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日本MSからは金融機関向けのAzureリファレンスアーキテクチャ群を提供開始、内容を説明

第一生命、Azure PaaS活用のハイブリッドな新システム基盤を構築

2019年10月11日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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金融機関の「DX」と「ITモダナイズ」を促すリファレンスアーキテクチャ

 日本MS側からは、今年7月に発表した金融機関向けリファレンスアーキテクチャの提供開始が発表され、その具体的な内容が説明された。

 同社 金融サービス営業統括本部 業務執行役員 統括本部長の綱田和功氏はまず、ITシステムにおける“2025年の崖”を指摘する経産省の「DXレポート」を取り上げ、内容の一部には異論もあるものの、日本企業には「新たなビジネスモデルの模索」「迅速な意思決定と具現化」というDXの実現が求められていること、その障壁を取り除くために「レガシーシステムからの脱却」と「技術的負債の解消」というITモダナイゼーションに取り組まなければならないことは間違いないと語る。

 そしてこのDX/モダナイゼーションそれぞれの「あるべき姿」を顧客に提示するのが、今回提供するリファレンスアーキテクチャとなる。銀行業向けの「Intelligent Banking」と保険業向けの「Intelligent Insurance」、さらにそれらを支えるAzure基盤向けの「Financial-grade Cloud Fundamentals」という3つのリファレンスアーキテクチャを提供する。

「Intelligent Banking」と「Intelligent Insurance」、「Financial-grade Cloud Fundamentals」の3つを提供する

 銀行業向けIntelligent Bankingでは、政府の提唱する「Society 5.0」を支えるためのスマート化された銀行業をイメージしているという。具体的には、預金や融資、為替といった従来業務のデジタル化にとどまらず、「キャッシュレス」や「コネクテッドバンキング」などの実現を通じたデータ収集を支援し、そのデータに基づいた銀行サービスのさらなる高度化を促す目的がある。

 また保険業向けのIntelligent Insuranceでは、従来の不安/リスクに対応した保険業ではなく、個々の契約者の「人生を豊かにするエコシステム」を支える新たなかたちの保険業というコンセプトに基づいてリファレンスアーキテクチャを構築している。その実現のためには顧客に対する深い理解が必要であり、これまでの保険業のような静的なデータ取得(性別や生年月日といったデータ)ではなく、顧客の日常生活にかかわる動的で多様なデータを取得し、洞察が得られる環境を提唱しているという。

Intelligent Banking、Intelligent Insuranceの概要。銀行業、保険業のDX推進のためのリファレンスアーキテクチャ

 これらのリファレンスアーキテクチャは、具体的には業務レベルの「業務ファンクションマップ」とシステムレベルの「アーキテクチャマップ」、マイクロソフト製品による「サンプル実装」という3つで構成されている。これらは日本MSから、推進パートナー企業経由で提供していく。

業務レベル、システムレベルそれぞれのアーキテクチャと、マイクロソフト製品で実装するサンプルが提供される

 またこうしたDXを支えるクラウド基盤のFinancial-grade Cloud Fundamentals(FgCF)においては、ハイブリッド/マルチクラウド活用も前提としながら、金融機関が必要とするグレードの「環境(ITインフラ)」「ルール/ガバナンス」「人材」の3つを作るためのリファレンスやガイドライン、トレーニングプログラムなどを提供していく。

 綱田氏は、金融機関で求められるパフォーマンス、セキュリティなどのグレードは非常に高く、それを実現するためのリファレンスアーキテクチャはあまり提供されていないため、それをまとめてマイクロソフトから提供していくことにしたと述べた。

 こちらも実際には推進パートナー経由で顧客に提供されることになるが、「コンサルテーションや基盤構築など、パートナー各社それぞれの強みを生かしたかたちで顧客に提供することを考えている」(綱田氏)。なお推進パートナーは、高度なAzureテクノロジーのノウハウに加えて金融業向けの運用ノウハウも備えている必要があり、現状では11社が紹介されている。

金融機関向けリファレンスアーキテクチャを提供する推進パートナー

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