最新パーツ性能チェック 第256回
Optane MemoryでQLC SSDを高速化する「ニコイチSSD」の実力やいかに
Intel Optane Memory H10 with Solid State Storage速攻レビュー
2019年04月23日 00時00分更新
PCMark 10ではアクセラレーション時は無効時よりも約2割高速
次にPCMark 10のApp Start Upの結果だが、この結果もOptane Memory H10の高速性を示すものとなった。Optane Memoryのアクセラレーションを有効にした状態の全体のスコアーは、無効の時と比較して約20%ほど向上しており、実際の起動時間も全体的に高速化されている。
価格次第ではOptane+QLC SSDはムーブメントになるかもしれない
Optane Memory H10はひとつの基板上にOptane Memoryと3D QLC NAND SSDを実装してしまうという一見奇抜なアプローチを取っている。しかし、Intel RSTを活用し、Optane Memoryをキャッシュに利用するというアイディアはベンチマーク結果からもわかるように、3D QLC NAND SSDの性能を確実に底上げし、ハイエンド向けの3D TLC NAND SSDに近い性能を得ている。そういう意味では、3D XPointというNANDメモリーを超える高性能な不揮発メモリーをうまく活用したといった印象を受ける。
現在、3D QLC NAND SSDは急速に低価格化が進んでおり、NVMeでも512GBモデルなら9000円前後で購入できる。一方で、Optane Memoryの32GBモデルは7000円前後だ。そのまま単純計算すると、Optane Memory H10の512GBモデルは1.6万円ぐらいということになるが、果たしてこれがいくらぐらいで落ち着くのか……。
価格次第では3D TLC NAND SSDと3D QLC NAND SSDの中間的な存在として、コストパフォーマンスの良い選択肢となる可能性もある。とはいえ、今回のテスト機材が暗示する通り、Optane Memory H10はPC OEM向けのストレージとして定着することを狙った製品だろう。ゆえに、本流ではない自作PC向けのリテール版の価格は過剰な期待をしないほうがいいかもしれない。
しかしながら、SSD業界の動向はしばらく落ち着いていたが、HMB対応3D TLC NAND SSD、3D QLC NAND SSD、さらには今度のOptane Memory H10の登場でまた盛り上がってきている。低価格化も相まって、戦国時代的な印象さえ受ける。次回は、Optane Memory H10をさらにいじり倒したレポートをお届けしたい。
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