大規模/複雑なシステムに対し、最適なワークロード配置などを助言「HPE Right Mix Advisor」
HPE、ハイブリッドクラウド戦略構築や移行計画を支援する新サービス
2019年05月28日 07時00分更新
日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2019年5月27日、ハイブリッドクラウド戦略構築を支援する新たなコンサルティングサービス「HPE Right Mix Advisor」を発表した。ハイブリッドクラウド環境への移行に際して最適なワークロード配置や、顧客ニーズに応じた適切な移行方法を推奨することで、迅速かつ実効性の高いクラウド施策の立案と、顧客ビジネス目標の達成に向けた支援を行う。
ハイブリッド/マルチクラウドの最適な戦略の実現を顧客ごとにサポート
HPE 執行役員 Pointnext事業統括の小川光由氏は、ハイブリッドクラウド構築/活用に取り組む企業の課題を次のように説明する。
「多くの企業は、パブリッククラウド化やマルチクラウド化を進めたいと考えているものの、ワークロードはどこで動かすのか、移行やマイグレーションはどんなステップを踏むのか、どう最適化していくのかといった課題に直面している。そうした課題を解決するのがHPE Right Mix Advisorだ」(小川氏)
HPEではこのRight Mix Advisorを、同社が推進する「Composable Cloud戦略」に不可欠な要素のひとつと位置づけている。グローバルなサービス組織であるHPE Pointnextを通じて提供され、業界や業種を問わず、システム規模が大きく、複雑な企業をターゲットに提供していく。
具体的には、HPEのサービス事業部門であるHPE Pointnextのエキスパートが、数千件にのぼる国内外のプロジェクトを通じて培ってきた知見と独自手法に基づき、顧客のワークロードのニーズに合わせた最適なハイブリッドクラウド戦略の構築から実装までを支援する。小川氏は国内人員数について「将来的には3ケタ規模まで拡大させたい」と述べた。
またHPE Pointnext事業統括 ハイブリッド製品統括本部 A&PSビジネス開発本部 本部長の挾間崇氏は、HPEがここ数年間行ってきた事業買収により構築したフレームワークから得られるグローバルの知見と、「ガバナンスが効きにくい」など日本市場ならではの課題に対する対応力とを組み合わせて提供するアドバイザリーサービスになると説明した。
「(Right Mix Advisorでは)まずは、なぜマルチクラウド化するのかといった原点に立ち返って計画を行い、利用方針や基準、アーキテクチャーを検討し、それらをもとに、ロードマップの検討を進める。さらに、PoV(Proof of Value=価値実証)による計画の実行を進め、基盤概要設計、移行計画などへと具体化していくことになる。日本においても、すでに、HPE Right Mix Advisorを活用した先行事例が進んでいる」(挾間氏)
ロードマップの策定においては、「データの発見と依存関係の把握」「分析」「マッピング」「移行パターンの特定」という4つのステップを踏んでいくことになり、クラウド適合性のチェックおよび判定、成熟度ロードマップの作成、アプリのアセスメント分析などを経て、アプリ移行プロセスの確認や移行優先度の判定、依存関係リストの作成、ターゲットアーキテクチャー決定と移行計画の策定を実施。移行計画書や移行スケジュールを作成する。
計画/構築/運用を一気通貫で提供できる強みを生かすHPE Pointnext
HPEでは、今回のAdvisorを含む「Right Mix Solution」をサービス事業として体系化している。小川氏は「HPEユーザーだけでなく、新たな顧客獲得の“ドアオープナー”(きっかけづくり)にもなると考えている」と語る。
Advisor以外のサービスとしては、顧客企業のオンプレミス環境をSoftware-Defined技術により最適化し、多様なパブリッククラウド環境との接続性も確保しながら、柔軟性と俊敏性を持つITインフラへと移行させる「Right Mix Infrastructure」、トランザクションデータからファイル、IoTデータなど、多様な要求に対応してデータストアの最適化を実現する「Right Mix Data Store」、ユーザー/データ/システムをクラウドとモビリティのメリットを享受できる環境へと移行させるためのネットワーク環境を提案する「Right Mix Networking」という、3つのプロフェッショナルサービスが提供されている。
もうひとつ、オンプレミス/ハイブリッドクラウド環境をコンサンプションモデル(従量課金型)で提供し、ITコストの最適化を図る「HPE GreenLake」も、このRight Mix Solutionに含まれている。
「HPE GreenLakeでは、クラウドだけに留まらず、オンプレミスでも利用量を測定して、使った分だけ支払えばいい環境を実現する。現在対応しているパブリッククラウドはMicrosoft Azureだけだが、今後、対応サービスを拡張していく予定だ」(挾間氏)
HPEでは、サービス事業のブランドおよび組織名称として「Pointnext」を展開してきた。現在、2万2000人のITエキスパート、30社以上のエコシステムパートナーとともに、アドバイザリーからプロフェッショナルサービス、オペレーショナルサービスまでを提供しており、売上高は全世界でおよそ7500億円に達するという。小川氏は「HPEというとハードウェアの会社であるという認識が強いが、サービス事業も成長を遂げている」と強調した。