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増え続けるツールや通知で消耗する日々は解消する?

人間らしく働くための「Dropbox Spaces」を正式提供開始

2019年10月03日 09時00分更新

文● 谷崎朋子

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 2019年9月25日、米サンフランシスコで開催されたユーザーカンファレンス「Dropbox Work in Progress」でDropboxの新機能である「Dropbox Spaces」が正式発表された。Dropbox Spaces登場の背景には、数多くのアプリとその通知により、本来の仕事に集中できないというクラウドのデメリットがあるという。

Dropbox Spacesが正式発表

人間らしく働くための「Dropbox Spaces」

 「Dropbox Work in Progress」の基調講演に登壇した共同創業者兼CEO、ドリュー・ハウストン(Drew Houston)氏は、生産性向上のつもりが逆の現象が発生していることを指摘した。「生産性向上や効率化のためのアプリは、毎年数多く登場している。だが、便利だからとインストールしたら最後、個別に吐き出す通知の嵐に気をそがれ、本来やるべき仕事に集中できないまま1日が過ぎる。現代人なら誰しもが実感する悩みの1つだろう」(ハウストン氏)。

Dropbox、共同創業者兼CEOのドリュー・ハウストン(Drew Houston)氏

 また、通知もさることながら、Gmailに添付されたMicrosoft Wordファイルをアプリで開いて編集、Dropboxにアクセスして保存、Slackでファイルを同僚と共有といったように、今は異なるツール/サービスを立ち上げて渡り歩かなければ仕事がこなせない。"仕事をするための仕事"に毎日が消化され、仕事の充実感や達成感が奪われ、燃え尽き症候群に陥る最悪のケースも報告されていると言及した。

「生産性や効率を極限にまで高めて究極の性能を引き出せるのは、ロボットだけ。人間に求めるべきものではない」(ハウストン氏)。

 人間らしく働きながら、気持ちよく効率アップする方法を、Dropboxならどう実現できるのか。ハウストン氏は考え抜いた末、辿り着いたのが「Dropbox Smart Workspace」構想だ。さまざまなパートナー企業のエコシステムを下地に、そこでやり取りされる多様なコンテンツを、ツール連携の枠を越えた深度のあるインテグレーションで組み合わせ、機械学習やガバナンスを通じていまもっとも必要としている通知をユーザーに提示し、仕事を効率化する。そんなスマートなワークスペースこそが解だとハウストン氏は述べ、それを具体化した「Dropbox Spaces」(スペース)の正式提供開始を発表した。

Dropbox Smart Workspace構想

仕事の効率アップと快適な作業環境を整える新機能

 Dropbox Spacesは、いわばチーム向けの共同作業スペースだ。概念自体は6月20日に発表されており、実現可能な一部機能も紹介されている。たとえば、「G Suite」のGoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートをDropbox内でそのまま開き、まるでネイティブアプリのように編集作業ができるなど、作業スペースから別ツールに離れることなく、必要な作業をひとところで完了できるのが特長だ。

 そして今回発表された正式版では、さらに快適な仕事環境を支援する新機能が複数追加された。

 1つは、画像検索機能。独自開発のAIアルゴリズムでJPGやJPEG、PNG、GIFのファイル形式を解析。キーワードにマッチした画像を検索結果に一覧表示する。当初はDropbox Professionalユーザー向けに提供し、近日中にDropbox Businessユーザーにも提供予定という。

 また、アプリがインストールされていなくても、ライセンスを持っていなくても、Dropbox Spaces内でプレビューできるようになる。Illustratorのファイルも、アプリもライセンスも不要でプレビュー機能で開くことが可能になる。

 特に快適な仕事環境を支援してくれそうなのが、Windowsのシステムトレイ/macOSのメニューバーに表示されるDropboxアイコン。クリックすると、各種ツールの通知などが確認できる。ここをクリックするまで通知をポップアップ表示させず、制御することが可能だ。

 「おすすめ」タブには機械学習に基づきパーソナライズされたタスクや、そのタスクで必要と考えられるファイルの提示。カレンダー機能も加わり、たとえば近々に出席予定のミーティングと出席者、ミーティングに関連するファイルやテンプレートが推測表示されるようになった。当然、Dropbox Spacesを使えば使うほど機械学習が進むので、おすすめの精度も上昇する。

 今後の予定としては、チームメンバーが最近行なったファイルの編集/変更/追加といったアクティビティで、ユーザーとの関連性が高いと思われるコンテンツが表示される「プロフィールページ」を提供予定(年末・年明けあたり)。また、プロジェクトごとにプロセスやナレッジを一元的に管理できる「Dropbox Binder」も年末・年始あたりにベータ版でリリース予定だ。

 このほか近日提供予定として、次の機能も発表された。

Dropbox Transfer
最大100GBのファイルの送信。個人向けにはベータ版が、チーム向けには先行アクセスとして同日提供開始。
Trelloとの統合
TrelloからDropbox内のファイルのアクティビティ状況やファイルのプレビュー/編集が可能。また、Dropbox内からファイルをTrelloカードに追加することがも可能(年内に提供開始予定)
Slackチャンネルの割り当て
DropboxのフォルダとSlackのチャンネルが同期連携される(来年の初めごろに提供予定)
Zoomミーティングの開始
Dropbox内でZoomミーティングを直接開始可能。ミーティング終了後には、録画や書き起こしテキストが自動でDropbox内に保存される(来年の初めごろに提供予定)。

きめ細かな管理者機能を提供予定

 管理者機能も充実する。新規追加された「エンタープライズコンソール」では、現在のチームやメンバーを一覧表示できるほか、指定したチームのアクティビティ状況や保存コンテンツを表示できる。このほか、ファイルのバージョン履歴の最長10年保持し、eディスカバリにも対応するといったコンプライアンス機能を、同日プライベートベータ版で提供開始。数か月以内には正式版として展開予定だ。

 また、BetterCloudとの戦略的パートナーシップにより、DropboxのAdmin APIおよびAudit Log APIによる連携が実現。オーケストレーション機能とデータ損失防止機能を年内に実装予定だという。具体的には、「リンク共有など特定のアクティビティが発生したときに通知を送信」「警告を表示するといったアクションを自動実行する」「新入社員に対して速やかにアカウントを割り当てる」「退職社員のアカウントを指定した保持期間に基づき破棄する」「管理者権限の委譲や制限を設定する」などが実施できるようになる。

 ファイルをまとめられる便利な"コンシューマー向けオンラインファイル保管庫"から、多様なアプリやファイルを集約、きめ細かい管理機能でガバナンスも効かせられる"ビジネスに最適なスマートワークスペース"に進化するDropbox。新規ビジネスユーザーの開拓につなげ、エンタープライズ市場のシェアを拡大できるか、今後に注目したい。

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