Amazonに買収されたスーパーマーケットの店内には
プライムナウの配送員も混在状態
さて、Amazonは米国の高級スーパーチェーン、Whole Foods Marketを買収しました。これによって、プライム会員だけのディスカウントが受けられたり、黄色いタグがついているセール品でさらに10%オフになるなど、特典が受けられます。
しかし久しぶりに訪れて、明らかに変わっている光景がありました。それは、スタッフによるショッピングが増えていると言うことです。
AmazonはWhole Foods Marketの商品を、Amazon Freshや、2時間以内に配送するPrime Nowでの取り扱いを始めており、顧客がオンラインで注文したものをショッピングバッグに入れて配送するスタッフが大きなショッピングカートを押している光景が目につくようになりました。
どういうアプリだかは教えてもらえませんでしたが、ショップ店員が持っているiPhoneで商品をスキャンする際に鳴る音が、Apple Payの決済音で、そもそもマナーモードにしているとあんまり聞くチャンスがない、あの「コキーン」という音を連発させていて、なんだかちょっとうらやましい爽快感すらある光景でした。
しかし冷静になって考えてみると、そういうプロのショッパーが店舗内を何人もそわそわしながら商品を探して回遊しているわけで、そういう人をかき分けてショッピングしていると思うと、自分までそわそわしてきてしまいます。
米国に長く住んでいても、何か新しいものと発見できる点で楽しい場所だったWhole Foods Market。しかしゆっくりと一箇所に立ち止まっていることでショッパーさんを邪魔してしまいそうで、なんとも肩身が狭い思いをするようになりました。
Amazonの影響で米国の小売店、チェーン店は少なからず打撃を受け、だんだん街から追い出されるようになりました。その一方で、Amazonは自前で小売店を展開するほど、製品を手に取るというショッピング体験の良さを侮っていないことも伝わってきます。
そうした体験の良さも売りだったWhole Foods Marketの価値を、だんだん毀損し始めていると思わざるをえません。AmazonにとってのWhole Foods Marketの買収は、比較的高所得者が多い地域450箇所に、巨大な冷蔵庫付き流通拠点を手に入れたということだったのでしょうか。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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