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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第45回

ため息の出るような、途方もない存在:

アップルがMacProでめざした理想のデザイン WWDC 2019

2019年06月06日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●ProDisplay XDR以外選べなくなる

 このMac Proとともに登場したのがProDisplay XDRです。「XDR」は、高ダイナミックレンジを表す「HDR」をさらに超えた(eXtreme)ことから名付けられた32インチ、6K解像度をもつ、アップル久々のオリジナルディスプレーです。

 液晶ディスプレーながらiPhoneなどの有機ELディスプレーと同じ100万:1の高コントラストを誇り、エリアごとに消灯できるバックライトシステムは最大で1600ニトの明るさを実現します。明るさだけでなく、10ビットカラーとP3の高色域もサポートします。

 本体の価格は4999ドルですが、専用のスタンドは999ドル。結局Mac Proの最小構成と同じ5999ドルという価格のディスプレーとなりました。しかしこの価格は、プロ向けの製品の中では、驚くべきコストパフォーマンスと評価できます。

ProDisplay XDR背面

ProDisplay XDRの内部構造

ARによるスタンドの分解解説

 アップルは基調講演の中で、4万ドルを超えるソニーのリファレンスモニターと比較していますが、そのモニターを含む他社製のHDRや高色域に対応するモニターと比較する機会がありました。

 Dellの4K HDRモニターは約2000ドル。明るいシーンではどうしても色が飛んでしまい、鮮やかな色再現に欠けます。一方、Eizo ColorEdgeの4Kモニターはプロにも人気がありますが、最大光度は350ニトで暗く、また月を映しだした際には背景が黒ではなく濃いグレーになってしまっています。

 Eizoのモニターは6000ドルということで、アップルのProDisplay XDRと価格の面でも競合します。同じ価格で、価格が7倍になるソニーのリファレンスモニターの画質を実現できていると考えると、破格の安さといえるかもしれません。

 価格と品質のバランスが一挙に狂わされるような製品、と位置づけられます。

 ProDisplay XDRにはスピーカーが内蔵されていないため、外付けする必要があります。またFaceTime HDカメラも搭載されないため、必要な場合はロジクールがProDisplay XDR向けに用意する4K Magnet Webcamを利用する必要があります。名前の通り、既存製品の底面にマグネットでディスプレーに吸いつく仕組みになっているそうです。

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