地方の料理人を支援する「アスラボ」が、東急TAP2018最優秀賞を獲ったワケ
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東京急行電鉄は、スタートアップとの事業共創プログラム「東急アクセラレートプログラム」を実施している。3月22日に開催された「JAPAN INNOVATION DAY 2019」のセッション「事業共創の裏側を大公開! 東急アクセラレートプログラム2018」では、3月20日のDemo Dayで最優秀賞を受賞したアスラボと共創先の東急百貨店が、その舞台裏と今後の計画についてトークを展開した。
東急アクセラレートプログラム(TAP)は、百貨店、スーパー、ホテル、フィットネスクラブなど、東急グループのもつさまざまな事業領域のリアルな顧客接点を活用して、用途開発、社会実装支援、さらには業務提携及び出資が受けられるオープンイノベーションプラットフォーム。ほかのアクセラレートプログラムとの違いは、365日いつでも応募を受け付け、月に1回審査をしていること。また、出資が目的ではないため、ミドル、レイター、上場後でも応募できるのが特徴だ。2015年からスタートし、今年で第4期目。これまでに累計503件の応募があり、6社と業務・資本提携を締結し、累計出資額は十数億円を超える。
事業共創先として、東急グループの15の領域を設定していたが、2019年4月1日からの第5期には、新たに東急不動産ホールディングスが参画し、都市開発領域を強化。より幅広いスタートアップ支援が実現される。また7月には、渋谷駅徒歩1分の場所にオープンイノベーションラボ「SOIL」を開業する予定だ。
アスラボ横丁の料理人が渋谷ヒカリエで東京初上陸の逸品を披露
第4期の最優秀賞となったアスラボは、場所×ITで料理人の起業・経営を支援するサービスを展開している(参考記事:飲食起業で廃業率0%「アスラボ横丁」×ヒカリエが最優秀賞獲得)。横丁という場と、ITツールにより起業から経営、マーケティングまですべてバックアップするのが特徴で、シェアリングによるローコスト経営と、独自開発の効率化ツールの提供により、出店のハードルを下げ、廃業率も極めて低い。現在は全国5ヵ所で複数の飲食店が集まるアスラボ横丁を展開しており、今期は20ヵ所への拡大を目指す。
東急百貨店との共創では、アスラボの発掘力を生かし、全国的にはあまり知られていない希少食材を使ったフェアを企画。九州・四国エリアの食材を、アスラボのITプラットフォームと地元メディアの協力により募集し、50の応募から4つに厳選。横丁の料理人によるオリジナルメニューだけではなく、既存の店舗にも特別メニューを開発してもらい、渋谷ヒカリエShinQsのフードフロアでイベントを開催する予定だ。
魅力的な企画だが、東急百貨店上層部の承認を受け、既存店舗も巻き込み、企画の実現へとつなぐのは簡単ではなかっただろう。東急百貨店社内の推進役である伊藤氏、現場の食品フロアをマネジメントする小川氏、スタートアップ側のアスラボ 片岡氏、それぞれの視点から、取り組みに至るまでの背景が語られた。
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