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Facebook 初代CTO、信頼と投票そしてAIで本物の知識を

Quora創設者に聞く、「ネット上の知識はまだ不完全」

2019年05月13日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura 編集●ASCII

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実名と淘汰によって担保される「良質な」知識の泉

 ディアンジェロ氏は、インターネットを前提とした知識やジャーナリズムに対して、「信頼」と「投票」という、Quoraに備わる2つの要素が有効であるとの考えを示しました。

 フェイクニュースが蔓延し、いくつもの国の選挙を左右する存在となりました。またテロを支援する情報などもインターネットには流れています。これに対してQuoraは、実名とプロフィールを重視する知識プラットホームにこだわっているのです。回答者は自分の名前を公開し、「どんな仕事をしているのか」「何に専門性があるのか」といった情報を登録して使い始めます。

 Quoraはその理由として「匿名の情報が、検索エンジンや知識データベースの質を極めて毀損しているからだ」と説明しています。ディアンジェロ氏は「日本には、2ちゃんねるのような有力な匿名の言論空間がある」こともしっかり認識していましたが、その一方で「日本でも実名でやりとりするサービスが増えてきているので、Quoraにとって実名であることは問題にならない」と断言します。

 また、Quoraには、まるで“水がろ過されていく”ように、時間の経過とともに、情報の質が高まって行く仕組みが備わっています。質問と答えのセットが投稿され、知識として蓄積された情報は、以降も様々な人に参照されていきます。その過程で読んだ人の評価が蓄積していき、高い評価の回答だけ残っていくのです。 こうして、Quoraは、多くの人の役に立つ良質な知識が蓄積して行く仕組みを持ち合わせているというわけです。

新しいモードを提供する「スペース」

 そんなQuoraに日本でも追加されるのが「スペース」という新しい機能です。

 これまでのQuoraは質問に対して答えを書き込む形式で知識が蓄積されていました。これに対してスペースは、インターネット上のコンテンツにコメントをつけて蓄積したり、複数の人たちでスペースを運営することで、1つのトピックを追いかけ続ける「場」としての機能が与えられました。

モバイル版のスペース

 コンテンツを良質に整えて蓄積していく「静」のデータベースがこれまでのQuoraだとすれば、スペースはよりアクティブに情報がアップデートされ議論が交わされる「動」のコミュニティと言ったところでしょうか。

 「米国でもまだテスト中で、1000程度のスペースが存在しています。日本では、KADOKAWAグループの『ラーメンWalker』編集部が参加し、ラーメンの情報を一覧できるようにしたり、マンガ、アニメの総合データベース『マンガペディア』が「漫画コンシェルジュ」で記事を紹介するなど、個人だけでなく法人がコミュニティづくりのために活用することも進めていきます」(ディアンジェロ氏)

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