このページの本文へ

機械学習による予測能力を備えたクラウド管理ツール、人間には不可能な正確なプランニングを可能に

ピュア・ストレージ「Pure1」、特徴とメリットを担当幹部がアピール

2019年07月12日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ピュア・ストレージ・ジャパンは2019年7月10日、ストレージ製品の顧客企業にクラウド型で提供するストレージ管理/サポートプラットフォーム「Pure1(ピュアワン)」についての説明会を開催し、AI/機械学習技術の適用で“予測型サポート(Predictive Support)”を実現可能にする「Pure1 Meta」などPure1の特徴や、顧客企業におけるメリットをアピールした。

 説明会には同社 副社長兼Pure1事業部門GMのダン・デキャスパー(Dan Decasper)氏や、日本法人社長の田中良幸氏が登壇。また同日には、NTTデータのPure1採用事例も発表している。

ピュア・ストレージが「Pure1」を活用して提供する予測型サポート

米Pure Storage 副社長兼Pure1事業部門ゼネラルマネージャーのダン・デキャスパー(Dan Decasper)氏、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏

Pure1は「シンプルなストレージ管理の究極形」、機械学習による予測能力を活用

 説明の冒頭、デキャスパー氏はまず「Pure1とは何か。それをひと言で言えば『シンプルなストレージ管理の究極形』だ」と切り出した。

 Pure1は、ピュア・ストレージのストレージ製品を導入している顧客にSaaS型で提供される、ストレージ管理/サポートプラットフォームである。同社の「Evergreen Storageサブスクリプション」契約をしている顧客であれば標準サービスとして(追加料金なしで)利用できる。特に、グローバルに点在する数十、数百台のピュア・ストレージ製品(ストレージアレイ)を運用管理する大規模顧客にとってメリットのあるサービスだ。

 Pure1は、顧客データセンターで稼働しているストレージアレイから詳細な稼働状況データ(テレメトリデータ)を収集、分析し、単一の管理コンソールで可視化する。Webインタフェースのほか専用のモバイルアプリも提供しており、管理者はどこにいても、パフォーマンスやストレージ使用量など最新のストレージ稼働状況を簡単に監視することができる。もちろん障害やパフォーマンス劣化の発生時などには、アラートメールなどで管理者に通知する機能も備える。

Pure1のダッシュボード画面。数十~数百台のストレージアレイの稼働状態を単一画面から監視できる

 もちろんそれだけではない。大きな特徴が“予測型のインテリジェンス”であるPure1 Metaである。顧客環境から取得したテレメトリデータに機械学習モデルを適用し、たとえば3カ月後、6カ月後にストレージのパフォーマンスや空き容量がどうなっているか、ストレージアレイのアップグレードやアレイの増強はいつ頃必要になりそうかといった疑問に答えを出す。

 デキャスパー氏は、Metaは1000種類を超えるテレメトリデータを使って将来予測を行う技術であり、パフォーマンスや容量の変化だけでなく、ハードウェアアップグレードを行った場合の影響、ワークロードをあるアレイから別のアレイに移した場合の効果なども予測できると説明する(一部機能は現在ベータ版)。

 Metaが備える機械学習モデルは、6000社超の顧客企業が実運用しているストレージシステムから収集される1日あたり50TB以上、累積で15PB以上のテレメトリデータをベースに生成されている。このモデルをベースとして、さらに顧客企業ごとのワークロードに合わせて再学習を行い予測精度を高めているという。

Pure1 Metaは1000種超のテレメトリデータに機械学習モデルを適用し、将来予測を行う。このモデルは、世界中の顧客環境から収集されたデータを学習したものだ

 デキャスパー氏は、これまでストレージのキャパシティプランニング/サイジングは経験を積んだ人間(ストレージ管理者)の予測に基づき行われてきたが、現実のIT環境は非常に複雑であり、パフォーマンスや容量に影響を与える変数が多すぎるため、「正確な予測はほぼ不可能だった」と説明する。その結果、コストの浪費となるオーバープロビジョニングや、リソース不足でダウンタイムにつながるアンダープロビジョニングが避けられなかった。

 「ストレージの世界は複雑だ。多様なアプリケーションとインフラ構成があり、顧客のIT環境にはひとつとして同じものはない。Pure1では大量のテレメトリデータを駆使して、ストレージ世界の複雑さに対抗する」(デキャスパー氏)

Pure1を使った、ストレージアップグレードによる影響予測のデモ。コントローラーを上位モデルに変更しストレージアレイの容量を増やした場合に、どれだけ負荷とキャパシティが改善されるかを左の図で示している

問題が生じる前にサポートを提供する「予測型サポート」を実現

 Pure1の導入により、顧客企業はピュア・ストレージから「予測型サポート」を受けることもできるようになる。これも、Evergreen Storageサブスクリプション契約をしている企業であれば特別な契約なしで利用できるサービスだ。デキャスパー氏は、これはこれまでの問題発生後に顧客から依頼する事後対応型サポートや、問題発生後にベンダー側から提案する事前対応型サポートではなく、「問題が発生する前に」ベンダー型から対応を提案するサポートであることを強調した。

