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AWS Cloud Roadshow 2014の全国行脚でクラウドの魅力を説き続ける

信頼の貯金でマインドを変える!長崎社長に聞くAWS躍進の理由

2014年11月12日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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アマゾン データ サービス ジャパン(ADSJ)が開催した「AWS Cloud Roadshow 2014 福岡」の会場で、同社の長崎忠雄社長にインタビュー。今回のイベントの趣旨やクラウド市場やAWSの現状、パートナーシップやベンダーロックインの話まで幅広く聞いた。(インタビュアー TECH.ASCII.jp 大谷イビサ)

AWSのようなクラウドサービスは今こそ地方で“はまる”

TECH.ASCII.jp 大谷(以下、TECH大谷):今回、AWS Cloud Roadshowは札幌、福岡、名古屋、大阪などで開催されています。このような全国キャラバンをスタートした背景について教えてください。

アマゾン データ サービス ジャパン 長崎忠雄社長(以下、ADSJ長崎):1つには機が熟したというのがあります。エンタープライズのお客様がAWSを使うようになり、クラウドはもはやアーリーイノベーターだけのモノではなくなっています。それとともに地方からの問い合わせが増えてきました。この声にきちんと応えようというのが、今回のイベントのきっかけです。今まで単発のイベントはあったのですが、今回はロードショウという形で札幌、福岡、名古屋、大阪で同じ内容をやることにしました。

アマゾン データ サービス ジャパン 長崎忠雄社長

もう1つ、われわれはめまぐるしいスピードでサービスをリリースしてきたので、お客様を置いていってしまったのでは? という反省があります。ですから、われわれが出張って、現状を正確に説明しなければならないと思いました。お客様の声もダイレクトに聞けますしね。

TECH大谷:米国ではAWS Summitやre:inventのような大型イベントが多いので、こういうイベントは新鮮ですね。

ADSJ長崎:確かに、「ミニAWS Summit」みたいな試みは、米国ではないですね。でも、今クラウドはまさに地方に“はまる”んです。

日本のITは首都圏の一極集中ですが、実際は地方でいろんなことを立ち上げようというスタートアップはいっぱいありますし、福岡のように“創業特区”のような試みをやっているところもあります。とはいえ、AWSよくわからないという声があるのも確か。ですから、そういった人たちと直接話をして、AWSのプレゼンスを上げていくのは、とても重要だと思っています。

TECH大谷:先ほど基調講演を拝聴したのですが、アマゾンがなぜクラウドを始めたのかとか、アマゾンの企業文化とか、クラウドサービスの利用価値とか、ある意味、基本的なことをすごく丁寧に説明しているなあという印象でした。

AWS Cloud Roadshow 2014 基調講演で登壇する長崎氏

ADSJ長崎:大谷さんが普段お話しを聞いているようなJAWS-UGの方たちはテクニカルでディープな話が好きでしょうけど、今回はAWSやクラウドを知らない人もいるので、基調講演はとにかくトーンを合わせるようにしました。その代わり、以降のトラックは弊社のSAが話すテクニカルセッションとお客様から話してもらうユースケースセッションを設けて、多くの人に満足いただけるようにしてあります。

特にユースケースに関しては、今回の福岡で御登壇いただいたケンコーコム様やアラタナ様のように、地元の人に出てもらうのがよいと思いました。もともと、日本に進出した当初から、ユーザー事例は日本のものにこだわってきましたし。

エンタープライズITからクラウドの世界に移って

TECH大谷:長崎さんは前職でアプライアンスベンダーの日本法人を率いてきた、いわゆる“エンタープライズITの人”でしたが、AWSやクラウド業界に移ってきて、変化を感じたところはありますか?

ADSJ長崎:やはり「スピード感」でしょうね。エンタープライズITの世界は「石橋を叩いて渡る」のが常識。クラウドの世界は、この常識とまったく逆です。スタートアップでクラウド使っている会社は、固定概念にとらわれず、トライ&エラーで成果を出して、どんどん先に進みます。テクノロジーに関してもどん欲で、コミュニティがすごい勢いで増えていきます。こうしたスピード感は、とても新鮮でした。

TECH大谷:確かに「俺たちのやりたいことはこのスピードなんだ!」という感じで、AWSのプロダクトとコミュニティでスピードが同期していますよね。

ADSJ長崎:あと、アマゾンという会社はお客様の目線を忘れないという哲学が徹底しています。ここまで成長したのは、これが理由だと思います。スタートした時から、われわれも、当然米国の方も、この視点はぶれませんね。アマゾンに入社して、一番楽しいのはここです。

「アマゾンという会社は、お客様の目線を忘れないという哲学が徹底しています」

そして、その延長だと思いますが、お客様も、コミュニティとの関係にも上下関係がありません。お互い膝をつき合わせて話し合った結果としてできた、信頼関係に根ざした対等なパートナーなんです。

TECH大谷:一方でSIパートナーにとっては、クラウドは既存の業界に大きな激震をもたらすものです。ハードウェア販売と保守で儲けているようなところは、もはやクラウドのスピードや価格、使い勝手に勝てないでしょう。とはいえ、クラウドインテグレーターも1つ1つの案件が小規模化・長期化することで、疲弊するところも出てくるのではないかと思います。ここらへんはいかがでしょうか?

ADSJ長崎:クラウド化はまだまだ始まったばかりなので、私は可能性の方が大きいと思います。われわれはツールやプラットフォームを提供しているだけなので、パートナーの付加価値を出せるところはかなりある。飽和するのはまだまだ先で、伸ばせる部分の方が大きいです。

むしろ、クラウドに先行した事業者がメリットを享受できるモデルだと思っています。正直、エンドユーザーのお客様がAWSのスピードに追いつくのは大変。その点、AWSとお客様の間をきちんと埋めるパートナーさんは絶対に重要な存在です。

TECH大谷:SIerは自らが提供する付加価値をむしろ伸ばせるわけですね。

ADSJ長崎:はい。だからといって、今までのシステムやサーバーをAWSに置き換えるだけでは、なにも変わりませんよね。その点、AWSはAZやリージョンなどの要素技術やユニークなサービスを用いて、オンプレミスでは難しかったさまざまなアーキテクチャが実現できます。これらを用いて、新しい提案や付加価値を持っていけば、お客様にとってもメリットは大きいでしょう。AWSにとっても、こうしたお客様や構築・運用するパートナーをグローバルで支えていくという形が理想です。

もちろん、既存のSIerさんも背負っているものが大きいので、いきなりは変われないでしょう。でも、ここは話をきちんと聞きながら、メリットを理解してもらおうと思います。

(次ページ、クラウド分野において日本は欧米に遅れていない)


 

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