古いシステムを使う企業ほど「大丈夫」だという
2025年の壁は、既存のレガシーシステムを活用し続けると、システムそのものがブラックボックス化し、データ活用ができず、DXを実現できないため、ビジネスモデルを柔軟に変更できず、デジタル競争の敗者になる。くわえて、既存システムの維持管理費用が高騰化し、IT予算の9割以上が維持管理費になること、保守および運用の担い手が不在となり、システムトラブルやデータ漏洩などのセキュリティー面でのリスクが高まることを示している。
「この課題を解決できなければ、30年前のシステムを維持するために膨大な費用をかけることになり、2025年以降は最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」とする。
そして「崖と表現しているように、いまは大丈夫だと思っていても、ダメだという状況がいきなりやってくる。古いシステムを使っている企業ほど、私たちは大丈夫だという。いま、それに気がつく必要がある」と指摘する。
IT経営注目企業20社の中でANAが最優秀
今回の攻めのIT経営銘柄の選定においては、こうした動きをとらえ、「DX推進ガイドラインに基づき、経営者の強いコミットメントのもと、DXを推進している企業を高く評価した」(経済産業省の磯崎仁彦副大臣)という。
一方、攻めのIT経営銘柄の選考において、総合評価点上位10%程度に入り、レガシーシステムの刷新やIT-IR、IT人材育成などの攻めのIT経営を推進する上での重要テーマと位置づけられる取り組みをしている企業を「IT経営注目企業」として選定。20社が選ばれた。
今年は、さらに攻めのIT経営銘柄に選ばれた企業のなかから、DXを推進する取り組みが高く評価された企業を、「DXグランプリ 2019」として選び、これを最優秀企業と位置づけた。
初代のDXグランプリに輝いたのは、ANAホールディングスだ。
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