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鍵は変化に対応できる柔軟性とミッションクリティカル性

ふくおかFGが新銀行の基幹システムにGCPを選定した理由

2019年10月02日 17時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 九州を営業拠点とする地銀グループであるふくおかフィナンシャルグループは、来年創業予定のデジタルネイティブな新銀行「みんなの銀行」の勘定系システムにGoogle Cloud Platform(GCP)の採用を決めた。10月2日に開催された発表会では、変化に対応する柔軟性と基幹システムとしてのミッションクリティカル性を両立するクラウドとしてのGCPへの期待が語られた。

デジタルネイティブな新銀行に必要な基幹システムとは?

 ふくおかフィナンシャルグループ(ふくおかFG)は福岡銀行、親和銀行、十八銀行、熊本銀行を傘下に持つ地銀グループで、法人顧客は22万、個人顧客は576万人、総資産20.8兆円を誇る。2020年度中に創業予定のみんなの銀行は、九州地域にとどまらない全国のデジタルネイティブ世代をターゲットとした新しいネット銀行で、ふくおかFGの子会社であるゼロバンク・デザインファクトリーがシステム構築を担う。

 みんなの銀行は、単なる店舗レスのネット銀行ではない。福岡銀行 取締役副頭取 ふくおかフィナンシャルグループ 取締役執行役員 ゼロバンク・デザインファクトリー代表取締役の横田浩二氏は、「ローコストなオペレーションにより、高い金利で預金を集め、低い金利でローンを流すといういわゆる「銀行のLCC」を作るわけではない。将来のデジタル時代にふさわしい銀行を作るのがみんなの銀行」と語る。

福岡銀行 取締役副頭取 ふくおかフィナンシャルグループ 取締役執行役員 ゼロバンク・ファクトリー 代表取締役 横田浩二氏

 横田氏は「1994年、ビル・ゲイツは『銀行機能は必要だが、今の銀行はいらない』と予言しました。では、銀行はかつての恐竜のように滅びていくのか? われわれは進化によって生き延びていきたいと考えている」と強調。キーワードはやはり「デジタルトランスフォーメーション(DX)」で、文化・制度とテクノロジーを変革することで、ビジネスモデルを変容させることだという。

 従来の銀行は、「預金」「為替」「融資」という3つの業務があり、これを実現すべく「金融仲介」「信用創造」「決済」という3つの機能を提供してきた。これに対してみんなの銀行は、銀行の業務自体や存在意義を再定義し、顧客(=みんな)のニーズをベースに、ゼロベースにデジタルネイティブの銀行を作っていくという。

 みんなの銀行の「みんな」には「みんなの声が形になる」「みんなのいちばんを届ける」「みんなの暮らしに溶け込む」の3つのコンセプトが込められている。これはそれぞれ「顧客の行動変容に即した新しいサービス」「顧客理解に基づく統合金融コンシェルジュ」「BaaS(Banking as a Service)」などが機能として実装され、既存システムでは難しかった1on1マーケティングや他社サービスとの連携を意識したシステムが必要になるという。

みんなの銀行の3つのコンセプト

 「従来型の銀行システムでは、システムの壁、実店舗の運営による壁があり、3つのコンセプトの実現は難しかった。それをデジタルで可能にしたいと考えている」と語る横田氏。実際、福岡銀行では「Wallet+」というバンキングアプリを展開しているが、開発においては既存システムとの連携に苦労があった。そのため、今回はゼロベースで基幹システムを作った方がよいという判断もあったという。

変化に対応できる柔軟性とスケーラブルなミッションクリティカル性

 こうしたサービスを支えるみんなの銀行の基幹システムは、「マイクロサービス」「オープンAPI」「ビッグデータ」「AI」「クラウド」「BaaS」などをネイティブに利用できる柔軟性、なおかつ既存の銀行として必要な安心・安全、ミッションクリティカルさという2つの要件を満たす必要がある。このように、デジタルネイティブなサービスの開発・運用を実現しつつ、基幹システムとして必要な可用性やセキュリティを持つプラットフォームとして選定されたのがGCPになるという。

 グーグル・クラウド・ジャパン日本代表の阿部 伸一氏は、顧客の期待値、高まるリスク、レガシーITのコスト、イノベーションの重要性など金融業界をとりまく変化について指摘し、変化や柔軟性、スピードと安心・安全のバランスをいかにとっていくかが大きな鍵であると語る。その上で、ハイブリッドクラウド環境での開発・運用を容易にするAnthosや顧客の求めるものを導くBigQueryなどグーグルのインテリジェントなソリューションをアピールした。

グーグル・クラウド・ジャパン日本代表 阿部 伸一氏

 ふくおかFGでは、GCPが変化に柔軟に対応できるアーキテクチャであることを評価。機能ごとの開発が可能になる「マイクロサービス化」に最適なGoogle Kubernetes Engine(GKE)、信頼性やスケールアウト性の高いCloud Spanner、大規模なデータ分析が可能なBigQueryなどのサービスを積極的に利用していくという。「われわれはGCPを単にサーバーを提供してくれるクラウドサービスとして選んだわけではない。GKEやCloud Spanner、BigQueryなどの開発環境にGCPがもっともふさわしいと考えた」(横田氏)。一方で、横田氏は「ミッションクリティカルなシステムを、サービスや商品の拡大とともにスケールフリーで、安定的に供給いただけるのがGCPだと考えた」とマルチリージョンでの高い可用性や性能、セキュリティ機能も同時に評価する。

変化に対応可能な柔軟性とミッションクリティカル性の両立

 システム開発はアクセンチュアをパートナーとして行なわれ、既存のふくおかFGのシステムとは連携しない。あくまで新しい銀行として免許を取得し、ゼロベースでシステムを構築し、デジタルネイティブな新規顧客に当てていくのがみんなの銀行のねらいだという。一方で、GCPの採用はあくまで基幹システムが対象だ。横田氏は、「コールセンターや他のサービスは別のクラウドということもありえる。その点、他のサービスとの連携がしやすいGKEはリーダーと考えている」と述べ、GCPを中心にしたマルチクラウド対応にも含みを持たせた。未知数な部分は多いが、地方銀行の新しい取り組みとしてシステムの今後に注目が集まる。

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