NECは9月25日、「NEC共創コミュニティ for Partner」プログラムを10月1日に開始すると発表した。
労働人口が減少傾向になる中、経営の効率化が求められている。そのための技術活用に焦点が当たっているが、新技術にキャッチアップしていくのは困難だ。そこでこの施策では、IoTやRPA、AIなどを使ったソリューションを「共に創り、共に売っていく」ことをコンセプトにしている。プログラムに参加することで、自社の持つアセットをNECのアセットと組み合わせ、ソリューション化できる。また、パートナー間の横のつながりも広げられるとする。
NECはこれまで「AI・IoTビジネス共創コミュニティ」「NEC Software WORKS」といった施策を展開。すでに455社が加盟している。AI・IoTビジネス共創コミュニティの成果としては、顔認証を使ってマンションの宅配ロッカーなどを開け閉めするフルタイムシステムの「F-ace」、工場向け検品ソリューションの精度を高めるために、AI技術(Rapid機械学習など)を活用し、人の眼を機械学習に置き換えられる日本エレクトロセンサリデバイスのソリューションがあった。また、NEC Software WORKSの成果としては、日本ユニシスと冗長化ソリューションで連携し、日本ユニシスのCLUSTERPROのコンサルティング・販売・SIサポートをバックエンドでサポートするものがある。
これらを統合するとともに、IoTやスパコンを利用したプログラムを新たに追加し、パートナー連携を強化するのが、「NEC共創コミュニティ for Partner」プログラムだ。
目的は「ソリューション創出の加速」「販売支援機能の提供」「コミュニケーションサービスの提供」の3点。現状分析、アイデア立案などソリューションの方向性を決める上流工程(共創ワークショップ)では、NECの持つ設計ノウハウなどを提供しながら支援。要件がハッキリしていない案件でもスムーズな立ち上げができるようにする。その後、パートナー企業とのヒアリング結果を踏まえつつ、一部有償でソリューション化までの支援(事業化支援サービス)を実施する。
参加企業に対して、NECの持つ技術やITインフラを提供。ソリューションパートナー/セールスパートナー/テクニカルパートナーのソリューション化を助ける。また、ソリューション開発だけなく、プロモーションやセールス活動といったビジネス面でもNECの支援が得られる点が特徴だ。
共創コミュニティ自体は統合されているが、生体認証・AI/RPA・IoT・ITインフラなど領域にそって、「NEC 共創コミュニティ for IoT」といった名称を付け、8つのコミュニティ(プログラム)に整理、それぞれを組み合わせたソリューションが作れるようにする。顔認証、IoT機器などで収集したデータの活用、AIを使った分類やRPAによる自動化、そしてそれを載せるインフラ(クラウド)などで構成されており、将来的にはスーパーコンピューターの「SX-Aurora TSUBASA」シリーズを利用したビックデータ処理の利用なども想定している。この際、NECの製品やサービスで囲みこむというよりは、パートナー側のニーズに合わせ、必要な領域を自由に選択できる点を重視している。
また、販売支援策として「NEC得選街」を利用し、NECの商品型番を付け、NECのチャネルを利用した販売もする。従来から顔認証対応製品などで近い取り組みがあったが、従来から出来上がったソリューションをNEC側でも販売してほしいという意見があり、ウェブを使いライトに購入できる仕組みを利用し、NECの商流を使った販売も強化していくという。
分野別に8つのプログラムがあり、これに加入する際の料金は無料。ただし、NECが提供する機器やサービス、クラウドなどのインフラを利用するものがあり、その利用料は実費で負担するかたちだ。
加えて、パートナー間の横連携を促すため、コミュニケーションポータルを設立。グループチャットなどを利用して、連携先を探したり、エンドユーザーの課題に対して足りないアセットを相互に提供しあったり、構築先を探すといったシナジーを広げる。2019年11月末から試行運用を限定したパートナーと始め、来年4月の正規運用開始を目指す。
NECとパートナーという1対1の関係性だけではなく、他社に対して情報発信したり、事例を共有するといったことも目的としている。
NEC共創コミュニティ for Partnerの事務局でプログラム全体を推進するNECの広瀬真之氏は「技術支援だけでなく、上流から寄り添ってもらえないかという要望があったので、共創ワークショップという形で、アイデアだしの段階から支援することにした」と話す。広瀬氏によると、従来から自社アセットとNECの技術やサービスを紐づけたいという要望が多く、事例化もされているが、パートナーの声には、どこから手を付けていけばいいかわからないというケースも多かった。そのアイデアを具体化していく助けをするという。
編注:施策内容についてより正確な表現に改めました。(2019年9月27日)