楽天・三木谷浩史社長。8月8日の決算会見で 筆者撮影
楽天が心配だ。
ここ最近いくつかのメディアで「10月に第4のキャリアとして携帯電話サービスを開始する楽天の基地局整備が大幅に遅れている」という記事が掲載されている。
実際、8月15日に開かれた石田真敏総務大臣の記者会見で「6月末時点で計画からの進捗に遅れが見られた。7月17日に今年度末までの開設数計画値を確実に達成するために修正計画の提出及び実行を要請した」(石田総務相)と、総務省が楽天の基地局整備の遅れを認めたのだ。
ただ、モバイル業界関係者の多くは、楽天の基地局整備の遅れに対して、何の驚きも示していない。誰もが「そんなこと、最初からわかっていた」という冷静な反応なのだ。
●基地局整備が大変なことはわかっていた
実際、第4のキャリアとして参入するには、相当な苦労を強いられる。
全国にイチから基地局を設置していくのは、並大抵の努力が必要なのだ。
現在、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは全国に20万程度の基地局を整備している。都内などでは、マンションなどの屋上に基地局を設置しているのだが、すでに大手3キャリアがいい場所を抑えてしまっているので、新規参入のキャリアがいても、場所を確保できない。
仮に基地局に最適な場所が見つかったとしても、分譲マンションであれば、管理組合と交渉しなくてはならない。基地局を設置すると、マンション側は利用料として毎月、収入が得られるのだが、「健康被害が心配」というオーナーからの反対もあったりして、なかなか設置できないと言われている。設置場所に対して、どのような工事をすべきか、どういった機材が必要なのかを見極める人員も必要となる。
また、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといったライバル企業たちが、5Gの工事を発注し、工事業者を取り合っているため、仮に工事する場所が見つかったとしても、工事できる人員をなかなか確保できないという問題もある。
楽天関係者によれば「数百のビルなどに交渉して、実際に工事に着手できるのは数%程度」といい、場所の確保に相当、苦労しているものと思われる。
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