CPU高負荷時の温度推移をチェックした
では、CPUに高負荷をかけて、CPUグリスの性能を試していこう。テストにはオープンソースで開発されている3DCGソフトの「Blender」と、動画エンコードソフトの「TMPGEnc Video Mastering Works 7」を使用している。
「Blender」は公式ベンチマーク「Gooseberry Production Benchmark」を、1フレームのみCPUでレンダリング。「TMPGEnc Video Mastering Works 7」は約12分30秒の4K動画を1920×1080ドット、H265、2パスでエンコードした際を「HWiNFO64」で記録。処理終了間近の2分間のCPU温度「CPU (Tctl/Tdie)」の推移と、平均温度をまとめている。
「Blender」の「Gooseberry Production Benchmark」では、21分程度の処理中、24スレッドに100%の負荷がかかり、CPUクロックは3992~4017MHzで動作していた。
CPU温度は、ほかの3種類が76~77度台で推移するなか、「OC Master(SMZ-01R)」は73~75度と優秀で、平均温度も74.02度と、Thermal Grizzly「Kryonaut」から1.59度、Arctic Cooling「MX-4」や、AMD純正CPUクーラー塗布グリスからは約2度ダウンしている。
処理中のCPU負荷率は60~70%程度になるが、CPUクロックは3992~4100MHz台で動作した「TMPGEnc Video Mastering Works 7」も、傾向は同じで「OC Master(SMZ-01R)」が優秀な結果を残している。
ちなみに、第3世代Ryzen付属のCPUクーラーに塗布されているグリスの性能も悪くなく、無料なのを考えるとコスパ抜群だ。ただ、“CPUスッポン”の心配が、もれなく付いてくるのが難。
初心者にも◎な「OC Master(SMZ-01R)」
13.2W/m・kの高い熱伝導率をしっかりテストで示した「OC Master(SMZ-01R)」。オーバークロック向けがうたわれているが、PC自作初心者でも塗りやすい粘度と、塗りに失敗しても大丈夫な容量2gで1100円前後という手ごろな価格は、定番CPUグリスに相応しいだろう。
耐久面は気になるところだが、年1回くらいのペースで、クーラー搭載ファンの掃除のついでに塗り直しすれば問題ないだろう。
ちなみに、数年間ノーメンテナンスで使うなら、耐久性を重視した熱伝導率11.7W/m・k、粘度125~165pasの「OC Master(SMZ-02S)」が登場している。メンテナンスがしにくいハードチューブを使った本格水冷PCや、ビジネスワークPCなどに良さげだ。
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