低価格/ティア2オールフラッシュアレイ、AWS向けのエンタープライズストレージなど新製品を披露
ピュア・ストレージ、次の10年は「サービスとしてのストレージを再発明」
2019年10月09日 07時00分更新
低価格オールフラッシュアレイ、後付け可能な高速キャッシュメモリを投入
ハードウェア/フラッシュアレイ領域では、“ハイエンド”と“ローエンド”の新たなカテゴリに属するフラッシュメモリを採用して実現した新製品2つを紹介した。
まず“ハイエンド”のほうは、インテルのストレージクラスメモリ「Intel Optane」を採用したFlashArray//Xシリーズ向けの高速キャッシュメモリ「DirectMemoryモジュール」が発表されている。従来から搭載しているNVRAMは書き込みキャッシュだが、DirectMemoryは読み出しキャッシュの役割を担う。なおキックスモーラー氏によると、//XシリーズにDirectMemoryモジュールを追加することで、おおむね「15~20%のコストアップ」になるという。
ピュア・ストレージが実際の顧客環境から収集したデータによると、DirectMemoryモジュールを導入することで、レイテンシを少なくとも20%削減できたアレイが全体の80%、また30~50%のレイテンシ削減となったアレイが全体の40%を占めたという。これにより、アプリケーションは最大2倍高速化されると、キックスモーラー氏は説明する。なおDirectMemoryはモジュールとしてアレイ本体に追加する形態のため、当初はキャッシュメモリなしで//Xアレイを導入し、将来的に必要になった段階で追加できる点もメリットだという。
“ローエンド”のほうは、QLC(Quad Level Cell) NANDフラッシュを採用した低価格なティア2向けオールフラッシュアレイ「FlashArray//Cシリーズ」を発表している。キックスモーラー氏は「アレイの構成にもよるが、//Xシリーズ比で30~40%の低コスト化を目標としている」と説明する。
1つのセルに4ビットのデータを保存できるQLC NANDは、フラッシュメモリの容量単価を引き下げる一方で、書き込み時の消耗が激しいためにセルの書き換え可能回数が大きく制限され、データ保持の信頼性も低い。「そのため、エンタープライズストレージでの利用は難しいと考えられてきた」(キックスモーラー氏)。
しかしピュア・ストレージの場合は一般的なSSDではなく独自開発の「DirectFlashモジュール」を採用しており、NANDチップレベルの詳細な処理を直接OSからコントロールできるため、上述したQLCにまつわる課題もソフトウェアの最適化でクリアしているという。なお他のFlashArrayシリーズと同様に、フラッシュモジュールの消耗交換保証も付属する。
キックスモーラー氏は、//Cシリーズも//Xシリーズなどと同じPurity OSで動作しており、容量単価が安い点とパフォーマンスが少し低い点を除けば、他製品と同じように高い可用性を持ち、Pure1からのクラウド管理、無停止アップグレードなどの運用管理面も共通していると説明する。ティア1に//Xシリーズ、ティア2に//Cシリーズを導入し、//Cシリーズを開発/テスト環境やバックアップ環境として利用するのも容易だと述べた。
なお昨年(2018)発表したクラウドライクな従量課金型ストレージ購入モデル(旧称 ES2:Evergreen Storage Service)は、「Pure as-a-Service」という名称にリブランドされている。新たにクラウド製品(Cloud Block Store)を含む全製品が対象となったため、ハイブリッドクラウド環境において、データをオンプレミス/パブリッククラウドの適切な場所に移動させながら、コストも柔軟に最適化できることをアピールした。
日本のビジネスは大きく成長、「この先10年」を見据えた貢献をしたい
田中氏は、日本市場におけるビジネスの現況や取り組みを説明した。
田中氏が示した日本市場のストレージ市場調査データ(2019年第2四半期)によると、ハードディスクアレイ(前年同期比17%減)、ハイブリッドフラッシュアレイ(同23.6%増)と比較して、オールフラッシュアレイ(50%)が高い成長度を示している。この波に乗って、ピュア・ストレージ・ジャパンの業績も好調だという。
「実は今回初めて発表するが、2019年第2四半期におけるピュア・ストレージ・ジャパンは前年同期比176%成長を達成した。新規の顧客企業、自治体数は47%増加しており、6月には新オフィスに移転。従業員も40%増えた」(田中氏)
また田中氏は「日本法人としても、デジタルトランスフォーメーションという潮流にきちんとお答えしなければならない」と述べた。特に日本ではITシステムを巡って「2025年の崖」という問題が指摘されており、2025年に向けたシステム刷新の支援を行うだけでなく、「さらにその先の10年を考えたアプローチ」を顧客企業に呼びかけていると語る。
そのほか日本法人独自の取り組みとして、「Orange Ring」と名付けた各種ユーザーコミュニティ活動や、屋外広告によるブランド認知強化といった施策を展開していることを紹介した。
「われわれピュア・ストレージが顧客に貢献できることは、この先10年、たくさんあると考えている。より多くの方にピュア・ストレージを知っていただき、お話しを聞いていただくことで、たくさんのことを作っていけるだろう」(田中氏)