エンタープライズ領域でのプレゼンス拡大の鍵

Dropbox Spacesで継続収益化は加速できるか?

文●谷崎朋子 編集●大谷イビサ

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 コンシューマー向けオンラインストレージサービスの先駆的存在であるDropboxが、"個人の仕事場"という視点から、さらなるエンタープライズ領域でのプレゼンス拡大に乗り出した。鍵となるのは、今年9月開催の同社ユーザーカンファレンス「Dropbox Work in Progress」で発表された「Dropbox Spaces」だ。

倉庫を改装したDropbox Work in Progress会場

チームコラボと個人スペースの両輪で攻めるDropbox

 Dropboxは今年2月、2018年第4四半期および2018会計年度の業績報告を発表した。内訳を見ると、会計年度の売上高は13億9170ドル。第4四半期の有料登録ユーザー合計数が1270万ユーザーで、四半期におけるひとりあたりの年間平均利用額が119.61ドル。単純だが、年間平均の利用料を有料登録ユーザー数で掛けた合計が、ざっくり会計年度の売上高と一致する。彼らのビジネスを支えているのは有料登録ユーザーであるのは間違いなく、ここの母数を増やすこと重要な戦略の1つと見てよいだろう。

 公式によれば、Dropboxの無料/有料の登録ユーザー数は、現在180か国で約5億ユーザーだ。今年3月にDropbox Japanが2019年の事業戦略説明会を開催した際に、無料ユーザーの8割は仕事でも利用していることを明かしている。潜在的な有料登録ユーザーを4億以上抱えている形だ。

 「実は、Basic(無料プラン)のユーザーでも、コラボレーションを始めると有料のPlusやBusinessに切り替える傾向にある」。Dropboxでバイスプレジデント製品担当を務めるアダム・ナッシュ(Adam Nash)氏はそう述べる。

Dropbox、バイスプレジデント製品担当のアダム・ナッシュ(Adam Nash)氏

 実際、チームや部署単位でのDropbox活用は広がりを見せている。同社シニアプロダクトマネージャー、タネイ・ミータ(Tanay Mehta)氏は、チーム作業を効率化する「Dropbox Paper」の利用が特に最近、急速に伸びていると話す。

「製品やコンテンツの設計/デザインや共同編集、レビューといった工程をカレンダー形式で可視化し、全員の進捗状況を素早く確認、管理できる点が評価されている。小さな進捗確認のためにわざわざ会議室に集まったりWeb会議の時間を確保したりする必要がなくなってうれしいという声も聞く」(ミータ氏)

Dropbox、シニアプロダクトマネージャー、タネイ・ミータ(Tanay Mehta)氏

 だが、チームコラボレーションを進める中で課題となるのが「いろんなツールの通知がうるさくて、自分の仕事に集中できない」問題だ。Dropbox Spacesは、そうした環境でも個人の仕事時間をきちんと確保することを目的とした空間。コラボレーションと両輪でうまくはまれば、前述の有料登録ユーザーの母数増加に作用する可能性は高い。

もう1つの強みは深いインテグレーション

 Dropbox Spacesにはもう1つ、「これまでにない深いインテグレーション」という強みがある。

「Dropboxは現在、50億以上のAPIコールを毎月さばいており、50万近くの開発者が自社アプリやサービスとのインテグレーションを進めている。Dropbox Spacesのインテグレーションは、さらに一歩深く踏み込んでいる」。Dropbox内でGoogleドキュメントをそのまま開いて作業したり、Trelloカードを作成してファイルを追加したりといった例を挙げたナッシュ氏は、「こうした世界が一緒に描けることを示せたことは、大きな意味があると思う」とした。

 たとえば、今年1月に買収を発表したHelloSignも高度なインテグレーションを目指して議論が進んでいるサービスの1つ。現在はDropboxが昨年リリースした「Dropbox Extensions」で連携しているが、「現時点でもドキュメントワークフローの中にうまく組み込まれていると思うが、さらにもっと深い部分で機能統合できるか模索中」と、同社プリンシパルプロダクトマネージャー、ローハン・ヴォラ(Rohan Vora)氏は述べ、アイディアを出し合う中で探っているところと明かす。

Dropbox、プリンシパルプロダクトマネージャー、ローハン・ヴォラ(Rohan Vora)氏

 ナッシュ氏は、Dropbox Spacesについてこんな意気込みを示す。

「Dropbox Spacesは、Dropboxにとってオンラインサービスではないプロダクト提供という新しい挑戦。今後もExtensionsなどの拡張強化を図るとと同時に、スマートワークスペース自体をさらに充実させるための機能追加も順次進めるので、期待してもらいたい」(ナッシュ氏)

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