症といった課題を解決していく活動を行なうという。「ポテンシャルを秘めたeスポーツはまだ未熟な状態ですが、医学的見地で正しい方向へと導くことが我々の使命であると思っています」と熱烈にアピールした。
教育現場におけるeスポーツは何をもたらすのか
朝本氏のプレゼン終了後、北米教育eスポーツ連盟(North America Scholastic Esports Federation :以下、NASEF) 副教育最高責任者兼クラブ活性化上級役員のケビン・T・ブラウン氏が登壇。NASEFはアメリカ・カルフォルニア州に拠点を置き、次世代を担う若者に対して教育プログラムやeスポーツ競技の提供を行っている団体。登壇後、ケビン氏は本連盟の活動方針やeスポーツの可能性などをプレゼンした。
3年前に設立されたNASEFは、子供たちがどれぐらいビデオゲームに興味を持っているのかを調査するため、カルフォルニア州オレンジカウンティにて、28校/38チームによる「リーグ・オブ・レジェンド」の大会を開催した。始めた当初は28校のみだったが、2019年11月現在では42州/450校以上/500チーム、カナダから3州/7クラブも参加するようになり、競技人口が飛躍的に増加したという。eスポーツの潜在性が伺える結果である、とケビン氏は力説した。
このカリキュラムによると、eスポーツにもさまざまな業種があるという。4つのカテゴリに含まれる全15種の業種は、いずれもeスポーツに関わる仕事である。本連盟は、高校の4年間でカリキュラムとして教えるだけでなく、方向性を提示するという教育的な活動を行っている。このカリキュラムはカルフォルニア州を含む42州で承認されており、内容的にも確信的なものに仕上がっているとのこと。
また、本連盟はeスポーツに関連する学術的研究にも注力。カルフォルニア大学アーバイン校と連携し、ゲームが脳に与える科学的影響も研究している。ケビン氏によれば、従来のスポーツと同様、eスポーツの選手にも研究の成果が当てはまるのだという。
そこで、最近行った研究成果を公開。当初、eスポーツに関連する科学的調査や数学に関する領域は強く反応すると予想していたが、非英語圏の被験者の英語が上達したという結果に驚いたという。とくに驚いたのは、eスポーツに欠かせないチームワークに関係する「社会的感情学習」で、ゲームを通して感情面の抑制や協力姿勢が大幅に向上したことが判明。「まだ示唆の段階ではあるが、若者の感情的な成長において、eスポーツは効果的ではないか」とケビン氏は語っていた。