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スマホと車・バイクを連携させる新規格SDLのすべて 第2回

クラウド上のエミュレーターで、誰でも開発できる!

SDLアプリの開発には何が必要なのか?

2019年10月11日 20時00分更新

文● 柴田文彦 編集●アスキー編集部

提供: SDLコンソーシアム

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 クルマとスマホをつなぐ規格である「SDL」。賞金総額100万円の大規模なアプリコンテスト「SDLアプリコンテスト2019」が今年も開催されるが、実はSDL対応アプリを作るのは、それほど難しいことではない。
 極めて簡単で、1行もプログラムを書いたことがない人でも楽勝!
 ――とまでは言えないが、本連載ではこれから、SDLとはどういったものなのか、対応アプリはどうやって作ればいいのかを解説する。そのなかで、基本的な要素のサンプルコードは掲載していくので、それらを参考に(もっと言えばコピペ)しつつ、ぜひ自分の思い付いたアイデアを実現していただきたい。

SDLアプリの例。どちらも昨年のSDLアプリコンテストで特別賞を受賞したもので、左は事故時の車両の挙動を記録する「SOMPO-SDL」、右は信号を機械学習して、青になったら音声で教えてくれる「青だよアプリ」

SDLアプリの開発は、そんなに難しくはない

 クルマとスマホをつなげる規格「SDL(Smart Device Link)」に対応するサービスやアプリは、どのように作ればいいのだろうか?

 SDLアプリは、基本的にはAndroidやiOSの上で動作するスマホアプリだ。したがって、アプリとしての開発方法、配布方法については、一般的なAndroidアプリやiOSアプリと何ら変わらない。

 とはいえ、SDLアプリはスマホ単体では動作しない。本番の動作環境としては、自動車や二輪車に搭載されたカーナビ等の車載器と、何らかの方法で接続することが必要となる(図1)。

図1 SDL公式サイトのトップページに掲載されている「高レベルダイアグラム」。SDLアプリの開発と実行に登場する要素の関係が描かれている

 そうなると、かなりハードルが高いように思えるかもしれないが、実際の開発のハードルは決して高くない。本格的なサービスを構築するならともかく、たとえば「SDLアプリコンテスト2019」に応募するような、ともかくアイデアを具現化すればいいというレベルであれば、初心者でも十分に開発することが可能だ。

 アプリ開発の過程で、プロトタイピングや初期の機能検証段階から、いきなり車載器のハードウェアを用意する必要はない。実機でテストする前の段階で、SDLアプリの基本的な動作確認ができるように、車載器のエミュレーターが用意されている。このエミュレーターにも2種類があって、簡単に言えば、クラウドにあってネット経由で使えるものと、ローカルに構築して使うものだ。それらについては、後でもう少し詳しく述べる。

 この記事では、SDLアプリを開発するために必要なものについて、ハードウェアとソフトウェアに分けて解説する。その際には、SDLアプリのための開発環境を整えて、アプリをビルドするまでに必要な環境と、ビルドしたアプリの動作を確認するためのデバッグ環境に分けて見ていくことにする。それによって、SDLアプリ開発の流れの全体を大まかにカバーすることにもなる。

 なお、SDLアプリを開発するために提供されるSDKに含まれるAPI、それを利用するサンプルソースコードを含む具体的な開発方法については別記事を参照していただきたい。

SDLアプリのビルド環境に必要なものは?

 SDLアプリ開発にあたって、まずはアプリ本体のビルドに必要となるものを、ハードウェアから見ていこう。

 アプリのコーディングに必要なパソコンは、一般的なAndroidやiOSアプリの開発に使用するものと変わらない。SDLアプリの場合、一般的なアプリに比べると、リンクするライブラリの数が多い傾向にある。けれども、ビルド処理そのものや、ビルド後の動作が特に重いということはない。そのため、通常のアプリ開発よりも処理能力に優れたパソコンが必要――とはならない。

 また、念のために付け加えると、Android用のアプリ開発環境とiOS用のアプリ開発環境では、要求するパソコンの種類が異なる。iOSアプリの開発は「Xcode」を使用する必要があるので、Macでなければならない。一方で、Android用のアプリ開発環境はWindows PCやLinuxマシンだけでなく、当然ながらMacでも利用可能だ。それを考えると、もしAndroid用とiOS用、両方のアプリを開発する場合は、Macなら開発用のパソコンを1台ですませられることになる。

 次に、SDLアプリ開発に必要なソフトウェアだが、まずはAndroid用、およびiOS用のアプリを開発するための、一般的なIDE(統合開発環境)がそれぞれ必要となる。

 Androidアプリ用のIDE「Android Studio」は、Android Developers(https://developer.android.com/)から無料でダウンロードできる。現状では、Windows用(64bit/32bit)、macOS用(64bitのみ)、Linux(64bitのみ)の各OSをサポートしている。

 一方でiOSアプリ開発には「Xcode」が必要で、これはMacのApp Storeから無料で入手できる。だが、Xcodeは、言うまでもなくmacOS用しかない。またXcodeの場合には、サポートするmacOSのバージョンの範囲が狭いので、開発用マシンの選択にも注意が必要だ。ちなみに、Xcodeとして現時点で最新版の10.2.1の場合、サポートするmacOSは10.14.3(Mojave)以降となっている。

 ここまでは、一般的なAndroid用、およびiOS用アプリを開発するための環境の話と同じだ。だが実際にSDLアプリの開発を進めるには、当然ながらSDLのSDKが必要となる。これは、あらかじめダウンロードして開発用のパソコンにインストールしておくのではなく、個々のSDLアプリのプロジェクトを作成するつど、SDLのSDKをライブラリとして、そのプロジェクトに加えていく形になる。

