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収益を得る手段として音楽産業を支える

YouTube「Content ID」ありきで変わる 音楽ビジネスの今

2019年08月05日 08時00分更新

文● 西田宗千佳 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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グーグル 日本音楽ビジネス開発統括 鬼頭武也氏

ライブ配信は「違法配信停止」向け ポイントは「付加価値の有無」か

 YouTubeは、先日開催されたフジロック・フェスティバルのようなイベントでの「ライブ配信」に使われることも多い。Content IDはライブ配信にも対応しているからだ。

 だが現状、ライブ配信向けのContent IDとアーカイブ配信向けのContent IDは、扱いが大きく異なる。前者は配信の「ブロック」のみを想定しており、収益化が軸になっているアーカイブ配信とは役割が違っている。

 その理由を鬼頭氏は、「現状は違法な同時再送信に対し、リアルタイムに対応することを目指しているため」と話す。また「私見だが」と断った上で次のようにも説明する。「ライブでの再配信は、それだけでは付加価値を生まないと考えている」。

 アーカイブ配信コンテンツには、楽曲をそのまま使って別のミュージックビデオを作ったものや、演奏会のビデオ、「歌ってみた」のようなUGCまである。同じ楽曲だが、人の手や意図が加わることで、より幅の広いコンテンツに変わる。だがライブ配信を単に転送するだけならば、収益化を重視するほどの価値は生まれず、「権利を考えて止めるか否か」の判断だけで十分、ということなのだろう。

 Content IDでの検出精度については、今後も改善が進む。前編で述べたように、そもそもContent IDは「完成した技術」ではなく、つねに変更・進化していく。それでもなお、Content IDだけで配信の可否に白黒つけることはない。Content IDはあくまで「いかにコンテンツからの収益を権利者に配分し、YouTubeのビジネス価値を上げるか」を考えた技術だからだ。

 ライブ配信についての対応も、その観点で考えるとわかりやすい。動画を見る人・権利者にとって安心して使える場を目指し、Content IDは、今後も姿を変えながら使われていくのだろう。


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