内蔵GPU削除モデルの
F型番がリリース
続いて発表されたのが、今年1月のCESで発表された第9世代6製品である。ただCES 2019レポートにもあるように、CESの時点では詳細な型番が発表されなかったが、まず2月に「Core i5-9400F」が発売され、後追いで3月に「Core i5-9600KF」と「Core i7-9700KF」「Core i9-9900KF」の3製品が追加された。「Core i3-9350KF」は第1四半期を過ぎて4月になってからであるが、一応追加されている。
この5製品と、それぞれの元となる製品のラインナップをまとめたのが下表である。見ておわかりの通り、「Core i3-9350KF」以外についてはすべて、既存の製品のGPUを無効化した以外の違いが一切ない。
| F型番とその元となるモデル | ||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 世代 | 製品名 | コア数 | スレッド数 | 動作周波数(GHz) | 3次キャッシュ(MB) | GPU | TDP(W) | Tjunction(℃) | 推奨小売価格($) | |||||
| Base | Turbo | 種類 | Base(MHz) | Max(MHz) | ||||||||||
| 8 | i3-8350K | 4 | 4 | 4.0 | 8 | UHD 630 | 350 | 1150 | 91 | 100 | 168~179 | |||
| 9 | i3-9350KF | 4 | 4 | 4.0 | 4.6 | 8 | 91 | 100 | 173~184 | |||||
| i5-9400 | 6 | 6 | 2.9 | 4.1 | 9 | UHD 630 | 350 | 1050 | 65 | 100 | 182 | |||
| i5-9400F | 6 | 6 | 2.9 | 4.1 | 9 | 65 | 100 | 182 | ||||||
| i5-9600K | 6 | 6 | 3.7 | 4.6 | 9 | UHD 630 | 350 | 1150 | 95 | 100 | 262~263 | |||
| i5-9600KF | 6 | 6 | 3.7 | 4.6 | 9 | 95 | 100 | 262~263 | ||||||
| i7-9700K | 8 | 16 | 3.6 | 4.9 | 12 | UHD 630 | 350 | 1200 | 95 | 100 | 374~385 | |||
| i7-9700KF | 8 | 16 | 3.6 | 4.9 | 12 | 95 | 100 | 374~385 | ||||||
| i9-9900K | 8 | 16 | 3.6 | 5.0 | 16 | UHD 630 | 350 | 1200 | 95 | 100 | 488~499 | |||
| i9-9900KF | 8 | 16 | 3.6 | 5.0 | 16 | 95 | 100 | 488~499 | ||||||
構成や動作周波数、TDPやジャンクション温度、さらには価格まで同一である。一般的な感覚で言えば、GPUが無効化されている分価格が下がっても良さそうなものだが、それすらしていないのは、純粋にダイがGPU付きモデルと完全に共通で、原価が一緒だからというあたりが正直なところだろう。
もちろん現実問題として、例えば「Core i9-9900K」の内蔵GPUを利用しているユーザーがどの程度いるのか? といえばはなはだ疑問ではあるのだが、そうはいってもGPU付きとGPUなしを作り分けるほどの数が出るとも思えない。
それもあってGPUを搭載した形での製品構成になっていたことを考えると、実質的にCore i9-9900KはCPUコアのみの価格という考え方もできる。
であればGPUなしのCore i9-9900KFが同じ価格になるのも致し方ないところである。このあたりはCore i5-9400F/9600KFも同じ考え方と思われる。
そうなると、「そもそもなぜGPUなしモデルを追加したのか?」という素朴な疑問が湧くわけであるが、インテルは公式にはこれに関してなにも説明していない。
説明らしいものとしては「ゲーミングPCなどではそもそもビデオカードを搭載するから、別にGPUを搭載する必要はない」という話だが、無効化しても全然スペックや価格に違いがなければ、無効化することのメリットはない。ではなぜかといえば「製品数を増やしたいから」というあたりに尽きると思われる。
Ice Lake世代の投入スケジュールは相変わらず不明なままだが、なにしろ今になっても新しいチップセットの話が一切出てきていない、かつ新しいマザーボードの情報がないということは、おそらく6月のCOMPUTEXのタイミングで概略の紹介はあるにしても、出荷が可能な状態にはなっていないだろう。
いつ出荷できるか? といえば、早くても第3四半期末~第4四半期にかけてと思われる。要するに第9世代のCore iの登場時期(2018年9月~10月)と同じ感じで1年遅れ、という感じになるかと思われる。
そこまでの間、一切新製品の追加がなし、というのはインテルとしても体面的な問題があり、とにかくなんでもいいから新製品と名の付くものを投入したかった、というあたりではないかと思われる。
違いがあるのはCore i3-9350KFである。Core i3に関してはそもそも第9世代の製品が存在しておらず、第8世代からの刷新となるわけだが、その第8世代のCore i3-8350KにしてもコアそのものはCoffee Lakeなので、やはり基本的には同じコアのGPU無効版という扱いになる。
やや異なるのは、なぜかCore i3-9350KFではターボブーストが有効化されたことだ。競合製品としては、AMDの「Ryzen 3 2300X」あたりになるが、ターボブーストを有効にしないと最大動作周波数が4GHzで並んでしまうので、これへの対抗策としてターボブーストを有効にしたのかもしれない。
ただこの結果として、価格面でも性能面でもCore i3-9350KFとCore i5-9400Fの間に逆転現象が起きてしまっている。推奨小売価格は微妙に重なっているし、日本での小売価格はCore i5-9400Fが当初こそ2万3580円前後だったのが、現在は2万1800円ほどまで落ちており、一方Core i3-9350Kは2万2980円である。
性能についても、全コアをフルに使っての性能は微妙にCore i5-9400Fの方が上だが、1スレッドではCore i3-9350KFの方が高速だろう。なんというか、非常に選択が難しい製品構成になってしまった気がする。
※お詫びと訂正:記事初出時、表の一部に誤りがありました。記事を訂正してお詫びします。(2019年4月16日)

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