「レッツノート」と言えば10型台が源流でしょう
10型台のディスプレーを搭載するシリーズはレッツノートの源流とも言える。レッツノート(Let'snote)の名前を最初に掲げたモデル「AL-N1」から、初代「銀パソ」の「CF-C33」、スリムノートPCの先駆けとなった「CF-S51」、そして今や伝説となった名機「CF-R1」と、10型前後(CF-S51は11.3型だが……)のディスプレーを搭載したモデルは、モバイル利用を重視するユーザーに高い評価を得てきた。
特に“R”シリーズは、1kgを切る軽量さや長時間バッテリー駆動に加え、ボンネット天板などの採用によって堅牢性をいち早く訴求し、競合するモバイルノートPCと差別化していたのが印象深い。2002年に登場したRシリーズは、その後他のシリーズが入れ替わろうとも、その系譜は長きに渡ってレッツノートシリーズのモバイル重視ラインアップとして新製品が出続けていた。
しかし、2010年に、“こじゃれた”10.4型ディスプレー搭載モデル「CF-J10シリーズ」が登場し、Rシリーズは終息した……。
はずだったが、熱烈なるRシリーズユーザーからの復活を願う要望に応えたのかそうでないのかは定かでないが、2014年に「CF-RZ4」として復活する。ディスプレーサイズは当然ながら10.1型。本体の重さはさらに軽くなって800gを切っていた。そして、何より大きな変化だったのが、タブレットとしても使える「2in1 PC」に生まれ変わったことだった。古参Rシリーズユーザーの多くはRZシリーズを「2in1になったRシリーズ」と認識したはずだ。
レッツノートシリーズの2in1 PCとしては、CF-RZ4の8ヵ月前に12.5型ディスプレーを搭載して光学ドライブを内蔵した「CF-MX3」が登場している。さらに遡ること4年前には「CF-C1」というコンバーチブルPCもあったが、まだ2in1 PCという言葉が積極的に使われていない時代だった。
CF-MX3とCF-RZ4で共通しているのがノートPCとして使う「クラムシェル」形状と、タブレットとして使う形状の切り替え機構として「フリップ方式」を採用していることだ。フリップ方式とは、ディスプレーを360度開けるヒンジを搭載し、タブレットとして使う時はディスプレーを本体底面側に「パタン」と折りたためるようにしている機構だ。RZシリーズの他にも、レノボの「Yogaシリーズ」やデルの「XPSシリーズ」、「Inspironシリーズ」、そして日本HPのハイエンドノートPCラインアップなどでも採⽤している。
ちなみに、2in1 PCでノートPCとタブレットを使い分ける方法にはいくつかの方式がある。フリップ方式以外では、キーボードを組み込んだ「底面部分」とディスプレーを組み込んだ「天板部分」が分離する「デタッチャブル」(着脱)方式や、ボディー背面にキックスタンドを設けたタブレットのディスプレーカバーにキーボードを組み込んだ方式もある。
デタッチャブル方式は価格を抑えた2in1 PCで多く採用されており、ディスプレーカバーにキーボードを組み込む方式は、Microsoftの「Surfaceシリーズ」で広く普及し、今日ではその形態を模倣したモデルが多数のPCベンダーから登場している。
これらの方式、どれがベストということではなく、それぞれに長所短所がある。