ドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2019は、世界でも類を見ない大規模な「スマート家電の展示会」でもある。日本よりもスマート家電の普及が進んでいると言われるヨーロッパの現状を今年もIFAで取材した。
ヨーロッパではスマート家電が
「当たり前」になりつつある
ボッシュとシーメンスがドイツを代表する世界規模の総合家電ブランドでもあることは、日本ではあまり広く知られていない。特に冷蔵庫や洗濯機などの白物家電はヨーロッパの人々から圧倒的に支持されている。
ボッシュのグループ傘下の企業、B/S/H(Bosch Siemens Housegerade)は特にインターネットにつながるスマート家電の開発に積極的だ。2015年の創立以来、ソフトウェアの共通プラットフォームである「Home Connect」に対応するボッシュとシーメンス、両ブランドの製品ラインナップを勢いよく拡大してきた。ボッシュとシーメンスがIFA 2019に出展するブースを見るとヨーロッパのスマート家電の現在地がとてもクリアに見えてくる。
今年はボッシュ、シーメンスのブースにはともに表面上は目新しいスマート家電が置いていないように見えた。でも実は昨年までに洗濯機に冷蔵庫、オーブンやIHクッキングヒーターまで主要な白物家電の製品カテゴリーの“スマート化”を終えて、今年はラインナップの裾野をプレミアムレンジからミドルレンジにまで落とし込み、「Home Connect」のモバイルアプリはユーザーインターフェースの改善を絶えず行ない、料理の電子レシピを提供するコンテンツベンダーとの提携も増やした。スマートプラットフォームの足腰が徹底的に強化されていたのである。
IFAのブースでは、もはやスマート家電の存在感を前面に打ち出していなかった理由をボッシュのスタッフに訊ねたところ、「ボッシュ、シーメンスの白物家電はスマートであることがもう“当たり前”なのです」という力強い言葉が返ってきた。2年前ぐらいにIFAでボッシュとシーメンスのブースを訪ねたときには、スマート家電は両社のプレミアムレンジのモデルに位置付けられていたので、筆者の予想よりも速くラインナップが一気に拡大した印象を受けた。
ボッシュの洗濯機や食洗機については、より本質的な家電の価値である静音設計を追求したプレミアムラインの「SilenceEdition」がIFA 2019の開催に合わせて発表された。多くの来場者でにぎわうブースの一角に、防音設計を施した特設展示スペースを設けて、新製品の“静かさ”を前面にアピールしていた。
ドイツの高級家電ブランドのミーレも毎年IFAに大規模なブースを出展している。ミーレはスマート家電の立ち上げについてはボッシュやシーメンスよりもやや遅れた印象があるものの、今はメジャーなカテゴリーの白物家電のスマート化を完了していると同社のスタッフが話している。今年のIFAではキッチン家電を中心に実用性の高いソリューション「MIELE@HOME」として提案していた。
モバイルアプリの「Cook Assist」はタブレットに入れたり、Alexaを搭載するEcho Showなどスマートディスプレーにも最適化されている。作りたい料理のレシピを検索して、料理の進行をアプリに管理してもらったり、スマート家電の設定を調理の進行に合わせて自動で変更してくれるサポーター役を担っている。その便利な使い勝手をデモンストレーション付きで紹介していた特設スペースにはいつも多くの人だかりができていた。
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