“Myショートカット”を持ち歩ける
「ワンボタン キーボード」を衝動買い
平成後期~令和の世の中は、何十年ぶりかの“プログラミングブーム”を迎えたようだ。ところが、その状況は筆者が一生のうちでプログラミングに唯一ハマった時期であった、1980年代とはかなり異なって見える。
パソコンが個人でも手の届く商品になってきた時代には、当事者のあふれる好奇心からスタートしたブームだったが、現代のプログラミングブームは「世界と比べて遅れているっ!」と感じた社会や危機感をもった大人たちが、何とかブームを起こそうとしている感じがしてならない。
1970年代後半には大型機のアセンブリ言語しか知らなかった筆者が、パソコンのプログラミングにハマったのはその約10年後、富士通のパソコン「FM-7」と日本電気の「PC-9801F」のBASIC言語を知った時だった。
その後はMachintosh、IBM PCと駆け巡り、しばらくは某社の仕事で“全銀システム”の技術支援エンジニアをやっていたが、それ以降は100%、プログラミングとはまったく縁がない生活だった。
そんな筆者が、いつまでたっても無くなりそうで無くならない「秋葉原ラジオデパート」を徘徊していて偶然見つけてしまったのが、今回ご紹介する「ワンボタン キーボード」だ。もちろん、超ミーハーでキースイッチフェチな筆者がまず惹かれたのは、その奇妙な“ハードウェア”だった。しかし、使うにはプログラミングが必要だと知ったのは購入してからだ。
メタリックな静電気防止袋に商品名や価格が印刷されたタックシールが貼り付けられ、値段の上にある“同人ハード新品”という印刷にも心動かされてしまった。そもそも筆者は、購入時点ではワンボタン キーボードのできることをよく理解できていなかった。
ワンボタン キーボードは、たった1つのキースイッチをほぼ完成済みの半導体基板にはんだ付けして、パソコンに適合した統合開発環境である「Arduino IDE」をネット上からダウンロード&導入して、その環境内でC言語のような言語でプログラムを書き、コンパイルして、そのコードをUSBケーブルワンボタン キーボードに転送する。
結果として、プログラムを転送されたたった1個のキースイッチをパソコンのUSBポートに接続することで、HIDデバイス(キーボード)として機能し、そのキーを押すことでさまざまな文字列をパソコン側に送り出してくれる。プログラムの工夫次第でいろいろおもしろいことができる“持ち歩きできるショートカットキー”というわけだ。
静電気防止袋の中身は、キースイッチ、キーキャップ(筆者の購入した時はオレンジ色)、基板(上下2枚)、スペーサー(2個)、ネジ(4個)、ピンヘッダ、マイコン基板(Beetle:最小サイズのArduino Leonardo互換機)だ。
かれこれ30年以上はんだごてを握ったことのない、不器用かつ心配性の筆者は、ワンボタン キーボード以外に「はんだ付け入門セット」やら、使えるかどうかもわからないのに、安いからという理由だけで「スタンドルーペ」なる、手元拡大鏡なども同時に購入した。
作業を始めてすぐに、スタンドルーペなるモノは筆者にとって無用の長物であると判断し、すぐに買ってきた時の元の箱に収めて引き出しの奥にしまい込んだ。

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