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CPUグリス徹底比較 冷えるのはどれだ? 第1回

シリコン、シルバーなど半固体状サーマルグリスの性能を比較

2015年07月06日 15時55分更新

文● 林 佑樹(@necamax) 編集●北村/ASCII.jp

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 もうすぐ夏だ。夏といえばCPUクーラーとグリスの見直しシーズンであり、冬場はフツーに動作していた自作PCも、夏の暑さで悲鳴をあげやすい。自作PCを組んだことがある読者諸君においては、恒例行事だと思う。

 昨夏は妙に最高気温が高く、筆者もゲームプレイ中にPCが突然のシャットダウンすることも多々だった。この場合、爆音主義であればうるさいだけで冷え冷えなのだが、それなりの静音を求めはじめると、何かとイバラの道である。

CPUグリスを変えると、CPUの温度は劇的に変わるのだろうか?

 さて、CPUクーラーとCPUグリスの関係を思い出してみよう。CPUから生じた熱を、CPUグリスを介して、効率よくCPUクーラーに伝える。CPUクーラーの性能だけでなく、CPUグリス自体の性能によってもBIOS読みの温度はかなり変化するため、お気に入りのCPUグリスを使用する人もいれば、毎回異なるCPUグリスを使用している人もいるだろう。

 ということで、ふとCPUグリスを統一環境下で変更したらどうなるのか……と気になったので、今回はサーモグラフィーの「FLIR E8」を用意して、その変化を実験的に見てみることにした。

 第1回はCPUグリス、第2回は熱伝導性シート、第3回はエクストリームとわけているので、これからのグリス選びの参考にしてほしい。

CPUとCPUクーラーの間でがんばる
あの製品の実力をチェック!!

用意したのはFLIR製のサーモグラフィー「FLIR E8」

こんな感じに温度状況がよくわかるというもの

たとえば、外した直後のApple Watchの温度もわかる

チェック条件

 CPUには「A10-6800K」を使用し、CPUクーラーはリテールを採用。パーツはバラック組みで、まな板上での確認とした。計測タイミングはBIOS画面で10分放置した段階での温度とし、ファン回転数は3144PPM前後に固定。環境温度は22度前後である。

テスト環境
CPU AMD「A10-6800K」(4.1GHz)
マザーボード MSI「FM2-A85XA-G65」(AMD A85X)
メモリー CORSAIR「CMD4GX3M2B1600C8」 4GB×2
HDD Samsung「MZ-7KE256B/IT」(Samsung SSD 850 PRO 256GB)
電源ユニット Thrmaltake「TP XT-850AH3CCB」(850W)

なぜAMD「A10-6800K」かというと、この特集3回目のエクストリーム編で破壊させても自身へのダメージを少なくするためだ。CPUが安価なので可能な企画なのである

テスト測定してみたもの。こうしてみるとサウスブリッジだけなく、CPU周辺もけっこう温度が上昇しているとわかり、目に見えすぎて冷却スパイラルに入ってしまいそうである

まずは手持ちのシルバーグリス
「Arctic Silver 5」でチェック

シリコンオイル不使用のアイネックス「Arctic Silver 5」(型番:AS-05)。純度99.9%の超微粒子の純銀を含有し、熱伝導率は9.0W/m・Kを誇る

 トップバッターは、シルバーグリスの「Arctic Silver 5」だ。迷ったらコレという人もいるだろうし、筆者も長くこの製品を愛用しているので、基準値的な意味も込めて最初に計測することにした。

 計測結果はBIOS読みは38度、サーモグラフィーでは42度となった。以降の計測でも同様だが、BIOS読みの温度が低く、サーモグラフィーでの計測、つまりCPUクーラーの最高温度部がBIOS読みの温度に近ければ、それだけ熱が伝わっているものだと判断できる。

 今回検証したグリスの中で本製品だけが、CPUクーラーの温度がCPUよりも高くなった。熱源より高温になっているのが不思議だが、それだけクーラーに熱をしっかり伝えられているのかもしれない。

写真のように側面がもっともホットな部分を計測する方式を採用した。BIOS読みは38度、サーモグラフィーでは42度で、5分ほど経過した時点で左記の温度状態で落ち着いた

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(→次ページヘ続く 「定番シリコングリスを比較」)

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