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なぜ、一般投稿の「踊ってみた」「歌ってみた」が容認されるのか?

YouTube「Content ID」 非権利者の動画投稿を裏で支える技術とは

2019年07月24日 17時00分更新

文● 西田宗千佳 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

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「白黒つける」のではなく「円滑利用」が目的

 そうなると気になるのは、「どこまで正確に認識できるのか」ということだ。ここについて、現時点では明確な指針はない。しかし、この点については誤解して欲しくない点がある。そもそもContent IDは「コンテンツの権利について白黒つけるためのものではない」(鬼頭氏)からだ。

 動画の権利侵害の申し立てとContent IDは同一視されやすいが、実際にはまったく違うもので、Google内でも扱いは異なる。

 Content IDのフィンガープリントや、その適用条件は常に変更されているという。技術の進化やユーザーの動画の使い方などによって、適切な状況が変わるからだ。日本だけでも10年以上使われている仕組みだが、当初のものと現在のものとでは、中身が違ってきている。それは、この仕組みが「判別の手間を大幅に省くためのもの」であるからだ。

 もちろん、判別が難しいシーンや間違った判別もある。

 「まったく違ったシチュエーションの映像なのに、絵だけを見れば似ている……ということはあり得ます。例えば、白い車のカギを開けているシーンと料理をしているシーンは、別のものですが、シーンだけを取り出すと、ぱっと見似ている。そうした部分にどう対処するかも含め、日々変更が加えられている」(鬼頭氏)という。

 その上で、間違った判別が行われたり、判別をすり抜けたりしているものについては、権利者が直接申し立てをすることができる。

 あくまで、大量の映像から権利者へと還元すべきコンテンツを見つけやすくすることで、権利者が「ブロック」以外の方法論を採れるようにすること、YouTubeの利用者が安心して視聴できるようにすることが狙いなのだ。

 では、こうしたシステムを使い、現在はどのようにビジネスが行われているのか? ライブ配信などでどう利用されるのか? Content IDをベースにして、音楽業界での利用は、我々が思う以上の変化を遂げつつある。そうした部分は後編で解説していくことにしよう。


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