「LINE Clova×ラーメンWalker」スキル開発記 第3回
全麺(米じゃなく)が泣いた!……ついに完成!
LINE Clova向け「ラーメンWalkerスキル」で美味いラーメンとの出会いが待っている
2019年06月28日 11時00分更新
収録店舗数は厳選された東京のラーメン店約350店!
今回、東京のラーメン店に絞って登録しているが、その数は約350店。そこで明かされたのがデータベースづくりの経緯だ。
カイ「今回このスキルには東京のラーメン店約350店舗登録していますが、実際には東京のラーメン店はもっとたくさんあります。今回収録しているのは、『ラーメンWalker』のムック、テレビ、Webなど各媒体が取材した店舗のみ。美味しいラーメン店さんが厳選されているわけです」
ムラリン「なるほど。Clovaが教えてくれるのは、美味しいラーメン屋さんだけなんですね!」
カイ「あと、たとえばチェーン店の場合は、都内に複数店舗あっても1店舗しか登録されていません」
ムラリン「えっ?それじゃあ、新宿にも渋谷にも池袋にもあるようなラーメン店の場合、もしかしたら“渋谷区のとんこつラーメン”と聞いても、そのチェーンが出てこないかもしれないってこと?」
カイ「そうなんです。東京の各地に店舗があるような人気店の場合、Clovaに何度質問しても、そのチェーン店を答えてしまう可能性がある。それを避けてバリエーションを出すために、1店舗までにしています」
ムラリン「それはそれでちょっと寂しいなぁ。チェーン店でもメニューが違ったり味も違ったりするじゃないですか」
カイ「そうなんですよね。まぁ、それはまたの機会に」
ムラリン「データベースは、すでにあったものに手を入れて作ったんですか?」
カイ「データベースはありましたが、Clovaが読み上げる用の特別仕様データベースにする必要がありました」
ムラリン「えーっ!?前回はそんな話ぜんぜんしてなかったじゃないですか」
カイ「情報自体はあったんですが、住所とかメニュー、ジャンルなどは発話させるための調整をしていなかったので、ムックを見て打ち込んだりしましたよ」
ムラリン「もっちさんが簡単にできましたと豪語してましたが、実はデータベース担当のほうが相当苦労してるんじゃないですか(笑)」
もっち「私も、その辺は詳しくないので、私の部分に関してはということだったんです」
前回の話では、すごく苦労せずできちゃった感が漂っていたが、思わぬところで苦労していたようだ。ちなみに、LINEに送られる店舗情報はラーメンWalkerのサイトがベースになっており、データベースのコードとサイトURLのコードを連携しているだけだそうだ。
そしてさらに、このあとカイから衝撃の事実が明かされたのだった。
ラーメン店独特の店名発話の調整地獄
ムラリン「ところで、ラーメン店って、結構独特な名前のお店が多いですよね。発音って、なにかイントネーションを調整する機能みたいなものはあるんですか?」
カイ「イントネーションを調整する機能はないですね。文章を入力すると自動的にイントネーションを判断して喋ってくれます。ただ、店舗のような固有名詞に関してはイントネーションのデータはないので、がんばってそのイントネーションになるように、ひらがな、漢字、カタカナ、英字を組み合わせて無理やり正しく発話するように調整しています」
ムラリン「えっ?どういうことですか?」
カイ「たとえば、『なな蓮』という店名の場合、そのまま記述すると『なな(は)す』と(は)にアクセントが来ちゃうんです。“なな”+“蓮”の発音になるんですね。でも本来は、2番目の“な”にアクセントが来るんです。そこで『な那覇す』と記載すると『な(な)はす』と望んだイントネーションになったので、これしかないなと」
ムラリン「えぇぇぇぇ!そこでよく那覇という漢字を入れようなんて思いつきましたね」
カイ「それを350店舗すべて調整しました」
ムラリン「全部やったんですか!スゴイ!」
これまで実際は大したことをしたわけでもないのに、話を盛り上げるためだけに使用してきたこのフレーズだが、ようやく本来の意味で使えるシーンがやってきた。さすが仕事のできる男カイ!!
ムラリン「それを1店舗ずつClovaで発話して試したんですか?」
カイ「Clova Developer Centerに入力した文字を発話させるツールがあって、そこで店名を入力してひたすら発話させて調整したんですが、気がついたら24時回っていたことがありました」
働き方改革が声高に叫ばれる昨今、会議室にWi-Fiが入らないだとか24時まで残業したとか言ってしまってこの会社は大丈夫なのかと少々心配にもなるが、それはさておき……。
ムラリン「データベースも単にデータをぶち込めばいいってもんじゃないんですね」
カイ「読みの部分を自然な感じで発音させるには、人力による力技が必要なんです」
ムラリン「さすが仕事ができる男カイ!いやもう、そういう話が聞きたかったんですよ!本来、プログラムの開発記っていうのは、こういう苦労話とかを掘り下げたいものなんですよ。それなのにもっちさんなんて、“簡単にできましたよ”なんて言っちゃって。取れ高が足りない!って思いましたもん(笑)」
もっち「それは申し訳ない(笑)」
カイ「『(RA-MEN)3SO』という店舗があるんですが、本来はアクセントのない「スリーエスオー」と発音してほしいところ、どうしても「スリー(エス)オー」とか「スリーエス(オー)」と変なところにアクセントがきてしまうんです。思考錯誤した結果『すリーSオー』と記載することで、本来の発音に近くなりました」
ムラリン「それは頭使いまくりですね」
カイ「ほかにも、『神笑』のような当て字とかも漢字では発音してくれないので、ひらがなとかカタカナとかで記述してますね」
ムラリン「店舗名の正しいイントネーションってどうやって調べたんですか?」
カイ「知っている店はいいんですが、知らない店もあったので、ラーメンWalker TVのYouTube動画を見て、ラーメン官僚の人やアイドルがラーメン店の名前を言っていたのを聞いて判断しました(笑)」
ムラリン「しっかり裏とりしてるんですね」
カイ「ダイヤル錠を000から999まで順番にやっていく気持ちです」
ムラリン「いやいやいや、すご過ぎですね。そんな苦労していたとは」
プログラムは数日でできてしまっても、こういった調整をきちんとしなければ、製品にしてもサービスにしても、即良し悪しにつながってしまう。みんなに公開するものだからこそ手を抜かずプロ魂で制作したのだ。
カイは今回の制作に携わっての感想として「以前、うちにラーメンを年間500杯食べていた人がいたんですが、体を壊してしまいました。その人はラーメンに関しては人間グーグルのような人で、聞けばなんでもすぐに答えてくれる。今回制作したスキルは、さすがにそこまでの域には達していませんが、非常に満足しています」
ムラリン「今回、編集部のみんなによく聞かれるからと言う理由からこの企画がスタートしましたが、実は私のような一般人の場合、ラーメン店って、勢いで入ることがほとんどなんだと思うんですよ。出かけた先で、“ラーメン食べたい”って急に思いついて、その近所のラーメン店から目星を付けて入る。わざわざその近くにある美味しいお店を調べてから入ったりはしないんですよね。でも家にいて、たまたまテレビでラーメン番組とか見ると、翌日食べに行きたくなって調べたりするじゃないですか。それと同じで、このスキルは、そんな一般の人が、ちょっと調べて美味しいラーメンを食べに行くっていう裾野を広げてくれると思いますね」
カイ「ムラリンさんも、これからはぜひ家の近所の店とか、会社の近くや出向く先のラーメン店をClovaで調べて、色んな美味しいラーメンを味わってみてください」
ムラリン「そうします!」
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