 Android用のSDKは、jCenterに公開されているので、アプリのプロジェクトに含まれるbuild.gradleファイルに数行の記述を追加するだけで、そのプロジェクト内でSDLのSDKを利用できるようになる。詳しくは、SDLのドキュメントサイトの中の「Android Guides」を参照してただきたい(図2)。

図2 Android版のSDLアプリの開発方法を解説するSDL公式サイトのドキュメンテーションのセクションにある「Android Guides」のページ。SDKの利用方法から、基本的なAPIの解説、簡単なサンプルコードが示されている

 一方、iOS用のSDKは、サードパーティ製のライブラリマネージャを使って、Xcodeプロジェクトに追加する。ライブラリマネージャとしては、CocoaPods、Accio、またはCarthageを利用することができる。どれか使い慣れたものがあれば、それを選択すればいい。どれを選んでも、その後の開発操作に大きな違いはない。

 CocoaPodsとAccioを利用する場合については、やはりSDLのドキュメントサイトの中の「iOS Guides」に記述がある。Carthageについては、その中では触れられていないが、GitHubで公開されているiOS用のライブラリのドキュメント(https://github.com/smartdevicelink/sdl_ios#carthage)の中に解説が含まれている(図3)。

図3 iOS版のSDLアプリの開発方法を解説するSDL公式サイトのドキュメンテーションのセクションにある「iOS Guides」のページ。APIの使い方を解説するサンプルコードは、Objective-CとSwiftの両方が示されている


SDLアプリの動作確認、デバッグはエミュレーターで

 SDLアプリの本番の動作環境は、当然ながら自動車や二輪車に搭載されている車載器と組み合わせたものとなる。スマホだけではなく、SDLに対応した車載器にまたがった環境で、SDLアプリは動作する。したがって、SDLアプリの動作をテストしたり、デバッグしたりするためには、スマホを何らかの方法で車載器と接続することが必要だ。

 しかし、すでに述べたように、まだ実際に自動車や二輪車に搭載されて市販されている本格的な実機は国内には存在しない。そこで、現状ではソフトウェアによる車載器エミュレーターを使って、アプリの動作確認やデバッグを進めることになる。

 車載器エミュレーターとして最も簡単に利用できるのは、SDLの公式サイトがクラウド上で提供している「Manticore」だ(図4)。

図4 SDLの公式サイトがクラウド上で提供している「Manticore」は、ユーザー登録するだけでだれでも無料で利用できる。最も簡単にSDLアプリの実行環境を実現する方法だ。車の走行状態なども擬似的に取得できる

 ユーザー登録をするだけで、だれでも無料で利用することができる。これを利用する場合には、スマホと車載器エミュレーターは、必然的にTCP/IPによって接続することになる。もちろん、実際の自動車に接続されているわけではないが、一般的な自動車自身のステータス情報などは、Web上のインターフェースを使って設定し、擬似的に取得することができる。それにより、SDLアプリのかなりの部分まで、動作確認やデバッグが可能となる。

 最も簡単なのはこのManticoreを使った開発だが、車載器エミュレーターを手元のパソコンに構築して利用する方法もある。SDL車載器用のソフトウェアのソースコードも、SDL Coreという名前でオープンソースとしてGitHub上で公開されている(https://github.com/smartdevicelink/sdl_core)。このソースコードをLinux(Ubuntu)マシン上でビルドすれば、車載器エミュレーターとして利用することが可能だ(図5)。そのための手順も、GitHub上のドキュメントに記載されているので、そちらを参照していただきたい。なお、このエミュレーターの動作環境のLinuxは、開発用パソコンにVirtualBoxなどの仮想環境をインストールし、その上で動作させることができる。

図5 SDLでは、車載器を実現するためのソフトウェアのソースコードもGitHub上でオープンソースとして公開している。このSDL Coreを、手元のLinuxマシン上でビルドすれば、とりあえずローカルな車載器エミュレーターとして利用できる

 さらに、実際にクルマに取り付けられる開発キットが以前アスキーストアで販売されていたが、今後新しいSDLアプリ開発キットが登場する予定だ。新しい開発キットは、市販のシングルボードコンピューターにSDLのソフトウェアをインストールとして使うものになるということだが、現時点ではまだ詳しい情報は公開されていない。

 ともあれ、一般的なスマホアプリの開発環境があれば、クラウド上の車載器エミュレーターであるManticore上で、SDLアプリは開発できる。まずは試してみてほしい。


「クルマとスマホをなかよくする SDLアプリコンテスト2019」

主催:SDLアプリコンテスト実行委員会(事務局:角川アスキー総合研究所)
協力:SDLコンソーシアム日本分科会、株式会社ナビタイムジャパン
後援(予定): 独立行政法人国立高等専門学校機構、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会ほか
応募締切:2019年10月31日(木)24:00
募集内容:エミュレーターか開発キット上で開発したSDL対応アプリ(既存アプリの移植、新規開発)
募集対象:年齢、性別、国籍等不問。個人・チームどちらでも応募可
応募方法:プレゼンシートと動作解説動画をWebフォームで応募
審査:審査員が新規性、UX・デザイン、実装の巧みさ等で評価
最終審査会:2019年11月22日(金)
審査員:暦本純一(東京大学情報学環教授)、川田十夢(AR三兄弟長男)ほか
グランプリ:賞金50万円+副賞
特別賞(5作品):賞金各10万円
公式サイト:http://sdl-contest.com/

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(提供:SDLコンソーシアム)

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