 具体的には、これまでにピュア・ストレージの顧客環境で発生した問題のパターンを分析した“フィンガープリント”をMetaエンジンが保持しており(現在は数百ケース)、これに合致するストレージ環境があれば、自動的に顧客とサポートへの通知とサポートチケットのオープンを行うというものだ。たとえばパフォーマンスや容量が不足しており将来的に問題が生じそうな場合に、ストレージのアップグレードを推奨したりできるという。

問題が生じる前に提供する「予測型サポート」により、システムの可用性と顧客体験の両方を大きく改善できると説明した

 ちなみにストレージ市場では、すでにヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の「InfoSight」サービスが同様の機能を提供している。InfoSightと比較した場合の優位点について、デキャスパー氏は、Pure1のほうがシンプルに使いこなせるよう設計されており、すぐれたユーザーエクスペリエンスを提供できる点だと説明した。

仮想化環境のパフォーマンス劣化原因を調べられる「VMアナリティクス」

 デキャスパー氏は、Pure1を通じて上述したようなサービスにより実現する「自律型運転(セルフドライビング)」のストレージ環境だけでなく、「マルチクラウド対応」「フルスタック」といった能力の実現も目指していると語った。マルチクラウド対応では、すでに同社のパブリッククラウド対応製品も統合管理できる仕組みを備えている。

 フルスタックとは、ストレージレイヤーだけでなく、その上のサーバーやアプリケーションのレイヤーからもテレメトリデータを収集/分析するという意味だ。これにより、さらに高度なITインフラの最適化を進めるという狙いがある。その一例として、Pure1が備える「VMアナリティクス」機能が紹介された。

 VMアナリティクスは、VMware環境から収集したテレメトリデータをストレージレイヤーのデータとひも付け、相関分析することで、たとえばVMにおけるパフォーマンス劣化の原因がストレージなのか、その他の部分(VMをホストするサーバーなど)にあるのかの切り分けができる機能である。

 デキャスパー氏はこの機能をデモで披露した。調査対象となるVMをクリックすると、そのVMが使用するサーバー(ホスト)やストレージアレイ、ボリューム、データストアなどが強調表示され、それぞれの平均レイテンシも示される。ドリルダウンして詳しいデータを見ると、サーバーのCPU使用率がしばしばスパイクしており、そこで大きなパフォーマンス劣化が生じていることがわかった。「つまりストレージ側の問題ではなく、1台のホストにVMをたくさん載せすぎているのが原因だとわかった」(デキャスパー氏)。

「VMアナリティクス」の画面。あるVMをクリックすると、そのVMを格納するホスト/ストレージアレイ/ボリュームなどの情報が一覧できる。ドリルダウンすれば、どこでパフォーマンス劣化が生じているのかなどが簡単に調査できる

 このVMアナリティクス機能は顧客企業に好評であり、実際に複数の案件において「この機能が決め手となって」ピュア・ストレージが選択されたとデキャスパー氏は説明した。「詳細はまだお話できない」としながらも、同じようなデータ収集/分析機能をデータベースやネットワーク、アプリケーションといったレイヤーに拡大していく方針で検討していると語った。

■関連サイト

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    sponsored

    60年の時を超え「COBOL」がGitHub Copilotでよみがえる 勘定系アプリの“超難関”モダナイに7社が挑戦

  2. 2位

    ビジネス・開発

    富士ソフトがエンジニア1万人超を「AIネイティブ」化 実装力を武器にフィジカルAIなど3本柱に注力

  3. 3位

    ITトピック

    IT技術者の8割超「AI生成コードには人間のレビューが必要」/「偽・誤情報を見破れる」と自信を持つ人はICTリテラシーテストの正答率が低い、ほか

  4. 4位

    ITトピック

    実用化が楽しみすぎるスマート技術たち 「長距離ワイヤレス給電」から「室内向け太陽電池」「超音波センサー」まで

  5. 5位

    sponsored

    「現場に行くのが当たり前」を変えたアズビルのリモート調整 効果はプライスレス

  6. 6位

    TECH

    攻撃するAIと防御するAI 日本企業のセキュリティ対策にいま何が必要か?

  7. 7位

    デジタル

    東京タワー相当の紙を“完全撤廃” 点検業務をkintone化した“現場ファースト”な改善術

  8. 8位

    デジタル

    IoTデバイスをサイバー攻撃から守る IoT向けゼロトラストの“3つのアプローチ”

  9. 9位

    ビジネス

    開発案件の立ち上げを「60分から1分」に ソースコード管理も一本化したKDLのBacklog活用術

  10. 10位

    ITトピック

    6.4万人の熱狂をAIが導く FIFA W杯全スタジアム「デジタルツイン」化が変えた観戦体験

集計期間:
2026年07月21日~2026年07月27日
  • 角川アスキー総合研究所